わかれ<Sea Wife> (56年) |
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<スタッフ> 製作 監督 原作 脚色 撮影 美術 音楽 編集 <キャスト> ビスケット 海の妻 ブルドッグ 四番目 テディ |
アンドレ・ハキム ボップ・マクノート J・M・スコットの小説 「海と妻のビスケット」より ジョージ・K・バーク テッド・スケイフ アーサー・ロウスン ケネス・V・ジョーンズ レオナルド・サルツェドー ビーター・テイラー リチャード・バートン ジョーン・コリンズ バジル・シドニイ サイ・ガーネット ロナルド・スカイア |
これは暑熱と飢渇に苦しみ、死の恐怖と脱いつつ幾月も大洋を漂施した1人の美しい女性と
3人の男の冒険と、結ばれぬ運命の下におかれた若い男女のやるせない別離の情を描くJ・M・
スコットの小説 SEAWIFE AND BISCUIT(海の妻とビスケット)の映画化で、製作はフ
ォックスでは「人生模様や」、最近 THE MAN WHO NEVER WAS(実在しなかった男)を
出したアンドレ・ハキム、監督はイギリス出身の新人ポップ・マクノートで、脚色はジョー
ジ・K・バーク、撮影は「文無し横丁の人々」のテッド・スケイフである。
主演者はイギリス出身で「聖衣」「アレキサンダー大王」「雨のランチプール」に出演 したリチャード・バートン、同じくイギリス出身で「ピラミッド」「夢去りぬ」に出演し57年5月に STOPOVER TOKYO 撮影のため来日したジョーン・コリンズ、これもイギリス出身で「情炎の女サロメ」 「暁の出航」「八十日間世界一周」に出演したバジル・シドニイと新人サイ・シドニイで、 他に「彩られし幻想曲」のロナルド・スカイア、「ロマンス・ライン」のジップ・マクローリン等が 出演している。 <物語> 1947年のことである。ロンドンの色々な新聞の人事広告欄に「ビスケット」という名前で 「海の妻」の行方をたずねる不思議な広告が毎日のように出たが、そのうちに、 ある日、この新聞広告によって「ビスケット」と名乗る若い男はある病院で病いを養っていた「ブル ドッグ」と名乗る年輩の男と会うことになった。「プルドッ |
グ」は病院へ訪ねて来た「ビスケット」
に「海の妻」に関することは一切諦めてくれと語ったが、ここで物語は1942年にさかのぼる。
大平洋戦争が始まってまもなく陥落を間近にひかえたシンガポールから引揚者を乗せて出 港した汽船が、その夜沖合で潜水艦の魚雷攻撃をうける。船はやがて爆発を起して沈没したが、 最後にゴム製の救命ボートにた乗って避難した4人の人たちがいた。その中の一人はうら若い美 しい尼僧(ジョーン・コリンズ)、いま一人は平服を着た英国空軍将校(リチャード・バートン)、 他の一人はデブの実業家(バジル・シドニイ〉で、最後は船の事務長をしていた黒人(サイ・ グラント)であった。 それから幾月がたち、ボートは炎天下のインド洋を漂流したが、やがて4人は互に仇名で呼 び合うようになった。やさしく美しい尼僧は人魚を意味する「海の妻」、携帯食糧のビスケッ トをもっていた空軍将校は「ビスケット」、デブの実業家は「プルドッグ」、最後にポートに 救い上げられた黒人の事務長は「四番目」と呼ばれるようになった。 以上4人の中のデブの実業家は、きわめて利己的な男で、大の宗教ぎらいで、人種的偏見を もっている。だから彼は黒人である「四番目」を嫌悪していた。「海の妻」は遭難の際、白い 上着を着たきりだったので、彼女が尼僧であることを知っていたのは船の事務長であった「四 番目」だけであった。・・・ (82分) |