地上より永遠に

<From Here to Eternity>   (53年)

<スタッフ>
製作
監督
原作
脚色
撮影
美術
音楽
編集

<キャスト>
ロバート・E・リー・ブルーイット
ミルトン・ワードン軍曹
アンジェロ・マジオ
カレン・ホームズ
ロリーン
"ファツオ"・ジャドスン軍曹
パタレイ伍長

バディー・アドラー
フレツド・ジンネマン
ジェームズ・ジョーンズ
ダニエル・タラダッシュ
バーネット・ガフィ
カーリイ・オデル
モーリス・ストロフ
ウイリアム・ライオン


モンゴメリー・クリフト
バート・ランカスター
フランク・シナトラ
デポラ・カー
ドナ・リード
アーネスト・ボーグナイン
ジャック・ウォーデン
 これは、「風と共に去りぬ」以来のベストセラー小説として、また、アメリカ陸軍の軍隊組織内の 醜と悪、虚偽と傲慢に鋭いメスを入れ、そこに兵士個々の愛と憎を描きあげた、その特異な内容をもって、 全米に異常なセンセーションを呼んだジェームズ・ジョーンズの長編小説の映画化である。
 ジョーンズ(1921年生れ)は、裸者と死者" の著者ノーマン・メイラーとともに、 戦後アメリカ文壇を代表する双壁といわれている。ハイスクール卒業後、彼は軍隊に志願し、 日本軍の真珠湾攻撃の際には、ハワイのオアフ島にあるスコーフィールド兵営で、その実際を目撃し、 その後、ガダルカナル島に従軍、負傷したが、その間、下士官に昇進しながら軍規にそむき、 二度までもー兵卒に降等させられた経験がある一方、ハワイにいた頃、彼は小説を書き始めたが、 44年、除隊後間もなく、著名な編集者パーキンズの勧めによって−地上より永遠に−を書き、 51年に発表した。
 一般大衆からばかりでなく、知識階級からも広く歓迎されたこの小説は、英国、フランス、ドイツ、 イタリア、テンマーク、スウェーデン、ノールウェイ、スペイン、そして日本等の諸外国でも出版され 本国同様、広い読者層の支持を得た。ハリウッド各社がこの映画化権をめぐって激しい争奪戦を演じたのは 当然であろう。
 製作は故バディー・アドラー(南太平洋)、監督はフレッド・ジンネマン(サンダウナーズ)、 脚色はダニエル・タラダッシュ(媚薬)、撮影監督は名手バーネット・ガフィ(殴られる男)、 首楽監督はモーリス・ストロフ(わが恋は終りぬ)、背景音楽はジョージ・ダニング(悪名高き女)。
 出演は、モンゴメリー・クリフト(ニュールンベルグ裁判)、パート・ランカスター(終身犯)、 フランク・シナトラ(荒野の3軍曹)、デポラ・カー(回転)、ドナ・リ−ド (ベベ、TV・うちのママは世界一)、アーネスト・ボーグナイン(バラバ)と、完壁、豪華な布陣である。
 かつてなき題材の特異性、出ずペくして遂に出た人間愛追求の大口マン。映画は、2年間の準備のすえ、 米国防省の協力を得て、物語の舞台であるハワイ現地スコーフィールド兵営、ローヤル・ハワイアン・ホテル、 ワイキキ・ビーチ、ホノルル・ヴァレー、ダイアモンド・ヘッド、ホノルル市街、ワイアルアエ・ゴルフ・コース等に 長期ロケを敢行、製作された。
 <梗概>  太平洋戦争の始まる数ヶ月前、1941年の夏、ブルーイット(ブルー)という青年兵が ホノルルのスコーフィールド兵営に転隊して来た。年令23才。一見軟弱そうだが、 その実、剛直な彼は、前の隊でラッパ手長だったが、他の兵が彼の代りになることになったため、上官に反抗、 伍長から一兵卒に降等され、転隊させられたのだった。
 しかし、新しい部隊に公正な待遇を期待して来た彼の希望は見事に裏切られた。
 ブルーの配属された中隊はスポーツに血道をあげている風変りな部隊だった。 中隊長のダナ・ホームズ大尉は、ブルーが以前の隊でミドル級チャンピオンだったことを知り、 自分のチームに入るなら、いずれ近いうちに下士官に昇進させてやると誘いをかけた。
 しかしブルーは、これをにべもなく断った。実は、彼には戦友を失明させた過去がある。 以来、彼は二度とグローブを手にしないと誓っていたのだった。
 だがボクシングによってチームを優勝させ、自己の昇進を目論でいるホームズ大尉は、 執拗にブルーに迫った。ワードン軍曹も、悶着の種になるような反抗はやめろとブルーに警告した。 実質上、中隊の支配者である軍曹は、多年軍隊生活の中を巧みに要領よく渡って来たタフな典型的な職業軍人だった。
 ワードンの警告通り、ホームズ大尉のブルーに対する圧迫は日増しに強くなった。 そして今では中隊のほとんどの者が不当に彼を虐待した。トリートメント≠ニ称する虐待行為が堂々と行われた。 しかし、そんな周囲にあって、ただ一人、ブルーの味方があった。激情的でひょうきんなイタリア系米人マジオ一等兵だった。
 その頃、ワードンは、大尉が自分に中隊の全責任を負わせきりで、 酒や女にうつつをぬかしているのをいいことに、その魅惑的な妻カレンに近付き始めていた。
 カレンは、以前からG・T仲間でとかくの噂の的になっている女性で、冷酷で不貞な夫に憎悪しか抱いていなかった。 彼女は今までに幾たびとなく夫に離婚を迫ったが、そのつど、出世の妨げになるという理由で夫は応じなかった。 夫に絶望した妻が男に抱くものは、彼らの醜悪さと狡猾さに対する嫌悪だけだった。
 しかし、ワードンを知って彼女の心は動揺し始めた。 かりそめの愛情から宿命の恋へ。・・・  (118分)

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