奇跡の人<The Miracle Worker> (62年) |
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<スタッフ> 製作 監督 原作 脚本 音楽 編集 <キャスト> アニー・サリバン ヘレン・ケラー ヘレンの父親 ヘレンの母親 ジェームズ |
フレッド・コウ アーサー・ベン ウイリアム・ギプスン ウイリアム・ギプスン ローレンス・ローゼンタール アラム・アバキアン アン・バンクロフト パティ・デューク ビクター・ジョリー インガ・スウェンスン アンドリュー・プライン |
この映画が公開されたとき、アメリカ全土は絶賛の嵐につつまれました。人間性の美しさ、すばらしさを、
これほどまでにみごとにえがき上げた映画はいままでになかったからです。
主人公アニー・サリバンを演じたアン・バンクロフト、三重苦にあえぐ少女ヘレンを演じた パティ・デュークの圧倒的な名演技とともに、この映画のもたらした感動は永遠に映画史にのこることでしょう。 物語の舞台は1887年、南部アラバマ州のある町。生まれてから一年半のときにかかった病気で、 聴覚、視覚を失った不幸な少女ヘレンは色も音もない暗黒のせ界にとじこめられていました。 そんな彼女に人間性の光をなげかけ、そのすぐれた才能をひき出したのは、実に若い女教師 アニー・サリバンの大きな愛と強い意志のカでした。 しかし、その努力はなみたいていのものではありません。アニー自身も何度、自信を失いかけたことでしょう。 そんな彼女を支えたのは、ヘレンの中にもがいている人間″への愛情と信頼でした。 言葉につくせぬ苦闘の数週間。ついにアニーは奇跡を生みました。ヘレンをとりまく厚いカベは破れたのです。 このヘレンこそ、のちにすぐれた学者となり、人々に大きなカとなぐさめを与えたヘレン・ケラーその人でした。 この感動的な事実にもとずいて、アメリカの劇作家ウィリアム・ギプスンは戯曲「奇跡の人」を書きました。 この劇を上演するに当たり、名プロデューサー、ブレッド・コウは、 10年前から仕事をともにしているすぐれた演出家アーサー・ベンを起用、さらに演技力で定評のある アン・バングロフト、名子役として期待されていたパティ・デュークのキャストを組んで、 1年半のロング・ランという記録的な大成功をもたらしました。圧倒的な観客の支持、批評家の激賛……。 ブロードウェイは感動のるつぼと化したのです。 この感動を映画に、と考えたフレッド・コウは、主要メン |
バーを変えることなく、
そのままスクリーンに移しかえました。舞台以来、ぴったり呼吸の合ったスタッフ、演技者たちの努力は、
ついに、舞台以上といわれる感動をもり上げたのです。
バングロフト、デュークに与えられた2つのオスカー(アカデミー賞)をはじめ、名誉ある数々の賞は、 この映画の成功にさらに輝きをそえました。そして、海をこえ、国境をこえて、感動は世界にひろがりつつあります。 1本の映画によって、世界中の人々の心がひとつに結ばれるという奇跡″が実現しようとしているのです。 <梗概> ヘレン・ケラー夫妻の十字架だった。1歳半のときにかかった病気で、視覚と聴覚を失ってしまった彼女は、 それ以来、めくら、つんぼ、そして、おしという三重苦のカベの中にとじこめられてしまったのである。 そのヘレンも、7才になった。しかし、色も音もない世界の中で触覚だけをたよりに生きてきた彼女に、 人間としての理性が育とうはずはない。あるものは、ただ本能的な欲望だけ。いわば、動物も同じである。 食事は手づかみ、気に入らなければ荒狂う。 母親ケートも不具の子への不憫さから、甘やかしこそすれ、強くしつけようとはしなかった。 1880年代の後半。南部アラバマ州タスカンビアのケラー家では、このあわれな少女をめぐって 口論がたえなかった。なんとか、ヘレンに教育を受けさせようと心を砕く母と伯母。ケラー家の体面上、 とかく事をおもて沙汰にしたがらぬ封建的な南部人の父親。 そして、腹ちがいの妹ヘレンに愛情すら失ってしまった先妻の息子ジュームズ……。 しかし、わが子への一途な母親の気持はついにケラー氏を動かした。彼は当時から知られていたボストンの パーキンス盲学校に、ヘレンの教育方が依頼したのである。この手紙に応じてやってきたのが、 同校の卒発生であるアニー・サリバンだった。 ・・・ (106分) |