汚れなき悪戯<Marcelino Pan y Vino> (55年) |
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<スタッフ> 監督 原作 脚本・脚色 撮影 美術 音楽 編集 <キャスト> マルセリーノ 僧院長 僧侶(門番さん) 僧侶(お粥さん) 鍛冶屋の村長パルカス 名付親の僧侶 |
ラディスラオ・パホダ ホセ・マリア・サンチェス・シルバ ホセ・マリア・サンチェス・シルバ ラディスラオ・バホダ エンリッケ・ゲルネル アントーニオ・シモン バブロ・ソロサバル バブロ・ソロサバル(息子) フリオ・ペーニャ バブリート・カルポ ラファエル・リベリエス アントーニオ・ビコ ファン・カルボ ホセ・マルコ・ダポー アドリアーノ・ドミンゲス |
スペイン映画は戦前もほとんど紹介されたことがなく戦後わずかに
「アラゴソの城塞」「愛と王冠の壁の中に」の2作が輸入されただけであるが、
ラディスラオ・パホダ監督した1955年度の作品「汚れなき悪戯」(原名−マルセリーノ・バンと酒)は、
過去長い間のスペイン映画の沈滞を破る画期的な芸術作品である。
55年度のカンヌ映画集において作品賞並びに主役のバブリート・カルポ少年(当時6歳)の特別子役賞の栄冠をかち得たはかりでなく、 ベルリソ映画祭にも受賞、その他CIDALC賞(映画による文芸普及国際委員会賞)、 国際カソリック映画事務局賞などスペイン映画としてかつてない栄誉に輝く作品である。 原作はホセ・サンチェス・シルバの伝説的な美しい物語「マルセリーノ・ハンと酒」で、 スベイン文壇の異色作として9版を重ね、映画化に先立ち、ラジオ・ドラマ化されているが、 映画化されるや、1955年度のヨーロッパにおける最も優秀な作品として フランスをはじめ各国で絶賛を博している。 <物語> その日、スペインのある小さな村では聖マルセリーノ祭を迎え、 村人達はこぞって楽しげに丘の上の教会へと練り歩いて行った。 |
その間、人気のない村のある貧しげな家に1人の僧侶が病に寝ている少女を訪れ、
この日にまつわるいまは忘れられた美しい奇蹟の物語を、当時を偲ぶように話して開かせるのだった…。
かって戦争で荒れ果てたこの村が再び平和を取戻し始めた頃、 3人の年老いた僧侶が村を訪れ丘の上の廃墟に僧院を建てたいと村長に頼んだ。 心の広い村長は助役の反対にもかかわらず快よく許可を与えた。3人の僧侶のたどたどしい仕事にどこからともなく数人の 農夫が現われてカをかし、ほどなく僧院は出来上った。やがて10年も過ぎた頃いつか12人となった 僧侶達は静かな信仰の生括を送っていた。 いつもと変らぬある朝のことだった。門番の僧侶は僧院の前に赤子が捨てられているのを発見した。 単調な信仰生活を送っている僧侶達に、これが重大な関心をよび起さないはずはなかった。 彼等はあたかもそれが天からでも授かったかのように赤子を引取って自分達で養いたがるのだった。 そして赤子の両親が共にいまは亡いことを知ると、彼らはその日が聖マルセリーノの日であったことから マルセリーノと名付け、この孤児の世話を始めた。 (91分) |