めまい<Vertigo> (58年) |
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<スタッフ> |
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「間違えられた男」以来久しぶりのアルフレッド・ヒッチコック作品。フランス映画、ジョ
ルジュ・クルーゾォの傑作スリラー「悪魔のような女」の原作をかいたピエール・ポアロー、トマス
・ナルスジャッグ共作のスリラー小説から脚色、舞台をサンフランシスコとその南部の風光明眉な海
岸、スペイン領時代からの古い教会にうつしてヒッチコック一流のすばらしい技巧をこらした本年度
最高の期待作の一つである。
スタッフは例によってヒッチコック好みの一流人物を網羅、撮影監督には「泥棒成金」でアカデミ ー賞をとったロバート・バークスが当っている。バークスが「泥棒成金」のほか「裏窓」「ハリーの 災難」「知りすぎていた男」「間違えられた男」のカメラを担当して、ヒッチコックの作品に大いに 貢献していることは云うまでもなかろう。 主役は、ヒッチコック作品には「ロープ」(未輸入)「裏窓」「知りすぎていた男」につぐ4回目の 出演のジェイムズ・スチェアートとヒッチコックがとくに懇望してコロムビアから借り出したキム・ ノバック。「暗黒の恐怖」「ママの想い出」その他に出演、最近は舞台で活躍している名女優バーバラ ・ベル・ゲデス、「バラの肌着」に出ていたイギリス生まれの舞台俳優トム・ヘルモアその他が助演 している。 | <物語>
ション・スコティ・ファーグスンはサン・フランシスコの警察の刑事だったが、同僚が死んだ事
件があってから警察をやめた。スコティは高いところにのぽるとメマイをする習癖があり、一緒に
任務にしたがっていた同僚が死んだのはその習癖のせいであると信じていたからだった。
スコティにはむかしから彼を愛している恋人があった。商業画家として身を立てているミッジという女 で、教養もあり、豊かな知性を持っていて、持って生れた習癖を苦にしているスコティをなぐさめて 警察をやめたことなどを気にすることはないとはげましていた。 ある日、スコティのところへむかしの学校友達のゲビン・エルスターから電話がかかってきた。 刑事であったスコティを見こんで、頼みがあるというのだった。カレッジ時代にそれほど親しくしていたわけでは ないので、スコティは少々不思議に思ったが、とにかくゲビンのところへ出かけていった。 ゲビンは造船業をしていた。スコティへの頼みというのは思いがけないことで、妻のマドレイヌ を気づかれぬように尾行してくれというのだった。ゲビンとマドレイヌとの結婚生活はうまくいっている。しかし マドレイヌは時々、放心状態になる時があったという。・・・ (123分) |
ヒッチコックは、通行人の1人として画面の左から右に通りすぎる。 |