鮮血の午後<Tarde de Toros> (57年西) |
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<スタッフ> 製作 監督 原作・脚色 撮影 美術 音楽 <キャスト> リカルド・ブエソテ ホァン・カルモナ ロソデニョ二世 バロ |
ビセンテ・センべーレ ラディスラオ・バホダ マヌエル・タマヨ フリオ・コル エソリケ・ゲルネル アソトニオ・シモント ホセ・ムニョス・モリエーダ ドミンゴ・オルテガ アントニオ・ビエンペニダ エンリケ・ベラ マリア・アスケリノ |
さきに嵐のような好評を以て迎えられたスペイン映画「汚れなき悪戯」に次ぐ同映画の監督ヲディスラオ・パホダの
1956年度作品で、スペインが国技としてまたスポーツ以上の芸術としてほこる斗牛をテーマにした大作である。
斗牛をドラマティックに扱った映画には「血と砂」「黒い牡牛」「灼熱の勇者」などその数も少ぐないが、 この映画はスペインの名斗牛士として30年にわたる名声をもつドミソゴ・オルテガをはじめ、 同じく中堅の名手といわれるビエン・ペニタ及び若手のエソリケ・ベラの3斗牛士がドラマティックな主役を演じ、 且つ劇中に本格的た美技をみせるという劃期的な作品である。 実際にこの映画は首都マドーリッド最大の斗牛場「プラサ・デ・ラス・ペンタス」でロケイションされたものであり、 スペイン最高の斗牛士による斗牛のシーソは実物そのもの。ブラサ(スタジアム)の観客席をうずめた6万の観客の昂奮、 歓声、音楽に至るまで実際のままがスクリーンに生々しく再現されている。 斗牛の一日の出来事として、セミ・ドキュメンタリイ映画の手法で構成されたこのシナリオは、 スペインで高名た劇作家で舞台演出家であるマヌエル・タマヨとフリオ・コルによって実話に基いて書かれたもので、 タマヨは「愛と王冠の壁の中に」の原作者である。 <物語> 斗牛の国スペイソの首都マドリッドのとある街角に一枚の大きなポスターが張られ ている。立停っ | た人々の目はそこに書かれた3人の斗牛士、リカルド・ブエンテ、ホァソ・カルモナ、ロンデニョ二世の名にそ
そがれていた。
かつては花形斗牛士として一世を風靡したリカルド・プエンテも、齢はあらそわれず、昔日の人気と地位をすっかり今をとき めくカルモナに譲ってしまっていた。ただプエンテが全盛時代に知り合った女パロマだけは、依然として彼の傍を離れなかった が、彼女とても日に日に打ち寄せるちょうらくの故に焦燥の念はかくせなかった。 試合の当日、パロマは重なる不満を爆発させ、挙句の果て、斗牛場に行くのは、ブエンテではなくカルモナを見るためだと云 い張るのだった。 ホアン・カルモナの妻イサベルは彼の妹アナ・マリアと連れ立って、サラマソカの田舎から、 マドリッドのホテルに止宿している夫を訪ねた。2人の女はそれぞれに目的を持っていたのだ。 イサベルは夫にアメリカ巡業の話があることを知り、その申出を断るように説得するというのである。 夫に危険な斗牛士をやめさせ、田舎で平和に暮すことが初めての子をみごもった彼女の希望なのだ。 一方、アナ・マリアの目的は恋人のロンデニョ二世との結婚の許可を兄から得ることだった。 しかしカルモナは、ロンデニョ二世の斗牛士としての将来を危ぶんで妹の結婚に反対したばかりか、 人気に支えられた彼の自信は妻の切なる願いをも聞き入れようとはしなかった。・・・ (80分) |