哀 愁

<Waterloo Bridge>   (40年)

<スタッフ>
監督
原作
脚色


撮影
音楽

<キャスト>
マイラー
ロイ・クローニン
マーガレット・クローニン

マービン・ルロイ
ロバート・E・ジャーウッド
S・N バーマン
ハンス・ラモー
ジョージ・フローシェル
ジョゼフ・ルッテンバーグ
ハーバート・ストッサート


ビビアン・リー
ロバート・テイラー
ルシル・ワトソン
 1949年わが国で公開されるや、全国の映画ファンを感動と涙の渦にまきこみ、空前のヒットをみせた この「哀愁」は、人々の心に広く知られ、深く印象に焼き付けられた恋愛映画の最高傑作である。 そして、今ふたたびわが国で公開されることになり、あの当時の感激も新たに、この不朽の名作に 接することができるわけである。
 霧深きロンドンを背景に、青年将校と可憐なバレリーナの悲しくも美しい恋愛を中心に、戦争の暗さ ――運命の呪わしさ――そうしたなかで虹のような淡い彩光を放つ、恋愛や人間の真心をみごとに 描きだしたこの作品は、アメリカ一流の劇作家であり、「我等の生涯の最良の年」「幽霊西へ行く」などの 脚色で著名たロバート・E・シャーウッドの舞台劇を、1940年、アメリカ映画界の巨匠マービン・ルロイ監督が 映画化したもの。なお、彼はこのあと「心の旅路」「クオ・ヴァディス」「若草物語」「ミスター・ロバーツ」 「連邦警察」など数多くの作品を手がけている。この「哀愁」においても巨匠の貫録充分、画面のすみずみまで 気を配った演出により、原作をはるかにしのぐ、哀切甘美なムードを盛り上げるのにみごと成功している。
 脚色は「征服」「奥様は顔が二つ」のS・N バーマソ、「キューリー夫人」のハンス・ラモー、 「心の旅路」のジョージ・フローシェルの3人が共同脚色し、撮影は「心の旅路」「ミニヴァー夫人」 「白鳥」「ジジ」の名手ジョセフ・ルソテンバーグ、音楽は「心の旅路」のハーバート・ストッサートという、 いずれもベテラソ揃いのスタッフである。
 登場する主なスターは「風と共に去りぬ」によってその美貌と演技カを一躍全世界に とどろかせたビビアン・リーが前作「美女ありき」にひき続いて出演、薄幸のバレリーナ、マイラに扮して、 心憎いまでの名演を示してい
る。相手役の青年将校ロイ・クローニンには、バレンチノ以来の美男として 全世界の女性の胸をときめかせた「クォ・ヴァディス」「円卓の騎士」「王家の谷」のロバート・テイラーが 扮している。このほか、名女優ルシル・ワトソン、今は亡い名優セシル・オーブリー・スミスなど、 舞台と映画に活躍する芸達者がそれぞれ熱演をくりひろげ、主役の二人をたすけ、この作品を更に 見ごたえあるものとしているのは見逃せないことである。

 <梗概>  第二次大戦開戦の日、フランス戦線に赴く前のひとときを、霧深いウォータールー橋にひとりたたずんで、 じっともの想いにふける気品高いイギリス将校があった。ロイ・クローニン大佐である。彼の手には、 象牙製の小さたお守り人形がかたく握られていた…。
 想い出は二十数年前にさかのぼる。第一次大戦のさなか、フランス戦線から体暇帰国中の青年大尉 ロイ・クローニンは、前線復帰を明日にひかえて、ウォータールー橋からロンドンとのしばしの別れを 惜しんでいた。
 折から空襲警報のサィレンが鳴った。あわてて地下鉄の構内に待避する少女の一団の中で、 お守り人形を落してあわてている一人にロイは手を貸してやった。
 退避している間、二人はいつしか親しい口を聞くようにたった。この可憐な少女の名は マイラといって、キロウ女史のバレー団の踊り子だった。警報が解けて、マイラと別れるロイの手には、 彼の武運を祈って、例のお守りの人形が渡されていた。
 その夜、劇場でいつものように踊っていたマイラは、客席にロイの姿を見出して、心がはずんだ。 聯隊長の晩餐会を棒にふって、来てれたのである。楽屋に戻ったマイラには、ロイの食事の誘いが待っていた。 ・・・
    (110分)

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