間違えられた男

<The Wrong Man>  (56年)

<スタッフ>
共同製作者
 監督
原作
 脚色

撮影
美術
音楽

<キャスト>
マニイ・パレストレロ
ローズ・パレストレロ
オコンナー
パワース刑事主任
マシューズ刑事
トマシニ
マニイの母

ハーバート・コールマン
アルフレッド・ヒチコック
マクスウェル・アンダースン
マクスウェル・アンダースン
アンガス・マックフェイル
ロバート・バークス
ポール・シルバート
バーナード・ハーマン


ヘンリイ・フォンダ
ヴェラ・マイルズ
アンソニイ・クェイル
ハロルド・J・ストーン
チャールス・クーパー
ジョン・ヘルダブランド
エスター・ミンシオッティ
 「泥棒成金」「知りすぎていた男」に次いでスリラー映画の大御所アルフレッド・ヒチコックがメガフォンをとった最新の話題作。 題材は1953年、実際にニューヨークでおこった出来事に基づいたもので、ノン・フィクションのこの映画はヒチコックの巧みな演出で非常に迫真的に又、 ショッキングなものとなっている。
 原作が「悪い種子」で最近又々クローズアップされた有名な劇作家マクスウェル・アンダースンの筆になる ことは大いに興味をひくところだが、更に撮影監督がヒチコックの良き協力者である「ハリーの災難」「知りすぎていた男」の 俊腕ロバート・バークスにゆだねられているのも期待の的であり、事実素晴しい出来を示している。
 脚色は作者のアンダースンとアンガス・マックフェイルの共同で「山」のバーナード・ハーマンが 特異な音調で伴奏者楽をアレンジした。
 主演のヘンリイ・フォンダはヒチコック作品には初出演で、「捜索者」で新鮮な魅力を披露した注目の新星ヴュラ・マイルズとのコンビに芸域の広いところを たっぷりと見せてくれる。又「戦艦シュペー号の最後」で好演したアンソニイ・クェイルが出色の出来ばえで助演し、 作品に一層の緊張感をみなぎらせている。


 <物語>  ニューヨークの一流料理店ストーク・グラブ。賑わっていた店内も、夜が更けるにつれ、お客も帰り始
め、バンドが演奏を終了した のは午前3時頃だった。マニー・パレストレロはこゝでバンドのベースを弾いている。 一日の勤めを終えた彼はまさかその日が現われた運命の始まりになろうとは知る由もなく地下鉄で家路についた。
 家に着く頃はもう5時近い。家では2人の坊やがぐっすりと寝ていたが、妻のローズは歯が痛んで眠れないと寝台に横になったまゝ、 目をさましていた。親知らずが生えようとしているのである。治療には三百弗もかゝると聞いて困ったが、何れにせよ工面をしなければとマニイは思った。 それでローズの保険証書を抵当に保険会社から金を借りる事にした。
 その日、一眠りした後、マニイは母親の所へ寄った足で、保険会社の出張所へ行った。 窓口係りのデナリーが1人の女客との応待をすませ、その後に立っているマニイの顔を見た時、彼女の顔はさっと不安に蒼ざめた。 忘れもしない、その事務所に2度も強盗に押し入った男の顔だからだ。態よくマニイを待たしておいて彼女は、 ミス・ダフィールドの所へ話を持ち込んだ。そして――語は出張所長に通じ、警察に急報きれた。
 夕方の5時半頃、自宅の石段を上りかけたマニイは、そこで刑事に呼び止められ、何の事かわからぬまゝ第110管区の警察署へ連行された。
 こゝではじめて、貴方は強盗犯人として訴えられていると聞いてマニイは非常に驚いた。・・・    (105分)

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