雨のランチプール<The Rains Ranchipur> (55年) |
||
<スタッフ> 製作 監督 原作 音楽 <キャスト> エドウィーナ 医師サフリ トム・ランサム ファーン エスケス卿 |
フランク・ロス ジーン・ネグレスコ ルイーズ・ブロムフィールド ヒューゴー・フリードボーハー ラナ・ターナー リチャード・バートン フレッド・マクマレイ ジョーン・コールフィールド マイケル・レニイ |
ルイズ・プロムフィールドのピュリッツァー受賞小説「雨季来たる」の映画化は
今度で二度目である。戦前タイロン・パワー、マーナ・ロイ共演「雨ぞ降る」という
日本題名で公開され好評をはくしたことを記憶している人もあろう。
インドという風変りな国の特異なフンイキの中で起るこの恋物語は、
物語の中に織りこんだ洪水や地震など天変地異をスペクタクルとして扱える点で
きわめて映画的である。シネマスコープに一度はならざるをえないテーマである。
製作は「聖衣」のフランク・ロスで、小説家として有名なマール・ミラーが脚色、 「愛の泉」「足ながおじさん」のジーン・ネグレスコが監督した。 主演者は最近「プロディガル」に出演したラナ・ターナー、 「聖衣」のリチャード・バートン、「ケイン号の叛乱」「殺人者はバッヂをつけていた」のフレッド・マクマレイ、 「楽し我が道」「恋人騒動」等に出演したジョーン・コールフィールド、 「聖衣」「一穫千金を夢みる男」のマイケル・レニイ。 ジョーン・コールフィールドはパラマウントが売り出した新人であったが、 テレビに活躍し、映画出演は久しぶりである。 以上5人の主役のほかにモスコウ生れの舞台女優ユージェニイ・レオントヴィッチ、 劇作家で女優のグラディス・ハールバット、サイレント時代のスター、マッジ・ケネディ、 イタリアの喜劇俳優カルロ・リッツォ等が助演している。 音楽は「夢去りぬ]のヒューゴー・フリードホーファー、 撮影は「愛の泉」でアカデミイ賞を得、最近「七年目の浮気」をとったミルトン・クラスナーである。 この映画はインドでロケされるはずであったが、許されなかったのでパキスタンで撮影されたものである。 撮影日数2カ月、経費400万ドルの大作である。 なお、この物語の女主人公に扮する女優としてラナ・ターナーのほかにリタ・ヘイワース、エヴァ・ガードナーが 候補にのぼり結局ラナ・ターナーときまったが、この役を望んだという彼女は好演を示している。 |
<物語>
季節風がやがで吹こうとする前ぶれの酷暑がインド全土をおとずれたころ、
ここランチプールにイギリスの貴族アラン・エスケス卿がアメリカ生れの美しい夫人
エドウィーナをつれてやっでくる。この2人は恋愛結婚ではない。
エドウィーナはアランの爵位を、アランはエドウィーナのあり余る財産を目あての結びつきであった。
アランは馬道楽で、ランチプールの大公妃がもっているアラビア馬を買いとるためにやってきたのである。 エドウィーナは自惚れの強いわがまま者で、素行が悪いのが評判であったから、 それを知っている大公妃は最初からエドウィーナを白眼視していた。 やがて大公妃がエスケス夫妻のために晩餐会を開きその土地の名士たちを集めたが、 その中の一人トム・ランサムはエドウィーナの幼な友だちで異色であった。 彼はアメリカの大学の土木技師で生来まじめで、すぐれた腕の持主だが、 第二次大戦に航空兵として従軍してから人生に幻滅を感じ、理想を失いランチプールヘ流れてきてから 孤独の身を酒にまぎらしている。 この彼が珍らしく若い可憐な娘ファーン・サイモンをつれてやってくる。 トムはごの娘にその日の午後初めて会っばかりであった。 ファーンはアメリカ南部の大地主サイモン家の家系をひく伝導師の娘で、 彼女だけが晩餐会に招かれたので、母親にすすめられてトムに附添いを頼みにきたのであった。 そのとき無邪気な彼女はトムに自分の悩みうちあけた。彼女が故郷アイオワ州へ帰って 教育をうけ学校教師になりたいと望んでいるのに両親に気にそまぬ結婚を強いられているというのであった。 パーティの客の中の異彩はサフティであった。彼はインドの賤民階級の出で 幼いときから大公妃の保護の下にイギリス本国で教育をうけた若い医師で、 インド独立運動にもたずさわった志士であつた。 この美男の若者を浮気者のエドウィーナが見逃すわけはない。 彼女の眼はたちまち・・・ (104分) |