悪のシンフォニー

<The Poppy Is Also a Plower>   (66年)

<スタッフ>
監督
原作
脚本
撮影
音楽

<キャスト>
サレム大佐
モスカ
パハー将軍
リンカン
ジョンズ
ラッド博士
ベンスン
遊牧民のリーダー
マルコ
踊り子
リンダ・ベンスン
モニク
ブロノフスカ博士
ロシュ
遊牧民の酋長
船長
女写真家
ロカルノ
ソフィア
マーチン
歌手トリニ・ロペス

テレンス・ヤング
イアン・フレミング
ジョー・アイシンガー
アンリ・アルカン
ジョルジュ・オーリック


ユル・プリンナー
マルチェロ・マストロヤンニ
ジャック・ホーキンス
トレバー・ハワード
E・G・マーシャル
オマー・シャリフ
ステイーブン・ポイド
ジャン・クロード・パスカル
ギルバード・ローランド
センタ・バーガー
アンジー・ディッキンスン
リタ・ヘイワース
ナディア・テイラー
ジョルジュ・ジュレ
ヒュー・グリフィス
アンソニー・クェイル
ジョスリン・レーン
エリ・ウォラック
マリル・トロ
ハロルド・坂田
彼自身
 007の出現をきっかけに始まった世界的なスパイ・アクション・ブームは、いまようやく最高潮に達した感が深いが、 そのブームに決定的な終止符をうつべき超大作として登場したのが、この「けしもまた花である」(Poppies Are Also Flowers)である。
 原作が007生みの親の故イアン・フレミング、監督がこれまた007の3作「殺しの番号」「危機一発叫サンダーボ!ル作戦」を 手がけたテレンス・ヤングというだけで横綱級の貫録は充分だが、製作に国連の全面的な協力を受け、 出演陣に世界各国から馳せ参じた大スター20余人を得てもうこれ以上は望みようもないほどの重量感と迫力だ。
 ひとくちにスパイ・アクションといっても、 これは現在地球上にくまなく張りめぐらされた麻薬の密輸ルートをたぐって悪の根絶に挺身する秘密捜査官の物語で、 イランの国境山岳地帯から首都テヘラン、ジュネーブ、ナポリ、マルセイユ、ポートサイド、モンテカルロ、カンヌ、 そして終着駅パリへと舞台はめまぐるしく移り変り、すべて現地ロケでとらえた多彩な風景の中に、 息つく間もないスリルとサスペンスを展開させようという趣向。
 欧米映画界から集められたスターの顔ぶれの多彩なことは、だから当然のはなしで、 アメリカのE・G・マーシャル(TV「弁護士プレストン」)、ユル・プリンナー(王様と私)、オマー・シャリフ(ドクトル・ジバゴ)、 ステイーブン・ポイド(ジンギス・カン)、アンジー・ディッキンスン(逃亡地帯)、センタ・バーガー(ダンディー少佐)、 エリ・ウォラック(ジンギス・カン)、ギルバード・ローランド(ビッグ・サーカス)、ヒユー・グリフィス(銃殺指令)、 リタ・ヘイワース(旅路)、ハロルド・坂田(007/ゴールドフィンガー)、人気歌手トリニ・ロペス(結婚専科)、 イギリスからトレバー・ハワード(クロスボー作戦)、ジャック・ホーキンス(栄光の丘)、 アンソニー・クェイル(ローマ帝国の滅亡)、ジョスリン・レーン(砂漠の盗賊王子)、 イタリアからマルチェロ・マストロヤンニ(ゴールデン・ハンター)、マリル・トロ(ああ結婚)、 ドイツからナディア・テイラー(女と男のある限り)、フランスからジョルジュ・ジュレ(ダンケルク)、 ジャン・クロード・パスカル(ナポレオン)等一級ぞろい。
 フレミングの原作から脚色を担当しているのはジョー・アイシンガー、撮影はアンリ・アルカン、 音楽はジョルジュ・オーリックと最高のスタッフである。
 スパイ・アクションの醍醐味と、世界悪絶滅へのヒューマニズムとをひとつに結びつけるべく、 世界の映画人が国境をこえて総力を結集した、文字通りの異色国際映
画である。
 また、この映画の中でトリニ・ロペスはヒット・ナンバーラ・パンパ∞レモン・トリー″の2曲を唄いまくっている。

 <梗概>  ここは峨々たるイランの山岳地帯。山羊やラクダや女子供を騒々しく引きつれて、 定期交易のため集った遊牧民のキャンプヘ、2台のトラックと1台のジープが近づいて来る。 ジープを運転している男の名はペンスン。アメリカ人案内を乞うて 酋長サルダー・ラーマン・カーンの前へ連れ出されたペンスンは静かに口を開いた。 「阿片を売っていただきたい」。
 「阿片? イランじゃあ法律でけし″の栽培が禁止になっているのを御存知ないのか?」 酋長はわざと驚いた顔でシラをきる。相手が憲兵ではないかと警戒しているのだ。しかしペンスンは何もかも先刻承知。 海を渡ってやってくる密輸業者とここで落ちあって純金と阿片を引き換える商売を酋長が以前から続けていることは既に調査ずみだ。 押問答の末、けっきょく酋長は、1キロあたり相場より1オンス高の3オンスで引きとろうというペンスンの申し出に負けてしまった。
 買いとった阿片をトラックやジープに積んで帰途につくペンスンたち。しかしペルシャ湾を目ざし、 夜を日についで南下する彼らを、或る日突然、何者とも知れぬ待ち伏せの一隊が襲った。手榴弾や重機関銃の雨の中を、 ペンスンたちはよく斗ったが無駄だった。ペンスン一人を残して、みんな死んだ。
 ところ変って、こちらはイランの首都テヘラン。サレム大佐の事務所に4人の客がいる。 国連麻薬対策委員会のイラン代表ラッド博士と、アメリカ財務省から派遣されたきたコリャー・ジョンズ、 国連勤務のサム・リンカン、そして国連化学研究所からのブロノフスカ博士、博士にさせておくのが勿体ないほどの飛び切りの美人だ。
 サレム大佐の説明がはじまる。――最近、法網をぬって遊牧民が自分たちの畑でけしを栽培し、 それを外国の密輸業者に法外な値で売り渡している。その実情を調査するためアメリカ麻薬局のペンスンという男が現地へ乗り込んだのだが、 指の爪をはがされ水をしたたか飲んで死体となって、つい先日発見された。犯人はまだつきとめられていないが、 おそらく彼らは今後も密輸を続けて行くだろう。
 だから、ペンスンに代って捜査を続行するためジョンズ氏とリンカン氏にイランへ 来ていただいたわけだが、
・・・  (100分)

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