軍法会議<The Court-Martial of Billy Mitchel> (56年) |
||
<スタッフ> 製作 監督 撮影 音楽 <キャスト> ビリー・ミッチェル ガスリー将軍 フランク・リード アレン・ガリオン少佐 モアランド大佐 |
ミルトン・スパーリング オットー・プレミンガー サム・レヴィット ディミトリイ・ティオムキン ゲイリー・クーパー チャールス・ビックフォード ラルフ・べラミー ロッド・ステイガー フレッド・クラーク |
「真昼の決斗」「吹き荒ぶ風」「スプリングフィールド銃」「悪の花園」「ヴェラクルス」等、
こゝ二、三年は西部劇にのみ専念したゲーリー・クーパーが、アカデミー主演男優賞を獲得した
「ヨーク軍曹」以来再び軍服を身に纏つて、シネスコのスクリーンに熱演するワーナーの異色大作。
クーパーの演ずるビリー・ミッチェル将軍は、空軍を愛するが故に 軍法会議にかけられた理想主義者で、今日のアメリカ空軍の礎をなしたヒーローである。 というよりも我々には、空軍の設立を怠ったなら、いつか日本空母が真珠湾を襲うだろうと、 法廷で予言した慧眼の持主であったといった方がピンとくるかも知れぬ。 裁判は賛否両論乱立する中、結局有罪が確定する。 クーパーはこの一作で再度オスカーを得んものと、最近の西部劇とうって変った名技を披露し、 彼をめぐって「スター誕生」で渋味ある好演を見せた名優チャールス・ビックフォード、 ブロードウェイで脚光を浴び、舞台劇「探偵物語」で印象ある演技を残したラルフ・ベラミー、 「波止場」でアカデミー助演賞候補のぼったロッド・スティーガーを始め「陽のあたる場所」の フレッド・クラーク、舞台でのダーレン・マックギヤビンとジャック・ロード、 「死刑五分前」のピーター・グレーヴス等のヴュテラン陣がケンを競い、ロバート・モンゴメリーの娘 エリザブス・モンゴメリーがランスダウン夫人として錦上花を添えている。 製作はユナイテッド・ステーツ・ピクチャアを主宰するミルトン・スパーリングで、 彼はこの映画製作に3年間の準備期間を要し、クーパーとは「遠い太鼓」「吹き荒ぶ風」以来 再び組んだわけである。 原作並びに脚色はプロデューサーのミルトン・スパーリングと「ファースト・レジオン」 「ザ・マグニフィセント・ヤンキー」等で名を売ったエメット・レイヴリーが共同で当り、 「月蒼くして」「帰らざを何」「カルメン・ジョーンズ」等を発表して益々好調の名匠 オットー・プレミンガーが監督に当った。 |
撮影は「スタア誕生」でユニークな手法を見せた名手サム・レヴィット、
美術監督は「エデンの東」の才腕マルコム・バートが担当し、「荒野の貴婦人」のフォルマー・ブランステッドが
編集を、「エデンの東」のスタンレイ・ジョーンズが音響を受持った。
「紅の翼」「ピラミッド」等で知られた名作曲家ディミトリィ・ティオムキンが音楽部門を担当している。
<物語> 第一次世界大戦で赫々の戦跡を残し、空の英堆と謳われた陸軍航空将軍ビリー・ミッチェルは、 戦後も常に空軍万能論を説いていた。その為舌禍問題まで惹起し、筆舌は遂に海軍のみならず、 陸軍に迄大きな刺戟を与えて、陸軍条令第九六条に違反するものとして告発され、 統帥権侵害の廉で軍事裁判に付されることになった。 それは1925年の事、少将から大佐に降等された彼はワシントンでの軍法会議にまわされる途次、 彼は親友ランスダウンが、海軍の飛行船ジェナンドア号の爆発で殉職した悔みを述べに、 先ず未亡人てガレットを訪ねた。 陸海軍クラブでミッチェルは陸軍当局が任命した弁護士ハーバート・ホワイト大佐に会った。 そして彼は法廷で無罪を主張し、空軍力の拡充こそ国力増大の基礎であることを、この機会に力説し 国民に自分の考えを被歴するのだと意気ごんだ。 だが当局のやり方は非道だった。軍は出来得るだけ、この公判を秘密裡に運ぼうと法廷を薄暗い 倉庫の一室に選んだ。万般出足からこの様な調子では裁判はミッチェルにとって、 絶望の影がつきまとっているかに見えた。 彼は友人の下院議員フランク・リードを民間側の弁護士に依頼した。 リードは裁判長ガスリー将軍がミッチェルに偏見を持っていることを指摘し、将軍はその為、 並いる判事に自分の適否を投票で決定させることになった。 ・・・ (分) |