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戦 塵＜The Bold and the Brave＞ （56年） |
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＜スタッフ＞ 製作 監督 撮影 作曲・音楽監督 主題歌作詞 ＜キャスト＞ フェアチャイルド ドゥーリイ エワルド軍曹(牧師) 街の女フィアマ スミス |
ハル・Ｅ・チェスター ルイス・Ｒ・フォスター サミュエル・リーヴィット ハーシェル・Ｂ・ギルバート ミッキー・ルーニー ロス・バグダスリアン ウェンデル・コーリイ ミッキー・ルーニー ドン・テーラー 二コール・モーリイ ジョン・スミス |
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生死の岐路に立たされる戦場、明日の生死の解らぬ戦線に立った、
それぞれ境遇と性質の違った３人の兵士のエピソードを、イタリー戦線を背景に綴った
笑いと涙の中に共感を呼ぶドラマである。
宗教の厳しい戒律を守って総ての罪悪に仮借しない、殊に女に対しては極度に 潔癖な戦斗精神旺盛な男イワルド軍曹。社交界出で人情厚い紳士だが、戦斗になると 臆病になる男。郷里に残して来た愛妻と何時の日にか大レストランを開こうと、 大きな夢を描き親友から小遣銭を借りて迄郷里に送金しつづける陽気で要領のいい男。 この３人が奇しくも地獄のイタリー戦線で戦友として共に命を賭けた生死の境に、 その各々の人間性がむき出しに曝け出されて悲喜劇が演じられて行く。 巧みにほりさげられた心憎い許りの心理描写は、人情の機微を衝いており、 主演する４人の名演と相俟って「タイム」誌が絶讃しているように激賞され、 各地で大ヒットしている話題作である。 主演は「裏窓」のウェンデル・コーリイ、「トコリの橋」のミッキー・ルーニー、 「第十七捕虜収容所」のドン・テイラーに、「失われた少年」に出演したフランスの新星 ニコール・モーリイの４人。「紅の翼」のジョン・スミスが助演している。 製作は〝常に興行者に喜ばれる映画″をモットーにしているハル・E・チェスター、 監督は「最後の砦」のルイス・R・フォスター、戦時中に対戦車部隊に居たロバート・リュインが 巧妙に脚本を書いている。 撮影は「スタア誕生」のサミュエル・リーヴィット、音楽は「月蒼くして」の ハーシェル・ギルバート。主題歌「胆者と勇者」はミッキー・ルーニーとロス・ハグタスリアン （出演もしている）の共同作詞によるもの。 | <物語>
烈しい戦いが連日続いていた1944年のイタリー戦線。露営地に新しく到着した歩兵部隊の
中にフェアチャイルド、小男のドーリイ、イワルド軍曹の３人がまじっていた。
故郷にいたら絶対に知り合いになる筈のない３人、戦争と云う大きな運命の歯車の悪戯で
この地獄の戦線に運ばれて来た３人は、眼の前に立ちはだかった戦争という脅威と戦う一方、
それぞれ心の中に、戦わなければならない悩みをもっていた。
フェアチャイルドは中年の思慮深さをもった兵士だった。どちらかと云えば、 軍務を軽く見るインテリ特有のものうささをもっていた。彼は集団を離れて１人ポッンとしていることがあったが、 その彼がタイプのガラリと違うドリイと仲良しになったのだから面白い。 小柄でチョコチョコ動き廻り、全く抜目のないドーリイは、大変なおしやべり屋でもあった。 「おい、デーヴ、また昼寝しているのかい。起きろよ。」 「そう、くすぐるなよ！」 「俺の女房からの手紙だ。読んでやろうか」 「じや聞かしてもらおう。お安かないぞ」 「えーと。やっぱりさしつかえるから止そう。何で君にはいつも手紙が来ないんだ」 「俺かい。妻が金持なんで、後顧の憂いがないんだよ」 「君の職業は何なんだい」 「さあ、何て云っていいかな。社交界であくびを我慢しているのが商売だったらしいな。 最も意義の内、最も下らない仕事さ」 「変った商売もあるもんだなあ。所で、今夜、飲みに行こうや。冷いイタリヤ産スコッチがあるんだぜ」 フェアチャイルドはドーリイに引っ張られるようにして露営地をぬけ出した。 ・・・ (87分） |