アパッチ  <Apache>   (54年)

<スタッフ>
製作
監督
原作
脚本
撮影
音楽


ハロルド・ヘクト
ロバート・アルドリッチ
ポール・T・ウェルマン
ジェームズ・R・ウェッブ
アーネスト・ラズロ
デイビッド・ラクシン
<キャスト>
マサイ
ナリンル
シーバー
ホンドー
ウェドル
ジェロニモ

バート・ランカスター
ジーン・ピータース
ジョン・マッキンタイア
チャールズ・パチンスキー
ジョン・ダーナー
モンテ・ブルー
 輝かしい西部開拓の歴史の蔭には、故郷の土地を守るべく白人に対抗して勇敢に戦いをいどみ、 滅びて行ったインデアンたちの悲しくも雄々しい数々の物語がある。
 この映画は、剛勇をもって知られたアパッチ・インデアンのなかでも、 たった一人で合衆国軍隊を相手に戦い、その勇気をたゝえられて来た若者マサイの伝説を映画化した アクション西部劇空前の大作である。マサイに扮するランカスターの熱演と、アルドリッチの鋭いタッチの演出ぶるいは、 物語の異色さと相まって、西部劇に革命をもたらしたと絶賛された。
 製作は「大西部への道」のハロルド・ヘクト。彼はかつてランカスターと組んでヘクト=ランカスター・プロを作り、 数々の名作を世に送って来たが、「アパッチ」はその記念すべき第一回作品でもある。
 原作はポール・T・ウェルマンのベストセラー小説「ブランコ・アパッチ」で「西部開拓史」の ジェームズ・R・ウェッブが脚本を書き、「ベラクルス」「特攻大作戦」の俊英ロバート・アルドリッチが監督にあたった。 撮影は「ミクロの決死圏」のアーネスト・ラズロ、音楽は「テキサスの五人の仲間」のデイビッド・ラクシンが担当している。
 主役のバート・ランカスターは云うまでもなくアメリカ映画のトップ・スターとして自他共に許す存在。 西部劇出演も数多く、最近でも「プロフェッショナル」や「インディアン狩り」などで精力的な活躍ぶりを見せているが、 「アパッチ」でも大西部の山野を縦横に駆ける精悍なインディアンの反逆児を熱っぽく演じて大むこうをうならせる。 また彼の妻になって行を共にするインディアン娘を「ナイアガラ」「愛の泉」の名眸、ジーン・ピータースが演じるほか、 「ジェリコ」のジョン・マッキンタイア以下のベテラン脇役陣が顔をそろえている。
 <梗概>  アパッチ族の大酋長ジェロニモは、白人との凄絶な戦いのすえ、刀折れ、矢つきて降伏した。 そのときいっしょに捕えられたマサイは、侵略者白人に対する反逆精神にもえた熱血の若者だった。 彼は列車で護送される途中、セント・ルイス近くで脱走に成功し、苦難のあげくアパッチの国へ帰りついた。 しかし彼のいない間に故郷の村はすっかり変っていた。マサイの恋人ナリンルの父親サントスは 名前だけの酋長に祭り上げられ、酒に目のない彼が、白人からウィスキーを手に入れる事の出来るホンドーの 言うなりになっていて、ナリンルまでホンドーの好色の餌にされそうな有様だった。
 マサイはサントスを熱心にくどいて、アパッチの自由のため、白人どもともうー度戦うことを主張したが、 酒の魔力と寄る年波にすっかり弱気になったサントスは彼を裏切って軍隊に通報したため、マサイは 再び捕えられてフロリダへ護送されることになった。
 看視役のウェドルは、前にマサイに逃げられた恨みから、途中で彼を殺して自殺とみせかけようとたくらみ、 けわしい坂道にかゝった時、車の後押しをさせる口実でマサイと他の囚人たちを車から下した。 だがマサイの方がうわてだった。すきを見て彼は手錠のまゝウェドルの頭を殴りつけ、 拳銃をうばいとった。仲間の囚人たちはマサイに指揮してくれとたのんだが、マサイは断り、 一人で岩山の陰に姿を消して行った。こうして彼の合衆国軍に対するたった一人の戦いが始まったのである。
 智恵と勇気のあるマサイは戦略にも巧妙でまさに神出鬼没、勝手知った西部の山野をまたにかけて 合衆国軍を悩まし続け、その名を全西部にとゞろかせた。・・・
     (90分)

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