理由なき反抗

<Rebel without a Cause>   (55年)

<スタッフ>
製作
 監督・原作
撮影
 音楽

<キャスト>
ジム
  ジュディ
  ジムの父
  ジムの母
  プレイトウ
  グーン
  ムーズ
 

デヴィッド・ワイズバート
ニコラス・レイ
アーネスト・ホーラー
レオナード・ローゼンマン


ジェームス・ディーン
ナタリー・ウッド
ジム・バッカス
アン・ドーラン
サル・ミネオ
デニス・ホッパー
ニック・アダムス
 映画史上に天才も多かったろうけれどもジェイムス・ディーンは、まさにところを得て生れた 天才であった。既成大スタアの貫録もそろそろ立ち消え、かと言って新人も冴えぬハリウッドにあって 「エデンの東」の名匠エリア・カザンに発掘された彼は、この一作で、絶妙な芝居を見せた。
 この映画は企画を彼のパースナリティに合せたと言ってよい程文字通り ジェイムス・ディーンうってつけの作品であり、又ある意味では彼本来の赤裸々な姿を表現した一篇であるとも言へよう。
 物語の環境は話題作「暴力教室」とも共通する中に、青少年の心理をより深刻にえぐった リアティなもので、近年多くなった青少年犯罪の動機を犯罪心理学の面からも、するどく追求した最近の 異色作である。
 主演はジェイムス・ディーン。加えて「銀の盃」ですつかり個性、演技共に成長を見せた 可憐ナタリー・ウッドが彼の相手役として登場しており、この2人をめぐって 「四角いジャングル」のジム・パッカス、「紅の翼」のアン・ドーラン、それにウイリアム・ホッパー、 「肉の蝋人形」のヴァージニア・ブリサック、「マッコーネル物語」のエドワード・プラット、 「エデンの東」のロバート・フォールク等のヴェテラン陣がケンを競っている。
 製作は「コマンド」「放射能]」等を発表しワーナーを一途に背負ってたつ名プロデューサー、 デイヴィット・ウイズバート。
 原作、監督は共にニコラス・レイ、巨匠ニコラス・レイの名は「追われる男」「大砂塵」 「太平洋作戦」等で知られ、その鋭角的な切れ味のよい演出力は、ハリウッド広しといえども、 彼の右に出るものはないとされている程である。俊才スチュアート・スターンが脚本を書き、 彼はこの物語に一層の迫心性を持たせる為に、全米を行脚して取材している。
 撮影監督は「風と共に去りぬ」でアカデミー賞を得た名手 アーネスト・ホーラー。 美術監督には「エデンの東」「スタア誕生」で才腕を謳われたマルコム・バート、 編集は「愛欲と戦場」「男の魂」のウイリアム・ジーグラー、音響は「荒野の貴婦人」 「エデンの東」のスタンリイ・ジョー
ンズ、「愛欲と戦場」のウイリアム・ウオーレスが装置を受持っている。 又この映画で更に特筆されるここは音楽部門を天才作曲家レオナード・ロ−ゼンマンが担当していることである。


 <物語>  酔いしれた17才の少年ジムが警官に捕まった。その晩起こった集団暴力事件の容疑者として、 調書をとられに署に連行された彼は、そこで可憐なジュディと紅新のプレイトウと相知つた。 ジュディは夜中の1時過ぎに街を徘徊し、その為保警を受けているのだった。
 プレイトウ少年は仔犬を射ったのだった。間もなく2人は、さんざん説諭されたのち帰宅を許され、 複雑な家庭環境にあるジムも容疑が晴れて帰された。ジムの父親は意志薄弱で、すべて家庭内にあっては男勝りの母が、 きりまわし転々在々と住居を変える彼の一家は、ついぞ最近この街へ越して来たばかりだった。
 翌朝、新しい学校であるドウスン・ハイスクールに通うことになったジムは、登校の途次再びジュデイに会った。 見るとジュディは、不良学生のバズ、ムーズ、ハリイ、クッキー、クランチ、グーン等と一緒だ。
 その日の午后プラネタリュウム館へ上級生と下級生達は星の勉強に出かけた。例によってバズの一派は 盛んに講義を野次る。ジムもバズに抗して軽口を飛ばしていたが、どうも不良連中の反感を買ったようだ。 講義が終った時、既にバズやその仲間の姿は見えなかった。彼等はプラネタリュウムの外で、今や遅しとジムを待受けているのである。 不良のボス、バズは飛出しナイフを常に手中にしていた。彼はジムの車のタイヤを切りさき、その上嫌という程悪口雑言を並べて、 執拗にジムの敵愾心を呼び起こさせた。誰かがナイフを投げつけた。ジムはナイフを手にすると、バズと危険な殺陣を演じ始めた。 刺す刺されるで2人のワイシャツは血に染まった。白熱化したこの決斗も、守衛の登場で鎮まり、バズは今晩チッキイ・ランをやろうと、 捨てセリフを残して去った。ジムは同意した。・・・   (111分)

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