夜を逃れて

<A Hatful of Rain> (57年)

<スタッフ>
製作
監督
脚本

原作
音楽
撮影
編集

<キャスト>
シリア・ポペ
ジョニー・ポペ
ポーロ
ジョン・ポペ

バディ・アドラー
フレッド・ジンネマン
マイケル・ヴィンセント・ガッツォー
アルフレッド・ヘイズ
マイケル・ヴィンセント・ガッツォー
バーナード・ハーマン
ジョー・マクドナルド
ドロシー・スペンサー


エヴァ・マリー・セント
ドン・マレー
アンソニー・フランシオサ
ロイド・ノーラン
 麻薬常用者の深刻な悩みと、それがもたらした家庭悲劇を描くマイケル・ヴィンセント・ガッツォーの劇「帽子いっぱいの雨」 の映画化である。この劇がニューヨークのライシアム劇場で上演されたのは55年11月で、 出演者はシェリイ・ウィンタース、ベン・ガッツァラ、アンソニイ・フランシオサ、ヘンリイ・シルヴァで あったが、その中のアンソニイ・フランシオサとヘンリイ・シルヴァが映画にも出演している。
 フォックスの製作部長バティ・アドラーがこの劇の映画化権を買ったのは劇の上演後まもなくのことであったが、 当時はまだ麻薬に取材した映画を作ることを映画製作倫理規程は認めていなかった。 倫理規程が改正されたのは56年の12月で、麻薬に関する条項にも修正が加えられたのである。 かくて、この映画が作られることになったが、製作者バドラーは「地上より永遠に」を作ったときと同じく リアリズム映画の第一人者フレッド・ジンネマンを再び演出者として選んだ。
 なお、ジンネマンは「地上より永遠に」で53年度のアカデミイ監督賞を得たが、 最近作に「オクラホマ」がある。脚色は原作者ガッツォーと「日のあたる島」のアルフレッド・ヘイズが担当した。 音楽は「灰色の服を着た男」のバーナード・ハーマンで、撮影は「スピードに命を賭ける男」のジョウ・マクドナルドである。
 出演者は「波止場」「すてきな気持」に出演したエヴァ・マリイ・セント、 「バス停留所」でお目見えしたドン・マレイ、舞台、ラジオ、テレビ・ショウの出身でこの映画の原作劇に出演した アンソニイ・フランシオサ、及び「サンチャゴ」のロイド・ノーランと前記のアンソニオ・フランシオサと同じく原作劇に出演した へンリイ・シルヴァ等異色顔ぶれである。
 <物語>  ジョニーと妻のシリアは、ニューヨークのイーストサイドのアパートの住んでいる。 そこにはジョニーの弟ポーロも同居している。ジョニーは失業中で、ポーロはある酒場の用心棒に雇われている。
 ある日、フロリダでバーテンをやっていたこの2人の兄弟の父親ボーブがニューヨークで酒場を開くためにやってくる。 ポーロが開業に必要な2500ドルの金を貸してくれる約束をしたからであった。
 ポープが飛行場に着いたとき出迎えに来る筈のジョニイが遂に来なかったので、 やむなく彼はジョニイのアパートをたずねあて、ジョニイの妻シリアに会ってから、ポーロの 酒場へ行く途中でジョニイにばったり会う。
 ポープは自分がバーテンをやっていたのにポーロが酒場の用心棒に雇われていることを快よく思わない。 やがて酒場でポーロに会ったポープはポーロが貸してくれると云った2500ドルの金を持っていないことを知ると 急に怒り出しポーロをゴロツキとののしる。
 その夜ジョニイのアパートで親子が食事をしたが、ポーロは帰らなかった。 ジョニイが落ちつかないでいると、そこへ2人の子分をつれた「お袋」と呼ばれる麻薬密売者が、 ジョニイを廊下に呼び出し、24時間以内に貸した500ドルの金を返せと要求する。 ジョニイは朝鮮戦線で負傷して帰国してから麻薬中毒者になっていたが、その秘密を知っているのはポーロだけだった。 「お袋」から薬を買っていた彼は薬がきれると気も狂うほどの苦しみを味うので薬を求めて家をあけてばかりいた。 だが失業していたジョニイに今すぐ500ドルの金を作る力はない。ポーロが父親に貸すことになっていた2500ドルの 金も実はジョニイが薬を買うために使い果していたのである。 ・・・    (110分)

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