ファニー<Fanny> (61年) |
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<スタッフ> 製作・監督 原作 脚色 撮影 美術 音楽 編集 <キャスト> ファニー パニース セザール マリウス |
ジョシュア・ローガン マルセル・パニョル ジュリアス・J・エプスティン ジャック・ガーディフ リノ・モンデリーニ ハロルド・ローム ウィリアム・H・レイノルド レスリー・キャロン モーリス・シュバリエ シャルル・ボワイエ ホルスト・ブッフホルツ |
有名なフランス・アカデミーの会員であるマルセル・パニョルは30年前に3部作
「ファニー」「マリウス」「セザール」を書き、いづれも舞台で大成功をおさめ、
パニョルはその後これを映画化し又々大好評を博した。
ジョシュア・ローガンが初めて「ファニー」を手がけたのは、8年前にブロードウェイで パニョルの3部作をミュージカルとして上演した時である。その時すでに彼は 「ファニー」の映画化について原作者のパニョルと話し合っていたと云う並々ならぬ熱の入れ方で、 主演のレスリー・キャロンは「巴里のアメリカ人」「ジジ」「恋の手ほどき」「足ながおじきん」等の ミュージカルスターから完全に脱し、過去の作品に見られぬ好演技を見せ、これに答えて、 名優モーリス・シュバリエ、シャルル・ボワイエ、ドイツ映画界きっての人気スター、 ホルスト・ブッフホルツ等が競演している。 「ファニー」が初めて発表されて以来、この劇中の人物はマルセーユ人の性格を代表して いると云われ、その雰囲気を盛り上げる意味でもマルセーユの古い港町で撮影を行い シャトー・ディフやノートルダム・デ・ラ・ガルド等名所を背景にしている。 屋内撮影の一部はパリのブローニュ撮影所で行われ、美術監督のリノ・モンデリーニが特殊な 移動式セットで波止場のバーや地下室のダンスホールを撮影した。 この映画でマリウスが船旅に出かけス時に乗る帆船マレジー号は50万ドルの豪華船で その船長の話では非常に珍らしく、現在の処、世界ではこれ1そうしか存在しないと云う事である。 1万2千平方フィートの白い帆がいっぱいに風をはらんで浮ぶ場面は誠に爽快である。 | <梗概>
マルセーユの港は今朝もいきいきと息づいている。そんな港のたたずまいを前に、街の人々にも
活気に満ちた一日がはじまるカフェ・ド・ラ・マリーヌ″の店開き。当主のセザールと
一人息子のマリウスは準備に忙しい。すぐそばの魚屋の屋台ではふとっちょのおばさんオノリーヌが
早くも魚や貝を揃べて客を相手にまくしたてている。
セザールの店にはいつもの仲間の金持パニース、船長エスカルトフィグ、税関史ブラン等が常連だ。 マルセーユッ子は口が悪いが善良である。そしてこのごみごみした、さわがしい港を 何よりも愛している。しかしセザールの息子マリウスはこの港には倦き倦きし、海と云う別天地に 憧れている。「何ていったって、ここが一番だよ」大人たちのそんな言葉は彼の夢を逆に かき立てて行くのだった。 それをひきとめ得るもの、それは幼なじみのオノリーヌの一人娘ファニーの愛であった。 ファニーは気性の強い娘ではあるが、一方非常に純情だったのでマリウスから海へ出る事を聞かされた時は 愛する故に離れがたいものに堪えて、彼を海へ行かせるのだった。 マリウスは突然カフェ・ド・ラ・マリーヌ″から姿を消した。 碇督″と云うあだ名の男が彼の希望を伝え聞いて憧れの海へ彼を送ったのである。 彼がいなくなった時から父親セザールの態度が変った。言葉つきも一層粗野になり、朝から店の酒を飲み出す 仕末で、マリウスからの手紙を心待ちにし乍らも、何の便りもなかったのにいら立っては 仲間に当りちらしていた。・・・ (134分) |