イスタンブール

<That Man in Istanbul>   (66年)

<スタッフ>
製作
監督
脚本

撮影
音楽

<キャスト>
トニー
ケニー
ビル
エリザベス

ナット・ワックスバーガー
アンソニー・イサシ
ジョージ・シモネリ
ナット・ワックスバーガー
ジュアン・ジェルピ
ジョルジュ・ガルバレンツ


ホルスト・ブーフホルツ
シルバ・コシナ
マリオ・アドルフ
ペレット・プラディエ
 思わず息をのむようなイスタンブールの美観、キラキラ輝やく紺青の海、 針のようにそそり立つ寺院の尖塔。この映画でまず目を見はるのは、トルコの首都イスタンブールの美しい景観である。 雑沓と人々の生活、美しい風景が微妙に調和したイスタンブール。撮影はすべてここでのロケだった。
 そして、イスタンプールを背景にして、幾つもの秘密機関、諜報機関が暗躍する。 その渦中にとび込んでいったのが、CIAに依頼された主人公のトニー・メセナス。 彼はCIA派遣の美女と共に、100万ドルを目当てに活躍する。
 活動大写真はなやかなりし頃のアクション映画。それに、色がついて、ワイドスクリーンになって、 音楽効果が良くなった。このスパイ映画アは、そんな事を思わせる楽しさを持っている。
 ギャング、スパイ、美しい女たち、それらが入り乱れて、背筋が寒くなるようなスリルとサスペンス、 そしてユーモアたっぷりなやりとりが展開される。次から次へと起る事件に飛鳥のように飛び込んで行く主人公。 連続大活劇のだいご味が現代式に再現されたのだ。あらゆる種類のアクションが陸・海・空に目まぐるしく展開し、 お色気もたっぶり盛り込まれている。
 製作はナット・ワックスバーガー、監督はセミ・ドキュメンタリー・タッチに 巧妙な腕の冴えを見せるスペインのアンソニー・イサシ、脚本はワックスバーガーとジョージ・シモネリの協同執筆。 撮影はジュアン・ジェルピ、音楽は「アイドルを探せ」のジョルジュ・ガルバレンツがそれぞれ担当している。
 出演は、ドイツ出身「雨の夜の銃声」「わたしの可愛い人」「追いつめられて」「死の船」 「荒野の七人」等のホルスト・ブーフホルツ、イタリア出身のグラマーで女優「鉄道員」「芽ばえ」 「すてきなジェシカ」等のシルバ・コシナ。
 その他、「危険な階段」「新・七つの罪」「悪い女」のフランス女優ペレット・プラディエ、 「スキャンダル」「ダンディー少佐」のマリオ・アドルフが出演している。
 <梗概>  所はイスタンブール。薄明の野原に1台の飛行機が降りて来た。 一方、地上には何台かの自動車がとまり、傍にストッキングで覆面をした男たちが待ち構えていた。 やがて飛行機が止まり、双方に取引きが始まった。地上の男たちからは衰弱した一人の男、 機上からは金が入った鞄らしいものが出されて交換された。そして緊張した雰囲気の中に、 飛行機はまた何処ともなく飛び立って行った。
 ところがその飛行機が高空で大爆発した。それはCIAさし向けのものだったので、 合衆国のCIA本部は大騒ぎになった。そして、早速対策会議が開かれた。100万ドルの身代金を出して、 誘拐された原子科学者を取り戻したのに、その帰りの飛行機が何者かに吹っとばされてしまったのだ。
 飛行機の残骸を撮影した現場写真から幾つかの手がかりが得られた。 一つは搭乗員が携帯していたネクタイ・ピン型の秘密カメラ。 搭乗員はこれですべての証拠写真を撮っていたのだ。もう一つは、 女諜報員ケニーが確かに見覚えがあるという、写真の片隅の自動車の中にいる男だった。 また、レントゲニ写真によって、爆死した科学者が替え玉だったことも分った。
 CIA本部がいよいよ行動開始しようとした時、大統領からの電話で待ったが、かかった。 どうやら敵は中国の諜報機関らしい。現在、米国と中国とは微妙な関係にあるので、 取引は外交接衝で行なうというのだ。本部は解散した。ところがケニーは承知しなかった。 彼女は、女だてらに早速休暇をとってイスタンブールへ飛んだ。早く手がかりを探し出さなければならないからだ。
 イスタンプールーこの港町は、雑沓と美観が微妙に調和した魅惑的な町だった。 美しい女たち、そびえ立つ寺院の尖塔、紺青の海。写真に写っていた謎の男トニー・メセナスは いわゆる港のプレイボーイであった。
 彼は、賭博場「フォー・エイセズ」を持っていたおかげで、 ある程度のぜい沢ができた。シカゴで有名なギャングの一味だったせいもあって金儲けの方では 余り合法的という事はなかった。・・・  (119分)

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