女優のキャサリン・ヘプバーンさん死去、96歳

(2003.6.29)

 アカデミー主演女優賞を4回受賞してハリウッド黄金時代を代表する 知性派女優と目され、「アフリカの女王」「旅情」などの映画で日本でも人気が高かった キャサリン・ヘプバーンさんが2003年6月29日午後(日本時間30日未明)、 コネティカット州オールドセイブルックの自宅で死去した。96歳だった。

家族が記者会見で発表した。死因は明らかにされていないが、地元警察は老衰との見方をしている。


「黄昏」に主演したキャサリン・ヘプバーンさん。
左は共演のヘンリー・フォンダさん=AP
 同州の豊かでリベラルな家庭に生まれ、学生演劇からプロの役者になった。 ブロードウエーで認められた後、映画界にも進出し、第3作「勝利の朝」(33年)で早々と アカデミー主演女優賞を得た。その後、「招かれざる客」(67年)、「冬のライオン」(68年)、 「黄昏(たそがれ)」(81年)と受賞。94年の映画「めぐり逢い」まで実に60年以上、 スクリーンと舞台の双方で活躍した。

 際だって美しいわけではないし背も高すぎる、と自著に記す彼女を米国女性のある種のシンボルに していたのが、その飾らない生活態度と率直な言動。女優は着飾るものと思われていた時代に スラックスを愛用。芝居の演出者や映画監督にも注文をつけ、途中で解雇されるなどして 「興行の足を引っ張る女性」と呼ばれた。
若い頃の富豪の御曹司との結婚に
早々と見切りをつけた後は 結婚はせず、「招かれざる客」など9本の映画で共演した妻子ある男優スペンサー・トレーシーと 27年間、公私を共にした。

 こうした独立した生き方がとりわけ女性の共感を呼び、85年には米女性向け雑誌で 「米国の最も尊敬される女性」に選ばれている。その生き方は自伝「Me」、ハンフリー・ボガートら との撮影雑感をつづった「アフリカの女王と私」(いずれも邦訳有り)などの著書に詳しい。

 ニューヨークを愛し96年までマンハッタンのど真ん中に暮らしたが、 体力の衰えや病気の兆候に故郷コネティカットの海辺の町に移っていた。 ロイター通信によると、時折記憶が途切れることはあったものの、比較的健やかな晩年だったという。

inserted by FC2 system