成功の甘き香り

<Sweet Smell of Success>  (57年)

<スタッフ>
製作

 監督
原作
 脚色

撮影
美術
音楽

<キャスト>
J.J.ハンセッカー
シドニイ・ファルコ
スーザン・ハンセッカー
スティーヴ・ダラス
フランク・アンジェロ
リタ

ジェームス・ヒル
ハロルド・ヘクト
アレクサンダー・マッケンドリック
アーネスト・リーマン(中篇小説より)
クリッフォード・オデッツ
アーネスト・リーマン
ジェイムス・ウォング・ホウA・S・C
エドワード・カレーヤ
エルマー・バーンステイン


バート・ランカスター
トニイ・カーティス
スーザン・ハリスン
マーティン・ミルナー
サム・レヴィーン
バーバラ・ニコルズ
 ブロードウェイと云う複雑な世界でひと旗あげるためには、人間の品位ばかりでなく、ルー ルをも無視して生存競争に打勝たなければならない。この映画に描かれるのは、そうした苛酷 な斗争に捲きこまれた人間の辿る、惨めな運命である。
 裏側から見たブロードウェイ――大新聞の寄稿家と、プレス・エージェントと、芸能人の世界……その三者 のつながりを別抉しているのが今や独立プロとして、日の出の勢いを誇るヘクト・ヒル・ランカスター・プ ロの作品「成功の甘さ香り」である。
 バート・ランカスターが権勢におごり、狂的なまでにそれを過信する寄稿家、トニー・カーティスが金次 第でどうにでもなるプレス・エージェントを演じ、この映画でデヴューするスーザン・ハリスンが、ランカ スターの妹に扮する。ほかに、マーティン・ミルナー、(我ら自身のもの、0K牧場の決斗)、サム・レヴィン (野郎どもと女たち)、バーバラ・ニコルス (ながれ者)、ジェフ・ドンネル等が共演。監督はアレクサンダ ー・マッケンドリック。劇作家として過去に多くの問題作を有する、クリフォード・オデッツと、アーネスト・ リーマンの共同脚本。原作はコスモポリタン誌に連載されたアーネスト・リーマンの小説。撮影はジェー ムス・ウォング・ホウ、有名なチコ・ハミルトン・ジャズ五重奏団が伴奏をいれている。
 ブロードウェイの獅子身中の虫の生態を捕えようと、スタッフは前後3週間と云うもの腰を据えて、ブロー ドゥェイとその附近のロケーションを行った。
 日頃は大体威勢のいいロマンチックな役ばかりを演ずるバート・ランカスターと、トニー・カーティスの 2人が、この映画では、著にも棒にもかからない悪役を演じている。映画の「スタア」として騒がれるだけ では満足できず、真の演技者になりたいと云う、2人の願望から生れた役である。とは云っても、ランカス ターの方は特に最近、単なるロマンスの主人公と云うよりは性格描写の裏付けある役を求めてきた。「愛し のシバよ帰れ」の酔いどれ役、「地上より永遠に」の峻厳な軍曹、「パラの刺
青」での外向的な性格のトラッ ク運転手、「雨をふらす男」のイカサマ師等がそれである。が、トニー・カーティスの方は、嘘ばかりついて、冷 血で、自分の出世のためには誰でも裏切ると云う今度の役は、正に豹変である。

 <物語>  ブロードウェイのプレス・エージェント、シドニー・ファルコは、彼の夢みる成功″を得るために、莫大な投資を続 けていた。しかも彼は、自分の良心を切り売りする事でそれを支払ってきたのである。その彼を 巧みに利用しているのが、大新聞のコラムニスト、J.J.ハンセッカーであった。
 しかしこのところ、シドニーはハンセッカーのおぼえがあまり香しくなかった。彼が顧 客から依頼され、ハンセッカーに頼みこんでいる記事が、すべて新開に出ていないのである。 そのために彼は、連日彼の不信をせめる電話に追いまくられ、血眼になっていた。その原因は、 彼がハンセッカーから与えられていた役目――ハンセッカーの妹スーザンと、あるナイトクラ ブの人気バンド、チコ・ハミルトン・クインテットのギター弾きスティーヴとの仲を裂けと云う命令――がうまく遂 行されていない事にあった。
 ハンセッカーは、残酷な努力家としてジャーナリズムに君臨していたが、彼の妹に注ぐ愛情 も、又きわめて変質的な独占慾だった。
 ステイーヴのマネジャー、ダンジエロは、シドニーの実の叔父だが、このタンジュロの二人の間はもう終った≠ニ云う 情報から、シドニーは、実の所たかをくゝっていたのだ。しかし事実は、そうではなかった。
 かくてシドニーが選んだ手段は、やはり大新聞のコラムニストであり、ハンセッカーの職業上のライヴァルでもあるオティス・エルウエル に、ある歌手が麻薬中毒であると云う捏造記事を書かせる事だった。被は、自分のおんなであるナイトクラブの煙草売りリタを、 一夜エルウエルに提供する事によって、そのたくらみに成功した。・・・
    (96分)

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