アラバマ物語<To Kill a Mockingbird> (62年) |
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<スタッフ> 製作 監督 原作 脚本 撮影 美術 音楽 <キャスト> アティカス スカウト ジェム トム・ロビンソン |
アラン・J・パクラ ロバート・マリガン ハーバー・リーの 「ものまね鳥を殺すには」 ホートン・フート ラッセル・ハーラン アレキサンダー・ゴリッツェン ヘンリー・バムステッド エルマー・バーンステイン グレゴリー・ペック メリー・バダム フィリップ・アルフォード ブロック・ピータース |
子供の純粋な眼を通して見た1930年代の南部の小さな町の黒人偏見と市政の不正を
鋭く描く野心作でピュリッツァー受賞作家、ハーバー・リーの原作に基き
「ねずみの競争」「九月になれば」のロバート・マリガンが演出を担当している。
主演の弁護士には「ナバロンの要塞」「恐怖の岬」のグレゴリイ・ベックが扮し 好演するほか、13才と9才の幼ない兄弟に扮するフィリップ・アルフォードとメリイ・バダムが また大変に素晴らしい。 製作は新鋭アラン・パクラ、撮影は「赤い河」「ルーズベルト物語」などの ラッセル・ハーラン、音楽を「荒野を歩け」「コマンチェロ」のエルマー・バーンスタインが それぞれ担当Lている。 この映画のできはえは1962年度オスカーの8部門にノミネイトされたことでも 証明されている。 <梗概> 南部の小さな町メイコムに夏が訪れた。 かすかな風が時々思い出したように乾いた木の葉をなでる、けだるい午後だった。 庭で遊んでいたジェムとスカウトの兄妹は、ふと、桓根に身をかくしながら 自分たちを見つめている男の子に気がついた。 「そこにいるのは誰?」 11才になる兄のジェムが声をかけた。 「……きみのことだよ」 きちんとした身なりの可愛い少年が、あわてて立ちあがった。 「ぼ、ぼくかい、ディルだよ」 |
「ぼくはジェムだ。これは妹のスカウト」
「どこから来たの?」 スカウトが珍らしそうな顔をして、ディルに尋ねた。 「ステファニー伯母さんのところへ来たんだ。汽車に乗ってね」 「きみはいくつ?」 「六つだよ」 「じぁ、スカウトと同じだ」 退屈している彼等は、すぐに友達になった。 「ディル、誰にも云わないって約束出来るかい?」 ジェムが声をおとして云った。 「うん」 「よし、あそこを見てごらん。大きな木のある家だよ」 「……」 「あの家に気狂いがいるんだ。時々、そばまで行くんだけど、頭が白くて、 大きな男なんだって!」 「へえ、恐くないの?」 ディルは目を丸くした。 「町の人達も近ずかないんだ。気狂いのプーがいるんだもの」 「とっても恐いのよ」 スカウトが肩をすぼめた。 兄妹はまた、いつも玄関先に腰を下して悪口を叩いている隣家のデュポーズ夫人の 詰も聞かせた。 「へえ、ショールの下に拳銃を隠しているの!?」 「そうだよ。きみも気をつけた方がいいよ、ディル」 ディルはメイコムの町がすっかり気に入ってしまった。 ・・・ (129分) |