脅迫者

<The Enforcer>  (51年)

<スタッフ>
製作
 監督
原作
撮影
美術
音楽
編集

<キャスト>
マーチン・ファーガスン
ジョセフ・リコ
アルバート・メンドーザ
フランク・ネルスン警部

ミルトン・スパーリング
ブレティン・ウインタスト
マーチン・ラッキン
ロバート・バークス
チャールズ・H・クラーク
デイヴィッド・バトルフ
フレッド・アーレン


ハンフリイ・ポガート
テッド・デ・コルシア
エヴァレット・スローン
ロイ・ロバート
 「白熱魚」「明日なき男」「我れ暁に死す」第三面記事的素材 をもつ映画にかけては独特の味を見せるワーナーが一部社会から白眼視 されながらも強引に製作しのけたギャング映画の異色作がこの「脊迫者」である。
 製作に当ったミルトン・スパーリングはこの映画が実在 の犯罪網の活動を如実に描いている事から3人の弁護士を 雇って台本に出て来る警察や司法上の手続き一切の信憑性 を点検させ原作の素材となった実在事件を起訴した当人を 法律顧問に据え、一方ロスアンゼルスにロケを敢行して現状雰囲気 をより現出せんものと多くの苦心を払った。
 原作は「遠い太鼓」のオリジナル脚本を書いたマーチン・ラッ キン、製作は先に「吹き荒ぶ風」「地裁への退却」等をプ ロデュースしたミルトン・スパーリング(ユナイテッド・ ステーツ・ビクチュア社長)である。
 監督は「花嫁の季節」 1本しか本邦で公開されていない為馴染みは薄いがアメリ カでは鬼オとうたわれるブロードウェイ出の俊鋭ブレティ ン・ウインダストが担当しておりそのユニークな手法は驚歡、 あたわざるものがある。
 撮影のロバート・バークスは リアルな迫力をもって知られており彼はヒッチコックと組 んで随に「見知らぬ乗客」「私は告白する」「ダイヤルM を廻せ!」を発表している。
 音楽は「肉の蝋人形」「謎のモルグ街」の老巧デ イヴィット・バトルフでこれまた独特な持ち味を生かして 作曲に当っている。
 主演は「黄金」「アフリカの女王」「悪魔をやっつけろ」 それに「ケイン号の反乱」等数知れぬ大作、話題篇に出演 した重厚ハンフリイ・ポガート。 そのポガートを助けて「暗黒街の恐怖」で無頼漢を演じた ゼロ・モステル、「肉の蝋人形」のロイ・ロバート、ギャン グ・スタアとして名を連らねる「征服されざる人々」のテ ッド・デ・コルシア、
「南海の劫火」のエヴァレット・スローン、 「裸の街」のアデレイド・クレインといった腕達者な面々が 脇役を固めている。


 <物語>  深夜の静寂を破るサイレンの音。――警戒もの ものしい囲みの中を1台の囚人護送車が検事局に到着した。 降り立った男ジョセフ・リコ、彼は明朝ここの法廷で開かれる殺人鬼 メンドーザの公判で彼を電気椅子に送る為その非業を暴露しなけれ ばならないのだが何故の恐怖か脅えきって満足に 言葉さへ発し得ない。そういうアルバート・メン ドーザとは――誰あろう。長い間この平和な都会 を恐怖のどん底へ叩き込んだ殺人請負業の首魁なのであった。
 リコはメンドーザの第一の乾分であったが一味 からの暗殺を恐れ地方検事補マーチン・ファーオ スンに保護を求めて来たのである。親分を裏切る からには俺は殺される" リコは証言の決心が未だつかない儘 ファーガスンの自室で夜を過ごすことになったが、 彼の言葉を裏書きするかのように証言の前夜前のホテルから何者かに狙撃され "殺される" 恐怖に自ら脱出をはかり、墜死してしまった。
 唯一の証人惨死、殺人鬼メンドーザは裁判の結果、 善良なる市民として釈放されるのは必定だ。疲れ 切ったファーガスンは絶望にひんした。だが何か 俺は忘れている。――部屋一杯山積された供述書 やテープ・レコーダに収めた証人の陳述から明日 の公判までに何とか別の証人を捜し出さねば…… ファーガスンは改めて記憶のペーヂをひろげて見 るのだった。
 殺人会社の存在が明るみに出たのはメンドーザ の部下の一人 "デューク" マロイが「俺は恋人を殺 した」と反狂乱の様に口走り乍ら市警察に自首し て来た時だった。・・・    (87分)

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