泥棒成金<TO CATCH A THIEF> (55年) |
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<スタッフ> 製作監督 原作 脚色 撮影 音楽 <キャスト> ジョン・ロビー フランシー・スティーブンス フランシー・スティーブンス夫人 H・H・ヒュースン ベルタニ |
アルフレッド・ヒッチコック デヴィッド・ダッジ ジョン・マイケル・ヘイズ ロバート・バークス リン・マレイ ケーリイ・グラント グレイス・ケリー ジェシー・ロイス・ランディス ジョン・ウィリアムズ シャルル・ヴァネル |
スリラーの名匠アルフレッド・ヒッチコックのビスタビジョソ第一作。「裏窓」の好調につづき、
カメラを世界一の美しい土地と云われるリヴィエラに持ちこんで、ビスタビジョソの成功を100パーセソトに活用、
ヒッチコックが久しぶりで本格スリラーに才腕を見せる。パラマウト自慢の名作である。
ディヴィッド・ドッジの探偵小説を「裏窓」の名シナリオ・ライター、ジョン・マイケル・ヘイスが脚色、 カメラは「見知らぬ乗客」「私は告白する」でヒッチコックと組んだロバート・バークス担当、 主演者は久々登場するケーリー・グラントは名作「断崖」「汚名」以来のヒッチコックとの組合わせで、 グレイス・ケリーは「ダイヤルMをまわせ」「裏窓」につづいて3回日のヒッチコック作品出演。 ヒッチコックによって性の魅力を掘り出されたと云われているグレイス・ケリーがどんな 味を見せているかも楽しみである。 助演者の顔ぶれもこの作品の大きな魅力の一つで「ダイヤルMをまわせ」「麗しのサブリナ」の ジョン・ウィリアムズ、「恐怖の報酬」「悪魔のような女」のシャルル・ヴァネル、 「巴里の空の下セーヌは流れる」のブリジット・オーベール、「愚なる我が心」に出た舞台の名女優 ジェシー・ロイス・ランディスなどヒッチコックによってどんなふうに持ち味が生かされるかが見ものである。 | <物語>
風光明媚な南仏の観光地リヴィエラは当時テンヤワンヤの大騒ぎだった。
アメリカはじめ世界各国の富豪が避暑地としてしているこの地に、ヒンピソとこうした富豪の
持つ宝石ばかりをねらった盗難事件が起っているからである。
そうした盗難が警察を刺激した事は勿論だが、警察が躍気になって手懸りを捜すが
手口は判っても手懸りは何もなかった。
そうした事が世間に伝ると人々はその手口から戦争前ヨーロッパの富家連を震骸させた 一世の大宝石泥棒 "猫" の名を思い出した。彼は屋根を伝りて天窓から音もなくしのび込み、 何も手懸りを残さないで宝石だけを盗みとるという事で有名となり、 屋根の上を身軽に飛び歩くというところからその "猫" という名前がつけられたのであった。 その "猫" も戦前とうとうイタリアの警察の手に落ち戦争中まで獄に繋がれた。 それが爆撃のため脱獄、戦争中対ファシズムの地下運動に参加、その功により現在保釈の身だった。 その嘗ての "猫" 事――ジョン・ロビーは警察の "猫" という新聞発表に大いに驚いた。 警察は "猫" という目ぼしをつけると時を移さずロビーを連行すべく山上の彼の別荘に向かった。 しかし高名な大警視ルピックもまんまとロビーにいっぱい食わされ、ロビーは疑われたまま 警察の眼をあざむいてしまった。 ・・・ (分) |