荒野の決斗  <My Darling Clementine>   (46年)

<スタッフ>
製作
監督
原作(小説)
ストーリー
脚色

撮影
音楽


サミュエル・G・エンジェル
ジョン・フォード
スチュアート・N・レイク
サム・ヘルマン
サミュエル・G・エンジェル
ウィンストン・ミラー
ジョー・マクドナルド
アルフレッド・ニューマン
<キャスト>
ワィアット・アープ
チワワ
ドク・ホリデイ
クラントン
ヴァージル・アープ
クレメンタイン
モーガン・アープ
ビリイ・クラントン

ヘンリイ・フォンダ
リンダ・ダーネル
ヴィクター・マチュア
ウォルター・ブレナン
ティム・ホルト
キャシイ・ダウンズ
ワード・ボンド
ジョン・アイアランド
 「駅馬車」「我が谷は緑りなりき」「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」「捜索者」 「騎兵隊」「パファロー大隊」「馬上の二人」など、西部劇の名匠ジョン・フォードが 数々の名作を我が国に紹介した。しか し戦後まもなく、本格的西部劇として公開された此の 「荒野の決斗」ぐらい傑出した作品は見当らないと云はれている。
 1882年、アリゾナのトウムストーンの町を舞台に展開されたアープ派とクラントン一家の決斗 (OK牧場の決斗)を取材にしたもので、ストーリーはワイアットが弟を殺された上、 牛を盗まれたので、自ら保安官になり見事その仇を撃つと云う話で、その中にはドク・ホリディ、 ワイアット・アーブとの男の友情、チワワ、クレメンタイン、2女性との芯などがおり込まれているが、 徒らにアクションの誇張もなく、セリフも非常に少く、音楽も極めて、控え目になっており、 むしろ淡々としたタッチで終始しているが、その迫力は今も人々の話題になっている。
 スチェアート・N・レイクの小説から「懐かしのスワニー」「地獄への逆襲」のサム・ヘルマンが ストーリ・−を書き、「情無用の街」「足ながおじさん」の製作者サミュエル・G・エンジェルと 「テーブル・ロックの決斗」「賞金を追う男」のウインストン・ミラーが共同脚色に当った。
 音楽は「わが心に歌えば」「慕情」のアルフレッド・ニューマンが当り、 主題曲「いとしのクレメンタイン」は「雪山讃歌」として日本では皆に親しまれている。 撮影監督は「ナイアガラ」「百万長者と結婚する方法」のジョー・マグドナルドが担当し その詩情豊かな画調はフォードの演出をいやが上にも盛り上げている。
 主演者はフォード一家の一人「十二人の怒れる男」「ワーロック」のヘンリィ・フォンダが ワイアット・アープに、「悪党カシム」「サムソンとデリラ」のヴィクター・マチュアがドク・ホリデイに扮し、 後年製作された同材の「OK牧場の決斗」のバート・ランカスター、 カーク・ダグラスの名演をしのいでいると云われている。女優陣はチワワの役にはリンダ・ダーネル、 クレメンタインに扮するキャシイ・ダウンズ、助演陣は「OK牧場の決斗」のジョン・アィアランドをはじめ 今はなきアカデミー賞3度受賞の名優ウォルター・ブレナン、「リオ・ブラボー」のワード・ボンド、 「黄金」のティム・ホルト等、豪華な顔ぶれで、監督の意のままに好演しており、彼等のかもしだす 西部の雰囲気はアリゾナの自然と共にこの映画の重要な背景になっている。
 <梗概>  荒涼たるアリゾナ平原をカリフォルニアに向って、一群の牛を駆りたてる4人のカウボーイがいた。 ワイアット、モーガン、ヴァージル、ジェオムスのアープ兄弟だ。途中クラントンと名乗った男から 牛を売れと云われたが売らなかった。その夜、彼等はトウムストーンの町近くにキャンプすることになった。 久しぶりでヒゲをそり一風呂浴びてさっぱりしようと兄弟3人は末の弟を残して町へ出かけた。
 トウムストしンは物騒な町だった。ワイアットは、酒を飲んで拳銃を乱射するインデアンを 取り鎮めて町のマーシャル(保安官)になるように云われたが取合わなかった。 町から帰ってみると牛は盗まれ弟は殺されていた。
 ワイアットは昼間牛を売れと云ったクラントンが怪しいと睨んだ。町へ行って町長に聞いてみると、 この町ではクラントンが唯一の牛飼であることが解った。彼はいよいよクラントンが犯人に違いないと思ったが証拠は何もない。 そこでワイアットはこの町のマーシャルに、モーガン、ヴァージルの2人は肋手となってクラントン一家の動静をさぐることした。 町には医者くずれのドク・ホリディが開いている酒場があった。就任早々のワイアットが酒場に現われ ポーカーの卓を囲んでいるとドクの情婦で歌手のチワワは腹いせにインチキ合図で彼の勝負を邪魔しょうとした。 それと見て取ったワイアソトが彼女を水槽に叩き込むと、彼女は「ドクが帰って来たらひどい目に合わせてやる」と毒づいた。
 やがて旅から帰ったドクとワイアットとの出合いは一触即発の嵐を呼んだ不気味なものだったが、 彼等の間は肝胆相照す男と男の不思議な友情に結ばれる結果となった。ドクはもと立派な椀を持ったボストンの医者だったが 不治の肺病に犯されたため、一切の希望を捨て西部に走り、命を張る荒んだ生活を送っているのだった。
 或る日、駅馬車から西部では見ることの出来ない美しい女が降りた。彼女はドクがボストンに残した愛人のクレメンタインで、 ドクを慕って西部の町から町を捜し廻っていたのだ。彼女はドクを連れ戻そうとするが、将来に希望を持てないドクは彼女に帰るよう命じた。 クレメンタインの心を不満に思ってワイアットが2人の間を取りなすと、ドクはワイアットにまで腹を立て、 彼女が帰らないならと自から町を去った。
 ドクを愛しているチワワはクレメンタインを恨み彼女に掴みかかったので、止めようとしたワイアットはふとチワワの首飾りに目をひかれた。 それは殺された弟のジェイムズが頃自慢にしていた銀のペンダントだった。・・・    (100分)

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