勝利なき戦い

<Pork Chop Hill>   (59年)

<スタッフ>
製作
監督
脚色
原作
撮影
音楽

<キャスト>
クレモンズ中尉
フォーストマン(兵)
ラッセル中尉
フェダースン伍長
ツギ・オーハシ中尉

サイ・バートレット
リュイス・マイルストン
ジェイムズ・R・ウェッブ
S.L.A・マーシャル
サム・レヴイット
レナード・ローズマン


グレゴリー・ペック
ハリー・ガーディノ
リップ・トーン
ジヨージ・ペパード
ジョージ・柴田
 最近ハリウッドでは、スターや監督がプロデューサーを兼ねて野心的な作品を生み出す傾向が目立っているが、 グレゴリー・ペックも先ごろ巨匠ウィリアム・ワイラーと共同で「大いなる西部」を製作し、 非常な成功を収めている。
 「勝利なき戦い」は、そのグレゴリイ・ペックが、名脚本家サイ・バートレットと2人で 創立したメルヴィル・プロダクションズの作品である。
 「勝利なき戦い」は、20世紀戦史における最も凄惨な白兵戦といわれた朝鮮戦線ポーク・チョップ・ヒルの 争奪戦を、軍事評論家 S・L・A・マーシャルの実録小説に基いて映画化したもので、監督には 「西部戦線異常なし」などいくたの名作によって戦争映画最高の名匠と称されるリュイス・マイルストンが当っている。
 マイルストン監督は、大規模な近代戦のスペクタクルを驚異的な迫力で描きながら、 その中に、この異常な場における兵士たちの人間像を見事に浮き彫りにしており、 アメリカのある批評家はこの映画を、同監督の代表作「西部戦線異常なし」をもしのぐ 傑作であると評している。。
 グレゴリー・ペックは、数万の敵人海部隊を僅かの部下を率いて迎え撃つ不屈の中隊長に扮して、 彼としても最高の好演ぶりを見せており、彼を助けて、ハリー・ガーディノ、リップ・トーン、 ジョージ・ペパードなどの性格的な俳優たちが出演しているほか、日本人二世として初めて 米国の士官学校を卒業したというジョージ・柴田がペックの扮する中隊長の無二の戦友であり、 部下たちからも畏敬されている二世中尉を演じて、初出演とは思えない得難い味を見せている。
 <梗概>  1953年、朝鮮戦争も大詰めとなり、板門店では停戦協定が押問答をくり返している頃。 板門店の東、わずか110キロあまりのポーク・チョップ・ヒルと呼ばれる高地では戦雲が急を告げていた。
 この高地は戦略上、南鮮への扉であり、米軍イージー隊が守備していた。 ある夜、敵大部隊の全面的夜襲がはじまり、急を知った連隊長カーン大佐は直ちにラヴ隊を増援に投入、 さらに待機していたキング隊をも出動させた。
 キング隊は実戦経験は乏しかったが、カーン大佐は隊長クレモンズ中尉を信頼していた。 彼の任務は先発したラヴ隊の援護のもとに、敵の手に落ちた高地を奪回することだった。中尉は 第一線に第一、第二小隊、第二線に第三小隊を展開して、自分は第二小隊と同行し、 第一小隊は親友で二世のオーハシ中尉の指揮下に置いた。
 クレモンズ中尉には隊長としての悩みがあった。部下たちは和平の近いのを知り、 誰もが最後の戦斗で死ぬことを潔ぎよしとしないにきまっている。そのような兵の心を 高地奪回という生死を賭けた難務に結集することができるだろうか。
 敵はスピーカーを通じて米軍兵士の恐怖心を煽りにかかり、隊は陰うつな葬送行進曲の中を 進まなければならなかった。敵の砲撃は猛烈を極め、先発のラヴ隊は四分五裂、 退いて再編を余儀なくされた。キング隊も集中砲撃にさらされた。
 クレモンズはふと、岩かげにうずくまる部下のフランクリンをみとめ足首を挫いたと 言訳するのもきかず自分の側を離れるなと冷酷に命じた。 ・・・  (97分)

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