マーテイ

<Marty>   (55年)

<スタッフ>
製作
 原作・脚色
監督
 撮影
 音楽

<キャスト>
マーテイ
  クララ
  ピレッティ夫人
  キャサリン
 

ハロルド・ヘクト
バディ・チャイエフスキー
デルバート・マン
ジョセフ・ラシェル
ロイ・ウェブ


アーネスト・ボーグナイン
ベッツイ・ブレア(ジーン・ケリイ夫人)
エスター・ミンチオッティ
オウガスタ・チオリ
 ハロルド・ヘクトとバート・ランカスターの設立じたヘクト=ランカスター・プロの作品として 1955年度カンヌ映画祭に出品、見事グラン・プリを獲得した問題作品である。
 製作はハロルド・ヘクトで、原作は1954年度のテレビに於けるベスト・ドラマと推賞され、 ドナルドソン賞及びシルヴェア賞の二つの賞を授けられたダデイ・チャイエフスキーのテレビ劇である。 これを原作者のダデイ・チャイエフスキーが映画にアダプトしてシナリオも書いたもので、 チャイエフスキーはアソシエート・プロデュサーとして製作にも参加している。
 監督はやはりテレビ演出家として活躍し注目されていたデルバート・マンが初めて 映画の監督に当ったもので、撮影はジョセフ・ラシェルである。 美術は「白人酋長」のエドワード・S・ハウォースにウォルター・シモンズが協力し、 音楽は「ケンタッキー人」「太平洋作戦」などのロイ・ウェブが担当している。 衣裳はランカスター夫人のノーマである。
 出演者にも既成の大スターを選ばず、演技カのたしかな新鮮な人々を起用して成功を納めたもので、 「地上より永遠に」から直ちにその存在を認められ、最近は「日本人の動章」「追われる男」 「恐怖の土曜日」などあらゆる作品にひっばりだこの強烈な個性俳優のアーネスト・ボーグナインを 主役マーティに抜てきしたのをはじめ、ジーソ・ケリイ夫人のべッツイ・ブレア、 アメリカに於けるイタリア劇壇の名老女優として知られたエスター・ミンチオッティや その他の新人たちである。
 撮影の大部分はニューヨークのブロンクスへ現地ロケして行われた。
 <物語>  ニューヨークのブロソクスは、イタリア系の市民たちが多く住んでいる地区である。 そのなかの肉屋に働いているマーティ・ピッレッティは柔和で誠実な青年であったが、 生れつきの醜男であった。そのため彼の兄弟姉妹がそれぞれ相手を見つけて結賠をしているなかで、 彼だけがいつまでも独身で、母のピッレッティ夫人と2人暮しをしていた。
 殊に最近彼の弟が結婚してからは、兄の彼が何故早く嫁をとらないのかと、 店へ来る顔馴染の近所のお内儀さん連に問われることが何よりも苦痛であった。
 マーティも決して結婚を避けているのではなかった。むしろ良い相手があったら 早く身をかためたいとあせっていたのだが、見るからに風さいのあがらぬ上に、 善良で内気な彼は、気の利いた言葉で女を誘い出すことすら出来なかった。 だから大低の青年がパートナーを見つけて遊びに出かける週末―土曜日の夜は相手のないマーティには 苦痛の夜だった。
 その土曜日も、仕事が終るといつもの酒場へアンギイやラルフ・ジョウなどの仲間が集って 何処へ遊びに行こうかとの相談になった。いつも相手のないマーティに、アンギイはいつか映画館で 会って一緒にお茶を飲んだ看護婦を電話でさそってみたらいゝじゃないかといった。 しかしそこへマーティの母から電話で、マーティの従弟夫婦が来ているから すぐに帰って来てくれといって来た。
 マーティはアンギイたちと夕飯後にまた会う約束をして家に帰った。母ほマーティが 台所口からはいって来て手を洗っているのを見ると、出て来て彼の耳もとにさゝやいた。 ・・・   (91分)

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