紅の翼

<The High and the Mighty> (54年)

<スタッフ>
製作
 監督
原作
 音楽

<キャスト>
副操縦士ダン・ローマン
  機長サリバン
  第3操縦士ホビー・ウィーラー
  航空士ウィルビー
  スチュワーデス・スポールディング
  メイ・ホルト
 

ロバート・フェローズ
ウィリアム・ウェルマン
アーネスト・K・ガン
ディミトリ・ティオムキン


ジョン・ウェイン
ロバート・スタック
ウィリアム・キャンベル
ウォーリイ・ブラウン
ドー・アブドン
クレア・トレヴァー
 原作アーネスト・K・ガン、監督ウィリアム・A・ウェルマソ、 主演ジョン・ウェインの映画はと問えば万人悉く「男の叫び」と答えるに違いない。 この映画はその秀作を生んだ名トリオが再び組んで製作に当った航空映画の白眉で 空を舞台に人間群像を描いた言わば空のグランドホテル" とでも言うべき作品である。
 原作者K・ガンはトランス・オーシャン航空会社の現役パイロットであり 叉アメリカの航空文学の第一人者として世界にその名を覇す航空人として知られ、 巨匠ウェルマンは今更言うまでもなく、男性劇を描くにおいては世界最高の監督で 特に航空映画の製作敵手腕にかけてはフォード、ステイブンスンの名匠も 足下に数等およばない独創的才能にたけた人物である。
 「男の叫び」ですっかり航空熱にうかされた男性スタアNOlジョン・ウェインは この作品で意志強固な副操縦士として登場、「戦闘機攻撃」の好漢ロバート・スタック扮する 機長と共に好演している。乗客の人々は―― 人生を白眼視する演出家に「オリヴァ・ツイスト」のロバート・ニュートン、 くたびれた老嬢に「駅馬車」のクレア・トレヴァー、美男の独身者に 「スプリングフィールド銑」のデイヴィッド・プライアン、 今は落ちぶれた嘗ての美人コンクールの当選者に「ミズーリ大平原」のジャン・スターリング、 金持の女相続人に「十三号桟橋」のラレイン・デイ、等々――で嘗てなき豪華な演技陣が 一堂に会しており、その各々の個性を示す為にフラッシュバッゥの短景が 効果的に使用されている。
 シネマスコープが航空場面に絶大な効果があることは「百万長者と結婚する法」などで 片鱗を伺わしているが、この映画ではパノラミックな魅力だけではなく、名手のウェルマンが シネマスコープという武器をいかに活用してスリルを盛りあげているか観る者をして エキサイトし
ないでおかないことがそれを実証している。
 全篇迫力の連続でそれにまた寄与しているのは、「真昼の決闘」でアカデミー賞を 獲得したディミトリイ・ティオムキンが作曲、そして80人からなる楽団を指揮している事で ウィリアム・クローセァの見事な空中撮影とあいまって十二分の効果を現わしている感動の名作。

 <物語>  全員22名を乗せて、サンフランシスコへ向け12時間の定期空路に、ハワイ空港から トランス・オリエント・パシフィック・エアラインの四発の旅客機は、 パイロットの最後の点検を終り、発動機を全開して航路についた。乗務員のうち機長のサリヴァンは 主席パイロットであり、冷静無口な指揮者であり未だ無事故の経験から、 あらゆる緊急時にも最高の対処が出来るものと自信をもっていた。
 副操縦士のダソ・ロ−マンは第一次、第二次に続いて朝鮮戦線の三度に従軍したヴェテランで、 航空郵便創設時代に、また地方巡業の飛行機乗りの旅もした古強者者で、妻と子供を失った南米での 墜落事故の際の生存者であった。友人からは腹わたを取り出してもまだ生きていられる男だ" と までにいわれていた。
 第三操縦士のホビー・ウィーラーは元気な若者で、航空機の操縦に全身のあこがれをもっていた。
 航空士のウイルピーの愛好する二つのことは、職務とサンフランシスコに待っている妻に、 帰航毎に逢う喜びであった。
 今一人の乗務員はスチュワーデスのスポールディソグでまだ2ケ月の経験しかないが 小綺麗で、愛矯あり、乗客が居心地よく安全に空の旅を終るよう接待する自信にみちていた。 何れの定期航空と同様に、17人の乗客は17種の変った種類の人々を乗せていた。 ・・・(147分)

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