戦争と平和<War and Peace> (56年米伊) |
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<スタッフ> 製作 監督 原作 作曲 指揮 <キャスト> ナターシャ・ロストフ ピエール・べズコフ アンドレイ公爵 アナトール・クラーギン ナポレオン・ボナパルト ヘレーネ ニコラス・ロストフ伯爵 プラトン・カラツエフ |
ディノ・デ・ロレンティス キング・ヴィダー レオ・トルストイ ニノ・ロータ フランコ・フェララ オードリー・ヘップバーン ヘンリー・フォンダ メル・ファーラー ヴィットリオ・ガスマン ハーバート・ロム アニタ・エクバーグ バリー・ジョーンズ ジョン・ミルス |
映画がはじまってから60年、すべてのブロデューサーがかならず一度は製作したいと夢に抱いていた
トルストイの「戦争と平和」がついにパラマウントの手によって映画化された。
トルストイの「戦争と平和」はいうまでもなく世界文学史上、最高最大の名作であり、
心あるプロデューサーの食指をそそるのは当然であるが、あまりにも規模が大きく、
あまりにも構想が雄大なので、だれも手をつけるものがなかった。それをパラマウントがついに敢行した。
不可能を可能ならしめた偉業といわなければならぬ。
もちろん、このような大作の製作には慎重な準備がいる。企画を検討すること数年、 原作を尊重する上からもヨーロッパで製作することがまず考えられ、さいわい、イタリアの ポンティ=ロレンティース・プロが協力を申し出たので、協同製作の案がまとまり、「ユリシーズ」「苦い米」 「南の肌」のプロデューサー、ディノ・デ・ロレンティースが製作を担当することになった。 監督には「テキサス決死隊」「摩天楼」の名匠キング・ヴィダーが採用され、「OKネロ」 「河の女」をつくったイタリアの才幹マリオ、・ソルダーティが第二班の監督になった。 シナリオには米・仏・伊の著名のシナリオ・ライターと作家9人を動員、撮影監督は「赤い靴」 「アフリカの女王」「裸足の伯爵夫人」のイギリスの名手ジャック・カーディフと「ユリシーズ」 「ヨーロッパ一九五一年」「ポー河の水車小屋」のイタリアの老練アルド・トンティ、 音楽は「平和に生きる」「道」のニノ・ロータ、美術監督に「ナポリの饗宴」のマリオ・キアリ、 衣裳に「ナポリの饗宴」のマリア・デ・マティス、メイキアップに「蝶々夫人」のアルベルト・デ・ロッシと 製作スタッフのすべてに英・米・仏・伊の有熊な人材をあつめている。 主役には「ローマの休日」「麗しのサブリナ」のオードリー・ヘップバーンが 待望2年ぶりの出演「ミスター・ロバーツ」「荒野の決闘」のヘンリー・フォンダと「リリー」 「美しのロザリンダ」のメル・ファラーの2人の名優を相手にすばらしい三重奏の名演技を見せている。 助演の俳優陣も多彩をきわめており、「アンナ」「にがい米」のヴィトリオ・ガスマン、「第七のヴェール」 「黒ばら」「絶壁の彼方へ」のハーバート・ロム、「ママの想い出」「白銀の嶺」のオスカー・ホモルカ、 「画家とモデル」「中共脱出」のアニタ・エクバーグ、「ガラスの靴」「楽園に帰る」のバリー・ジョーンズ、 「怪僧ラスプーチン」「エディ・フォイ物 |
語」のミリー・ヴィダーレ、「情事の終り」「ホブスンの婿えらび」の
ジョン・ミルス、「ミニヴァー夫人」のヘルムート・ダンティーン、「ローマの休日」のツリオ・カルミナティ、
「貴方は若すぎる」のアンナ・マリア・フェレロと英・米・伊をはじめ、スエーデン、オーストリアからも
適材適所の俳優をあつめている。上映時間も三時間半におよぴ「風と共に去りぬ」をはるかにしのぐ
映画史上空前の豪華超大作である。
<梗概> 19世紀のはじめ帝政時代のロシアの物語。 進歩的な考え方をしている青年ピエール・べズコフはフランス革命の精神を象徴している英雄として ナポレオン・ボナパルトを尊敬していたので、モスコーがフランス軍の侵入におびえていても、 ほかのロシア国民とおなじようにフランス軍を憎む気になれなかった。 ピエールがしたしくしているロストフ伯爵家では、長男のニコラスが出征するので、 日頃陽気な伯爵と伯爵夫人も今日ばかりはくらい顔をしていた。しかし、ニコラスが出征すれば、 恋人の貧しいソニヤとの仲がさかれることになるので、伯爵夫人にとっては、そてれがせめてものなぐさめだった。 ロストフ家のもののなかでピエールが一ばん気に入っていたのは娘のナターシャだった。 まだ女学生だったが、頭のいいあかるい性格の娘で、ピエールとは兄妹のように仲がよかった。 ピエールはナターシャとニコラスの隊が行進していくのを見送ると、ロストフ家を辞して、 友人の士官ドコロフのパーティへ行った。ドコロフも出征するのだったが、道楽者のこととて、 飲めや唄えの乱チキさわぎの壮行会だった。ピエールがこんな仲間とつきあっているのは、 べズコフ伯爵の不義の子に生まれ、父に子供としてみとめてもらえないので、 上流社会のひとびとと対等につきあうことができず、心の底にくらいかげを抱いていたからだった。 一同が大さわぎをしているとき、ピエールの親友アンドレイ・ボルコンスキー公爵がピエールをたずねてきて、 べズコフ伯爵が危篤におちいって、ピエールに会いたがっていると告げた。ピエールほアンドレイと父の病床へ急いだ。 アンドレイは妻のリーゼとの仲が冷たくなっていて、一日も早く戦場に出たいと思っていた。・・・ (208分) |