裸のマヤ

<The Naked Maja>   (59年)

<スタッフ>
製作
監督
(伊側)
原作
脚本



撮影
美術
音楽

<キャスト>
アルバ女公
ゴヤ
ゴドイ
カルロス四世
マリア・ルイザ

ゴッフレッド・ロムパルドォ
ヘンリー・コスター
マリオ・ルッソオ
タルボット・ジェニングス
ジョルジュオ・プロスペリ
ノーマン・コーウィン
アルバート・ルーイ
オスカー・ソール
ジュゼツペ・ロトウンノ
ピエロ・フィリッポニ
フランシスコ・ラヴァニーノ


エヴァ・ガードナー
アンソニー・フランシオサ
アメデオ・ナザァーリ
ジーノ・チルヴィ
リア・パドヴァーニ
 18世紀末、カルロス四世治下、スペインきっての名家の出であり、天成の美貌に加えて、 地位金権欠くるものがないという、アルバ女公が、裸婦として画布のモデルを勤めちという物語は、 単に絵画史上に止らず、広く人々の間に話題になって、今日にまで及んでいる。 この映画は、そのアルバ女公の横紙破り的な性行を描いたものである。加えて、 彼女の裸姿を描いたといわれるスペインが生んだ大画家、フランシスコ・ホセ・ゴヤを縦横に登場きせて、 ナポレオンの暴威の前におののく物情最然たる当時のスペインを描くものである。
 「北西への道」「南海の黒真珠」の脚本家タルボット・ジェニングスの原作から、 「鐘の奇蹟」のノーマン・コーウィン等、米伊の4人が脚本を担当している。 撮影は「白夜」のジュゼッベ・ロトウンノ。テクニラマ、カラー撮影でイタリア映画化第一人者である事は 前に「モンテ・カルロ物語」で証明済みとわれている。
 音楽をフランシスコ・ラヴニーノが担当した。彼も、イタリア映画界の第一級担当者である。 既に多くの賞を獲得しているが、この映画でも18世紀のスペイン民謡を基準にしている。 オペラ、ポピュラーソングも作曲し、34年以来、映画音楽によく活躍し、「緑の魔境」「最後の楽園」 「失われたものの伝説」等を担当した。彼の「失われた大陸」は、カンヌ映画祭で銀リボン賞をとり、 冬期オリンピックを映画化した「白い旋風」は、二度日の銀リボン賞を獲得した。 最近は「河の女」の "マンボ・ヴァカン" や「風は知らない」等、米英の映画音楽も担当している。
 製作はチタヌス・プロで、国外配給をMGMが行うものである。製作担当者はゴッフレッド・ロムパルドォ。 監督は「聖衣」のヘンリー・コスターが、伊側のマリオ・ルッソオの協力を得て担当している。
 主演はアルバ女公に「潮風のいたづら」のエヴァ・ガードナー。ゴヤを「夜を連れて」のアンソニー・フランシオサが、 彼と酷似している処から、多年、この映画化を目論んでいたヘンリー・コスターの勧めを得て主演した。 同時に、エヴァ・ガードナーは、この映画化を知るや台本も読まずに引受けたという。
 この両適役者の他に、 時の宰相ゴドイを「カビリアの夜」のアメディオ・ナザァーリ。カルロス四世を「フル フル」の ジーノ・チルヴィ、マリア・ルイザ女王を「モンパルナスの灯」のリア・パドヴァーニ、ゴヤの親友ファニトオを カルロ・リッツオ、ゴヤの先輩で主席宮廷画家バイエウをレンツオ・チェサーナが演じている。
 <梗概>  18世紀末、カルロス四世治下のスペインの主」都マドリッドは、むしろゴドイ宰相の圧制で民の不満の声で満ちていた。
 サラゴサの田舎から出て来た画家志望のゴヤは、たまたま、眼の前で若い女が宗教裁判兵によって火焙りにさせられるのを見た。 激情家の彼は、怒りを爆発させたが、信頼する親友のファニトオの懇願で、やっとそれを鎮めた。 彼等の恐ろしさは、ゴヤもスペインのあちこちで見聞してよく知っていた。
 その時、ゴヤは美しい婦人を見た。彼は宗教裁判所を出てきたアルバ女公に惹きつけられたのだ。
 彼女はつい今証人になった裁判のショックで顔は青ざめ、それは、素晴らしく美しいものだった。 彼女は処刑される少女を見て、身震いしながら、ゴヤの傍を足早に去った。 ゴヤはまるで魔法にかけられたように、去って行く彼女の後姿を何時までも見送った。
 その夜、ゴヤはマドリッドの貧民街の中心にある居酒屋に泊った。そこでアルバ女公と知り合う機会を掴んだ。 そこで、アルバ女公は、ゴヤを近日、彼女の家で催するレセプションに招待した。
 然し、ゴヤはサン・アントニオの教会の壁画を画くことに忙しかった。彼は、アルバのレセプションに行かなかった。 これは、当時マドリッド中の話題を集めていたアルバを侮辱することだった。彼女の数多い取り巻きは、 ゴヤに報復を企てた。アルバも数日后、彼に報復の機会を掴んだ。
 サン・アントニオの教会を訪れたカルロス四世とマリア・ルイザ女王は、ゴヤの新しい壁画をみた。 アルバは声を大にしてその壁画を誹した。然し、女王はアルベをたしなめて、かえっで壁画を絶讃し、 ゴヤの名前を宮廷画家の一人に加えるように勧めた。結局、アルバは間接的に彼の存在を注目させた結果になった。
 宮廷画家になったゴヤは、宮殿の内外の貴族のたいはいした風潮に激しい怒りを感じていた。 女王の信任厚いゴドイ宰相はナポレオンの暴威を怖れぬ政治をしいていた。ゴヤは希望もなく、 ひたすらに王族の肖像を画いていた。
 カーニバルが来た。マドリッドは色彩と音楽で喧騒に包まれた。ゴヤはそこでマヤの仮面をつけたアルバと出会った。 そこには、高慢な美人の姿はみられなかった。スペインの休日を、2人は我を忘れて楽しんだ。 ・・・
     (111分)

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