重役室<Executive Suite> (54年) |
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<スタッフ> 製作 監督 原作 脚色 撮影 美術 編集 <キャスト> マクドナルド・ウォーリング マリイ・ブレモンド・ウォーリング ジュリア・O・トレッドウェイ ローレン・P・ショウ フレデリック・Y・オルダースン エヴァ・バーデマン ジョシア・ウォルター・ダッドレイ ジョージ・N・キャスウエル ジェシー・Q・グリム エリカ・マーチン |
ジョン・ハウスマンジャド・キンバーグ ロバート・ワイズ キャメロン・ホーリイ アーネスト・レーマン ジョージ・J・フォルシー セドリック・ギボンズ エドワード・C・カーファグノ ラルフ・E・ウィンタース ウィリアム・ホールデン ジューン・アリソン バーバラ・スタンウィック フレデリック・マーチ ウォルター・ピジョン シェリー・ウィンタース ポール・ダグラス ルイス・カルハーン ディーン・ジャガー ニナ・フォック |
10数名のトップスター、それも演技に自信のある名優ばかりに思い切り芝居をさせて
限られた場所でお互にかみ合せる。こういう構想はどんな監督でも一度ほやってみたいと
思うだろうけれど、余程撮影所の機構や、会社の経済的な問題や、役に当てはまる俳優の
物色など困難が多く、仲々実現するものではない。 この種のもので成功した記念すべき作品 としてほ戦前の大作でグレタ・ガルボを主軸にした「グランド・ホテル」に先ず 第一指を屈する。その後これに類した作品も多く作られたが、俳優の顔ぶれが大きくなっ て失敗した例が多い。戦後この名優総出演映画はオムニバス映画という形式に変ったが、 オムニバスではショットが短くて名優が十分にその演技を振えない欠点があり、矢張りオーソドックスな 脚本が要求されていた。この時ロバート・、ワイズは「重役室」という佳き 脚本を捉え、十数名の演技スターを動員して製作した。 完成された作品は非常な成功であり、ヴェニスの国際映画コンクールでは、集団演技賞を取り、 ニナ・フォックは、アカデミー助演女優賞にノミネットされた。これだけのスターの一塊になった演技が 集団演技賞を取ったのは実に珍らしいことである。従来、集団演技賞は軍隊とか少年群とか 学生達の様な役割で、劇団の若い連中のよくもらう賞なのであるからだ。 舞台は高層建築の聳立する現代文明の中心紐青から始る。大都会の騒音がいきなり 耳をうって来る。その巨大なビルの一角で、大事業を営むトレッドウェイ株式会社の ワンマン社長の急死によって、重役連が、友情も人間性もかなぐり捨てて社長の椅子を狙って、 あらゆる知能的闘争の渦を捲き起すのである。 この重役陣には、ウイリアム・ホールデン、フレデリック・マーチ、ウォルター・ピジョン、 ポール・ダグラス、ルイス・キャルハーン、ディーン・ジャガーが扮し、致密極る 謀略と正義の火花を散らし、彼等のキャスィング・ボートを握る会社創立者トレッドウエイ家 唯一人の生存者、ジュリア・トレッドウエイにバーバラ・スタンウイックの登場である。 ウイリアム・ホールデンの良き伴侶をジューン・アリスン、有能な女秘書に ニナ・フォック、ポール・ダグラスの秘書で情婦にもなっている女をシェリイ・ウインタースが扮している。 監督は「砂漠の鼠」「罠」のロバート・ワイズが一人一人の人間を浮き彫らせ乍ら、 迫力を盛り上げるのに主演陣の好演もさることながら快調なテムポで描いてい |
る。
原作は、キャメロン・ホーリイのベスト・セラーから「麗しのサブリナ」のアーネスト・レーマンが
脚色、「兄弟は皆勇敢だった」「あの高地をとれ」等の巨匠セドリック・ギポンスの美術が効果を上げている。
撮影は「百万弗の人魚」「兄弟は皆勇敢だった」のジョ−ジ・フォルシイ、
製作は「悪人と美女」「ジュリアス・シーザー」のジョン・ハウスマンである。
<物語> 大会社の偉い人たちは雲の上にいて、下界の苦労や斗争など一向知らないように見えるけれど、 トレッドウエイ株式会社のワンマン社長エイヴリー・ブラードが紐育で社外重役の一人 ジョージ・キャスウェルを訪問したあと、突然脳出血で死んだ事から、はしなくも 雲の上の重役達は社長の地位を狙ってあらゆる知能的斗争の渦を捲き出すのである。 社長の死はキャスエルしか知らない。社長の死が分ればトレッドウエイ株は暴落する―― 早速3700のカラ株を売った。金曜日。月曜に来る大ガラには10ドル安拉で買戻してやろう―ー しかし会社側では、すかさず収益報告を新聞に発表した。会社ほ堅実に継続する。株は下らない。 社長死亡の報は、ミルバーク市の本社にいる重役連を震駭させた。 経理担当のオルダースンと意匠促進部長のドン・ウォーリングは仲がよい。 共にブラードを崇拝し、人物を尊敬していた。 監査役のショウは抜け目のない会計士で皆から嫌われているが、新社長になる満々たる 自信を抱き早速その足場固めの活動を開始している。 製作担当重役のグリムは近く引退を計画しており、営業担当のダッドレイは折からの シカゴの見本市出張を口実に、実は秘書イヴァのアパートにしけこんでいる。 もう一人の社外重役で大株主は会社創立者トレッドウエイ家唯一人の生存者、 ジュリア・トレッドウエイ嬢である。ジュリアはブラードを熱烈に恋していたが、片思いであった。 社外重役2人、社内5人の7人の重役が社長を推薦し選挙する。4票あれは当選だ。 誰が推薦され、誰がどの推薦者に投票するか?ショウはすかさずイニシアティヴを取って 新聞発表や葬儀の日取りなどを決定し指導権の実績を握る一方、社務に興味のないジュリアから 委任状を取ることに成功し、・・・ (104分) |