雨の朝巴里に死す

<The Last Time I Saw Paris> (54年)

<スタッフ>
製作
 監督
原作
作曲
音楽
撮影

<キャスト>
ヘレン・エルスワース
  チャールス・ウイルス
  ジェイムス・エルスワース
  マリオン・エルスワース
  ポール
 

ジャック・カミングス
リチャード・ブルックス
F・スコット・フィッツジェラルド
コンラッド・セイリンジャア
ソウル・チャップリン
ジョーゼフ・ルッテンバーグ


エリザベス・テイラー
ヴァン・ジョンスン
ウォルター・ピジョン
ドナ・リード
ロジャア・ムーア
 アメリカ現代文学の著名作家 F・スコット・フィッツジェラルドの代表的短篇 「バビロン・レヴィジテッド」の映画化である。1939年ハリウッドの製作者レスタア・カワンが 映画化権を受け作者自ら脚色にあたった。この脚本は「コスモポリタン」と名付られ、 作者の死後パラマウントに売られたが、更にMGMに譲渡されて映画化の運びとなったのである。
 この映画の脚色はジュリアス・J・エプスティン、フィリツプ・G・エプスティン、 リチャード・ブルックスの3人が協力したものであるが、MGMがパラマウントから譲り受けた脚本は エプスティン兄弟(「カサブランカ」「愚かなり我が心」)の手に成ったもので、 それに今度監督リチャード・ブルックスが手を加えた。
 撮影ほ「ブリガドーン」の名手ジョセフ・ルッンバーグ、音楽は「ブリガドーソ」 「雨に唄えば」のオーケストレーションに当ったコンラッド・セイリンジャアがスコアを書き、 「巴里のアメリカ人」「掠奪された七人の花嫁」のソウル・チャップリンが監督に当った。
 製作は「掠奪された七人の花嫁」のジャック・カミングス。特筆すべき事はエリザべス・テイラー、 ドナ・リード、エヴァ・ガポール等の衣裳の新鮮な個性的美しさで、いずれも「ラプソディー」の へレン・ローズ女史会心のデザインである。
 主演のエリザべス・テイラー、ヴァン・ジョンスン、ドナ・リード、ウォルター・ピジョンの 4人を助けてザザ・ガポールの妹エヴァ・ガポール、天才子役サンデイ・デシャア等が出演している。
 主題歌「雨の朝巴里に死す」は、作詞:オスカー・ハマーシュタイン2世、作曲:ジェローム・カーン。 
 <物語>  アメリカから巴里に着いたチャールス・ウィルスは、その足でカフェ「ディンゴ」に向った。 店の主人モーリスは懐かしさを満面にたたえて彼を迎えた。ここには「泉水の女」とでも云いたげな 壁画があるが、それを見つめたチャールスに、絵の女にまつわる歓びと悲しみの記憶が今更のように起って来るのだった。
 1945年5月8日、その日巴里は第二次大戦の終局と勝利に湧き立っていた。 シャソゼリゼエの大通りを埋める歓喜の雑踏のなかで、当時中尉だったチャールスは いきなりびしい娘に接吻された。 彼がしげしげと目をとめる間もなく、娘は次の軍隊に挨拶すべくさらりと身をひるがえて、 やがて人波の中に呑まれてしまった。
 人混みからしばしのがれて路傍のカフェに立寄ったチャールスは、計らずも ノルマンデイ戦線以来の友人クロード・マティンに会った。友には美しい女性の連れがあった。 女はマリオン・エルスワースとて、チャールスを彼女の家の祝賀パーティに誘った。
 エルスワース家はそれほど裕福とは云えなかったが、当主ジェイムスはアメリカを捨てて、 華やかにおかしく生活を楽しんでいた。チャールスはこの家で、先程シャンゼリゼエの人波の中で 自分に歓びの接吻を与えた娘にめぐりあった。娘はマリオンの妹ヘレンだった。 彼女は真面目なマリオンにひきかえ、派手好きな父親に似て自由奔放だった。 そしてこの日もマリオンの招いたチャールスをすっかりさらった形だった。
 彼は暇を告げる時、マリオンの頼みで後程彼女に電話をかける約束をしたが、その電話を 横取りしたのはヘレンだった。そして彼女は凱旋門広場の群衆の中でチャールスに会った。 ・・・   (116分)

inserted by FC2 system