たたり<The Haunting> (63年) |
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<スタッフ> 製作・監督 原作(小説) 脚色 撮影 美術 音楽 <キャスト> エレナー セオドーラ ジョン・マークウェイ博士 ルークラス・タンブリン |
ロバート・ワイズ シャーリー・ジャクソン ネルソン・ギディング デイビス・ボウルトン エリオット・スコット ハンフリー・シアール ジュリー・ハリス クレア・ブルーム リチャード・ジョンソン ラス・タンブリン |
これは一般に幽霊と云われる心霊現象を扱ったスリラーもしくは恐怖映画で、
「ウエスト・サイド物語」「拳銃の報酬」「私ほ死にたくない」などをはじめ、
最も見応えある映画を発表している名匠ロバート・ワイズが監督ならびに製作に
当った野心作である。
科学が宇宙を支配しようとしている現代、われわれの最も身近かな所にありながら、 万能の科学がいまだに光りを当て得ないでいる取り残された黒い領域、 即ち心霊の世界に取り組んだものだが、 「これはいわゆるお化け映画ではない。ここには経惟巾や骸骨など、 いかがわしいものは何一つ出て来ない。それでいて脊筋が寒くなり、 肌に粟を生じさせずにはおかない。」 と、ワイズ監督は自信のほどを語っている。事実彼は、撮影前の数ヵ月間を、 新しいカメラ技術や音響効果の研究工夫に過ごすという力の入れようである。 原作はシャーリー・ジャクソン女史のベストセラー小説「丘の家の怪」 (HAUNTING OF HILL HOUSE)で、「拳銃の報酬」「私は死にたくない」などのワイズ作品と同じく、 ネルソン・ギディングが脚色に当った。 この映画の主人公とも云える「丘の家」には、今でも幽霊が出ると云われる エチングトン・ホールという英国の由緒ある館が選ばれ、「怪獣ゴルゴ」のトム・ハワードが 特殊効果を担当、デイビス・ボウルトンの撮影と、 ハンフリー・シアールの音楽が素晴らしい効果をあげている。 主な出演者は、ブロードウェイの舞台女優で、映画やTVにも活躍するジュリー・ハリス、 「チャップマン報告」のクレア・ブルーム、「戦雲」のリチャード・ジョンソン、 「ウエスト・サイド物語」のラス・タンプリンの4人で、 助演陣は「死霊の町」のバレンタイン・ダイアルはじめ英国の俳優でかためている。 | <梗概>
ニュー・イングランドの人里離れた寂しい地区に、大きな館が一軒ぽつんと立っている。
人々は「丘の家」と呼んでいるが、誰からともなく、空恐ろしい、いまわしい噂が流れて、
住む人もなく、もう百年近くも立ちつくしていた。それでも昼間は、数マイルも離れた町から夫婦者が来て、
この家の世話をしているが、夜は全くの無人で、不吉な星の下に生まれ出た呪われた家と云われ、
寄りつく者とてなかった。
この館はヒュー・クレインという人が夫人のために建てたものだったが、 夫人はここに住んだことも、いや見たことさえなかったろう。門から玄丙へ導く長いドライブウエイの中間に、幾抱えも ある大木がそびえ立っているが、夫人が初めてこの家に現われた時、どうしたことか、 彼女をのせて疾走する馬車が大木に激突した。その幹に残る大きな傷痕が、 今もなお夫人の痛ましい死を物語っていた。 「丘の家」は更に多くの犠牲者を要求し、どれもこれも無惨な死や自殺に終る悲劇が次々と続いた。 あの館は物の怪の虜になっている、土地の人々は今もそう信じていた。 館は現在ボストンに住む寡婦のサナーソン夫人に受けつがれていたが、 夫人はそこに住む気持ちなどさらさらなく、それどころか人の住めるところとも思っていなかった。 ところが、こんな家に借り手がついて夫人をびっくりさせた。 借り手は大学の人類学教授ジョン・マークウェイ博士で、奇怪な謎に包まれたこの幽霊屋敷こそ、 心霊研究の願ってもない場所と考え、この夏この家の調査を目論んだのだった。 博士はこのために2人の助手を選んだ。 エレナーとセオドーラで、どちらも30前後の女性だった。・・・(114分) |