逆 転

<The Prize>   (63年)

<スタッフ>
製作
監督
原作(小説)
脚色
撮影
美術

音楽

<キャスト>
アンドルー・クレイグ
ストラトマン博士
ミス・アンデルセン
エミリー
デニーズ・マルソー博士
クロード・マルソー博士
ファレリ博士
ギャレット博士
ヤコブソン伯爵
モニーク・スビール

パンドロ・S・バーマン
マーク・ロブソン
アービング・ウォーレス
アーネスト・レーマン
ウイリアム・H・ダニエルズ
ジョージ・W・デイビス
ユーリー・マックレアリー
ジェリー・ゴールドスミス


ポール・ニューマン
エドワード・G・ロビンソン
エルケ・ソマー
ダイアン・ベーカー
ミシュリーヌ・プレール
ジエラール・ウリ
セルジヨ・フアントーニ
ケビン・マッカーシー
レオ・G・キャロル
ジャクリーヌ・ビア
 毎年12月になると、北欧スウェーデンの首都ストックホルムは、 世界各国からその年のノーベル賞受賞者を迎えて、盛大な授賞式典をあげるが、映画は、この輝かしい国際的行事を背景に、 その年の6人の受賞者の私生活や、国際間の対立が織りなす、華やかでスリルに満ちたサスペンス・ドラマである。
 原作は、「風と共に去りぬ」以来の爆発的ベストセラーと目されている「ザ・プライズ」で、 アービング・ウォーレスのこの小説が、1962年に初めて世に出ると、息もつかせぬ面白さに、早くも映画化が期待された。 MGMぱ、出版以前に、いちはやく映画化権を獲得、1963年度の重要作品の一つとして、12月アメリカ封切りを目指し、 着々準備を進めた。特別試写会の反応は、小説以上の面白さとの声も多く、随所に笑いを持つ絶好のサスペンス・ドラマとなっている。
 脚色には 「北北西に進路を取れ」「ウエスト・サイド物語」などのアーネスト・レーマンが当り、 「チャンピオン」「孤独の関係」などの名匠マーク・ロブソンが監督した。撮影監督は「西部開拓史」 「オーシャンと十一人の仲間」などの名手ウイリアム・H・ダニエルズで、戸外シーンはストックホルムの現地ロケ、 またノーベル賞式典シーンは、毎年の例にのっとって撮影された。尚衣装担当は「プレイボーイ」のビル・トマスである。
 主な出演者は、「ハスラー」「ハッド」などの演技派ポール・ニューマン、「明日になれば他人」「青い目の蝶々さん」などの 老練エドワード・G・ロビンソン、「勝利者」「ラブ・ハント講座」などの、ドイツ映画界の名眸エルケ・ソマー、 「青年」「五時十二分」などの新星ダイアン・ベーカー、「ギャンプルの王様」「新七つの大罪」などのフランス女優 ミシュリーヌ・プレールという多彩な顔ぶれで、彼らをめぐり、フランス俳優のジェラール・ウリ、 「大夜襲」のイタリア俳優セルジョ・ファントーニ、「ミサイル空爆戦隊」のケビン・マッカーシー、 「罠にかかったパパとママ」のレオ・G・キャロル、先程来日したTV映画「サンセット77」のジャクリーヌ・ビアらが活躍する。
 「渇いた太陽」 「バタフィールド8」などのパンドロ・S・バーマンが製作に当った。
 <梗概>  北欧スウェーデンの12月は真冬だ。だが真冬の寒さをはねとばして、主都ストックホルムは栄光に沸き立っていた。 今年も、世界最高の人々を迎えて輝かしいノーベル賞授賞式典をとり行う季節―ノーベル週間がやって来たのだ。
 だが周囲の祝賀気分をよそに、落着きのない不安な気持ちに駆り立てられている人がいる。 主催者ノーベル財団の副理事長ジャコプソン伯爵だ。伯爵の不安は毎年のことだが、この世に欠け替えのない人々を迎え、 とどこうりなく授賞式を終えて、彼らを無事に送り出すまでは、心配で心配でならないのだ。
 この誠実な老伯爵に頭を痛めさせるのは、今年は次の6人であった。
 まず、物理学賞に選ばれたマックス・ストラトマン博士は、第二次大戦直後ドイツからアメリカに帰化した温厚な学者で、 老齢の上心臓が弱いらしく、若くて美しい姪のエミリーと一緒だった。太陽エネルギーの研究と 新ロケット推進燃料の開発が認められての受賞である。
 生理・医学賞部門では、心臓移植の研究が実って、アメリカのジョン・ギャレット博士と、 イタリアの力ルロ・ファレリ博士が栄与を分け合った。お互に一面識もなく、それぞれ独自の研究が、 期せずして一致したのだが、ギャレット博士は、ひとの研究を盗んで受賞に割り込んだと、ファレリ博士にひどく腹を立てていた。
 男性生殖細胞のガラス化保存に成功して化学賞を受けたのは、フランスの化学者夫妻、 クロード・マルソー博士と夫人のデニーズ・マルソー博士だ。研究にかけては、ぴったり呼吸のあう、またとないカップルだが、 私生活は必ずしもそうでなく、一緒に連れて来た夫君の美人秘書モニーク・スビアを挟んで、夫婦間の雲行きが急だった。
 もう一人はアメリカの作家アンドルー・クレイグだ。キプリングが42才で受賞してこのかた、 最年少の文学賞受賞者だが、ここ数年間はペンをとるよりも、酒に浸っている時の方が遙かに多いという変り者で、 ノーベル賞も賞金5万ドル欲しさにお受けしたと公言してはばからなかった。 伯爵最大の悩みのタネになりそう・・・(137分)

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