12人の怒れる男

<Angry Men>   (57年)

<スタッフ>
製作

製作補
監督
脚本
撮影
美術
音楽
編集

<キャスト>
陪審員第8番
陪審員第3番
陪審員第10番
陪審員第4番
陪審員第7番
陪審員第1番
陪審員第2番
陪審員第5番
陪審員第6番
陪審員第9番
陪審員第11番
陪審員第12番

ヘンリー・フォンダ
レジナルド・ローズ
ジョージ・ジャスティン
シドニー・ルメット
レジナルド・ローズ
ボリス・コーフマン
ロバート・マーケン
ケンヨン・ホプキンス
カール・ラーナー


ヘンリー・フォンダ
リー・J・コッブ
エド・ペグリー
E・G・マーシャル
ジャック・ウオーデン
マーティン・バルサム
ジョン・フィードラー
ジヤツク・クルグマン
エドワード・バインス
ジョセフ・スウィーニー
ジョージ・ヴォスコヴェク
ロバート・ウエバー
 「女優志願」で一躍我が国でも注目の的となった新鋭シドニー・ルメット監督と、 「女優志願」「間違われた男」のヘンリー・フォンダのコンビ作品だが、 「女優志願」に先立って製作され、海外では既に公開されて絶讃を博しており、 我が国でも公開を熱望されていたものである。
 勿論ルメットの映画監督デビュー作であると共に、共同製作者のヘンリー・フォンダと レジナルド・ローズにとっても独立プロデューサーとしてのデビュー作である。 製作社名のオリオン・ノヴァ・プロはフォンダのオリオン・プロとローズのノヴァ・プロが合体したものである。
 原作はローズの書いた同名のヒットTV劇(ルメット演出)で、撮影は「波止場」で アカデミー撮影賞を受賞した名手ボリス・コーフマンが担当、終始一室の中で展開される むづかしい物語を美事な切れ味のカメラ・ワークで描き出している。
 出演者はヘンリー・フォンダの他、映画俳優としてはリー・J・コッブただ一人で、 その他はすべてTV・ブロードウェイの名性格俳優で揃えており、その卓抜したグループ・パーフォーマンスは、 オーヴァー・ラップやフェード、フラッシュ・バックは一際使用せず、 物語は全部で397のカットでつなぎ、しかも一つとして同じアングルのカットは使用していない。 また映画の上映時間と物語の時間とが完全に一致する、などの、意欲的なルメットの演出と相まって、 第7回ベルリン映画祭ゴールデン・ベア最優秀作品賞を初めとする、数々の褒賞の主因となった。
 撮影は総てニューヨークで行われ、作ったセットは陪審室一つだけだった。 この陪審室はニューヨーク市内の幾つかの裁判所の陪審室を参考にして作ったもので、 狭い室内の撮影を可能にするため、壁を取り外し出来るように設計された。 撮影は6週間で完成した。(「女優志願」でもルメットは撮影に6週間しか要しなかった。)


 <梗概>  物語ほニューヨークの法廷に始まるる。
 殺人事件の審理が終ったところで、12人の陪審員達は評決のため陪審室に引上げて来た。 被告は日頃から不良と目されている17才の少年で、実父を飛出しナイフで刺殺した容疑だった。
 その日は、その夏でも一番暑い日なので、12人の男達は疲れ切っており、 早く評決を済まして家へ帰りたい気持が言わずもがなに各々の顔に浮かんでいた。
 第1回の評決は11対1で、有罪を主張する者が圧倒的だった。 反対したのは第8番ただ1人で、被告は貧民街
に育ち、9才の時に母を失い、殺された父親は前科者だから、少年に兇暴性のあるのほ当然だ。辛い17年の 生涯を送って来たのだから、此処で1時間位考えてやってもいいだろう、と提言した。
 第三番が証拠を読み上げた。殺人の行われた部屋の真下に1人で住んでいる老人が、 殺人事件の起った夜、12時10分に大声で「殺してやる」と怒鳴った少年の声を聞いたと証言している。 それから直ぐ人の倒れる物音がしたので、老人がベッドを降りて廊下に出て見ると、 被告が階段を馳け降りるのが見えた。警察は被告者の胸にナイフが突き立つているのを発見した。 逮捕された被告はその時間に映画を見ていたと申立てるが、どんな映画だったか思い出せないと言う。
 第10番は、往来の向う側に、高架鉄道を挟んで殺人の行われた部屋と相対して住んでいる オールド・ミスが、折から通過した空列車の窓を通して殺人を目撃したと述べた。
 第6番は、アパートの住人達が親子がその晩口論したと証言した事を言い出した。 これに対して第8番は、目撃者は1人きりだし、被告の逃げる後姿を見たのも1人きりだ。 この2人が間違っているかもしれないと反駁した。
 陪審員達は兇器のナイフを再検討することになった。このナイフは被告が殺人の晩に 買ったことを認めている。然し被告はそのナイフはポケットの穴から落ちたので、 法廷へ持出されるまで見かけなかったと述べている。第8番は突然立上ると、 自分のポケットからそれと同じ形のナイフを取り出して一同に示した。
 このナイフの効果は十分あった。二度目の評決が無記名で行われ、有罪10に対して 無罪が第8番の他に1人増えた。無罪に変ったのほ第9番だった。 味方の出来たことに力を得た第8番は被告の父は乱暴者だったから、 彼を殺しでやりたいと思っていた者は多勢あったかも知れず、また、 殺人を目撃した女は高架鉄道の通過の際犯行を見たと言うが、猛烈な音を立てて列車が通っている際、 どうして老人が被告の声を聞きとれただろう、と言いだした。
 第9番は、あの老人は人々の注意を引きたかったので、 あんな事を言ったのではないだろうかと語り、第11番は、若し少年が犯人なら、 なぜ捕まると判っている我が家へ帰ったのだろう、と疑問を提出した。
 評決が取られた。今度は無罪を主張する者が4人になった。 ・・・     (95分)

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