長い灰色の線

<The Long Gray Line> (54年)

<スタッフ>
製作
監督
脚色
原作

撮影
美術
音楽監修
音楽編集

<キャスト>
マーティー・マー
メリイ・オドンネル
レッド
マーティーの父
ハーマン・キーラー大尉
キティ・カーター


ロバート・アーサー
ジョン・フォード
エドワード・ホープ
マーティ・マー
ナーディー・リーダー・チャンピオン
チャールズ・ロートン・ジュニア
ロバート・ピーターソン
モリス・W・ストロフ
ジョージ・ダニング


タイロン・パワー
モーリーン・オハラ
ロバート・フランシス
ドナルド・クリスプ
ワード・ボンド
ベッツィ・パーマー

 ウエスト・ポイント陸軍士官学校は153年前に創立された。ここに体育教官として50年間勤めた 男、その名前をマーティ・マーという。これは彼の半生を綴ったもの。
 学校は背景として彩を添えるのであって描かれてあるものは矢張りマーティという男の情愛である。
 彼はアイルランド生れの御多聞に洩れず、きかん気質の男で烈々の闘魂を内にひめ、妻を愛し 数多い教え子である毎年の候補生達に深い愛情をもって接して釆た男である。
 妻も心優しい女で彼を励まし助け、候補生達も常に彼に尊敬と愛情をもって連なっている 者ばかりである。この長い年代にわたる20歳から第一次大戦、第二次大戦と現在に至る 彼の周囲の出来事を通して彼の軟び悩み、悲しみが鮮かに描かれ、しみじみと感動が 胸に迫る作品となった。
 マーティを演ずるのはタイロン・パワーで何時もの彼と見違える位の巧さである。 妻に扮するのはフォード監督お気に入り女優の随一モーリン・オハラぐ其他「ケイン号の叛乱」「彼等は馬で西へ行く」で 目下売出し中の二枚目スター、ロバート・フランシス。「殺人者はバッヂをつけている」「彼等は馬で西へ行く」の フィル・ケリイ、フォード監督の作品には必ず出演するドナルド・クリスプ、ワード・ポンド、ジョン・ウェインの息子 パトリック・オプティエン、ハリイ・ケリイ・ジュニア、その他、紐育の舞台、テレビのスターとして 著られているベッツイ・パーマーが本映画でデビュー。
 映画化には国防省、陸軍省が協讃し、ウエスト・ポイント候補生隊付のジョージ・マッキンタイア中佐、 ジョー・バッパス少佐が製作顧問として指導した。
 <物語>  ある日、ホワイト・ハウスの大統領の私室に一人の老兵が、アイゼンハワ一大統領と対談していた。
 「久し振りだった。マーティー」
大統領は傍のダドスン将軍を顧みてきいた。
 「一体どうしたことだ?」
 「いや、マーティーが緊急の問題で閣下に直々訴えたいというのでー」
 マーティーの話というのはこうである。士官学校では彼がもう70歳を超えていると いうので退官を求めている。50年も勤務して釆た彼を今更退官せよとは血も涙もない仕打ちと 憤慨した彼は、昔の教え児のチャック即ち、今のダドスン将軍を通じて、これも昔の教え児だった アイゼンハワ一大統領に直接面会のとりはからいを申し出た
―というのが、この対面のいきさつだった。
 「50年といえば、ずいぶん長いー」
 「長いけれども、私にいわせれば必ずしも長いとはいえません。二つを覚えるだけでも 3、40年はかかります。やっと軌道に乗って来た所で退職しろとは、折角の国民の税金を無駄にするようなものです」
 マーティーはいつもの癖のパイプを取り出したが、大統領の前であることに気づいてためらった。
 「ハイプなしじゃ君らしくない。遠慮せずにやるがいい」
 「有難うございます。ところで我々マー一家の者は容易に老い込まないのが血統です。 なるほど私は70歳以上かも知れません。しかし細かい字を読むのに眼鏡がいる位のもので、他の点では50年前に 就職した時よりもむしろ元気です。」
 ・・・   (138分)

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