歓びのしずく

<The Lover's Grave>   (67年希)

<スタッフ>
監督・脚本

撮影
音楽

<キャスト>
マリア
ディミトリス

ニコス・ジマス
グレゴリー・シスカス
ニコス・ミラス
クリストス・レオンティス


ニッキ・トリアンタフィリドー
ジョルジ・シフィス
 戦後、ギリシャ映画界は数本の商業主義的映画に限定され、興行市場はまったく外国映画に独占されてしまった。その中で 若い監督たちは、少ない製作状況下で細々と映画を作った。更に1960年代になると、 戦後に何回かのクーデターによる影響が激しくなり、世界的な監督ミカエル・カコヤニス、ジュールス・ダッシン、 女優メリナ・メルクーリなどが海外への脱出を試みた。「誘惑」「レモンの涙」の監督ジョルジで 芸術的な作品は、数本のみを残してまったく消失してしまったといっていいだろう。
 その中でセックス描写の激しいエロチシズム映画とミュージカル映画は 海外でも興行的にヒット間違いなしということで、この三、四年間盛んに製作されるようになった。
 現在、ギリシャで製作される四〜五十本の作品のうちエロ映画、セックス映画が大半を占め、 この映画はそのうちでも、愛欲シーンの濃厚さがまれにみる激しさと、ギリシャ本国で驚嘆され、 ヨーロッパ各地で話題騒然となっている問題作である。
 なお、この映画は1961年にギリシャで起こった実話の映画化である。
 主演者は、その美貌と素晴しい肢体を誇り、ギリシャ本国はもとよりヨーロッパで そのグラマーぶりが高く評価されているニッキ・トリアンタフィリドー。長身と肉体美をもって、 ギリシャの女性に圧倒的な人気をもつジョルジ・シフィス。甘い容貌を売りものとするグレゴリー・ツオマキス。 金髪の売れっ子女優ポーリー・ダスカラキらが肋演している。
 監督・脚本はギリシャ映画界の中堅ニコス・ジマスとグレゴリー・シスカスが共同で当り、 美しい田園風景と素晴しいエロチシズムをかもし出す逆光撮影をニコス・ミラス、 音楽はクリストス・レオンティスが担当し、シルタキの音楽を全編に流して効果をあげている。
 <梗概>  美しい田園と海にかこまれたギリシャのある小さな村。
 真昼の陽光がギラギラ照りつけるこの地に、既婚の若者ディミトリスが住んでいた。 彼は村中で大変な働き者として評判が高かった。
 従弟のバシリスの結婚式の日、彼は若く美しい従弟の新妻マリアを一目みるなり好きになってしまった。 マリアもまた、夫バシリス以上に背が高く男らしいディミトリスに深い愛を感じるようになっていった。 バシリスにかくれて2人は密会を重ねた。美しく素朴な田園と青い空。2人の愛の行為は頂点に達した。
 マリア、バシリスそしてディミトリスはともに働き、ともに生活していった。 だが許されざる恋にふけっているディミトリスとマリアにとって、2人の愛が強ければ強いほど 悩み苦しまなければならなかった。そしてバシリスの存在が、2人にとって明確になればなるほど、 お互いの肉体を求め合う毎日が続いてしまうのだった。
 村ではこの2人の密会が噂にのぼるようになった。そして日頃、村の閉鎖的で厳格な道徳規律、 封建的な考えに縛られるのを嫌っていたディミトリスは、バシリスの忠告と肋言をうけて、 少しの間、村をはなれることにした。そして静かなマリア、村、バシリスのことを深く考えるのであった。
 だが考えれば考えるほど、彼のマリアを慕う気持は高まるばかりであった。彼は再び村に戻るや、 マリアにこっそりと逢いに行った。再び燃え上がる愛欲と快楽。だが、2人が愛の頂点に達している現場を バシリスに見つけられてしまった。許しを乞うマリアに、バシリスはののしりの言葉をはき、 半狂乱になってしまった。
 ディミトリスは2人の子供に別れを告げ、バシリスと正々堂々と闘うために、家をあとにした。 まる1日、2人は誇り高く、そして礼儀正しく闘った。闘いつかれた2人は意識を失って野原に倒れた。 ・・・  (83分)

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