喝 采<The Country Girl> (54年) |
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<スタッフ> 製作 脚色・監督 音楽 ミュージカル場面作詞 作曲 <キャスト> フランク・エルジン ジョージー・エルジン バー二ー・バッド |
ウィリアム・パールバーグ ジョージ・シートン ヴィクター・ヤング アイラ・ガーシュイン ハロルド・アレン ビング・クロスビー グレイス・ケリー ウィリアム・ホールデン |
「失われた少年」とおなじくウィリアム・パールバーグが製作にあたり、
ジョージ・シートンが監督した感激の名篇。戦後のハリウッドが生んだもっとも重要な作品の
一つと激賞されている名作である。
パールパーグとシートンはあるときはチームとして製作にあたり(トコリの橋)
その他あるときはパールバーグが製作をひきうけシートンが監督を担当(「失われた少年」
「二十四丁目の奇蹟」「カントリー・ガール」その他)して、
ハリウッドに異彩を放っている有能なコンビである。
その実力は古くから知られていたが、パラマウントに腰をすえてからはそのオ能にますます磨きがか
かり、ついにこの名作を生むことになった。アメリカの映画芸術にまた一つの凱歌があがったわけである。
原作はプロードウェイで一年にわたって続演されたクリフォード・オデッツの名戯曲、 (ウイリアム・ホールデンの第一回作品「ゴールデン・ボーイ」もオデッツの原作で、 プロデューサーかウィリアム・バールバーグであるのもおもしろい)、シナリオはジョージ・ シートン作品のすべてがそうであるようにシートンみずから執筆、カメラは名手ジョン・F・ウォレンの担当、 音楽は 「地上最大のショウ」「静かなる男」その他のアメリカ映画音楽の巨匠ヴィクター・ヤングという 堂々たるスタッフである。 3人の主演者のうち、特筆に値するのはビング・クロスピーの名演技で、 この映画によって新しい性格俳優ビング・クロスピーが生まれたとまで云われている。 グレイス・ケリーが心理描写を主とした最初の難役をみごとにこなしていることも見逃せない。 ウィリアム・ホールデンの「麗しのサブリナ」とはがらりと変ったしぶい役柄もみものの衣一つである。 アメリカ映画の健在を全世界 |
に示したパラマウン卜が誇りを以ておくる名作である。 <物語> ブロードウェイの若い演出家バーニー・ドッドは新作 「われわれをめぐる土地」の上演にあたって、主役になる俳優の人選になやんでいた。 この新作には唄が入っていて、バーニーはフランク・エルジンというミュージカルのスターを 使いたいと思っているのだが、プロデューサーのフィル・クックが賛成しないのだった。 フランクは酒に身を持ちくずしていて、演技にも唄にもむかしのおもかげがないというのが、 フィルの反対の理由だった。しかし、バーニーはフィルを説き伏せて、 ともかくフランクのテストを行うことになった。テストはうまくいったが、フランクは自信がなく、 バーニーの返事を聞かずに立ち去ってしまった。 バーニーはフランクの行方を求めて、やっとその家を探し当てた。バーニーを迎えたのは フランクの妻ジョージーで、まだ30に手がとどかぬ年頃ながら、身なりにかまわぬのではるかにふけて見え。 態度のおちついた、意志の強そうな女性だった。部屋の様子では、むかしはいい暮らしをしていたらしいが、 いまは楽ではなさそうだった。 やがて、フランクが戻ってきた。バーニーは遠慮なく酒をやめれば主役をやらせると云った。 しかも、期待にそわぬ場合にはいつでもやめさせるという契約だった。アルコール中毒の人間らしく、 フランクはバーニーの申し出に不満の様子であったが、バーニーは返事を待っていると云って、 帰って行った。ジョージーは気のすすまぬフランクを熱心に説き、 フランクは稽古にとりかかることになった。 ・・・ (104分) |
アイラ・ガーシュインとハロルド・アレンの曲 「われらをめぐる土地」 「ユーヴ・ガット・ホワット・ナット・テイクス」 「ラブ・アンド・ラーン」 「ピッチマン」 ジョージ・シートン ジョージ・シートンは、ラジオで活躍してから映画界に入り、シナリオ・ライター、監督、プロデューサーの一人 |
三役を兼ねている多才な人物。 ジョージ・シートンとウィリアム・パールバーグのコンビの作品は、この「喝采」のほか「失われた少年」「34丁目の奇跡」など。 シートンは自分の監督作品のシナリオは全部書いている。そのほか「大空輸」「聖処女」ではシナリオを担当。 また、プロデューサーをつとめるときはパールバーグと組んで、「トコリの橋」などは協同製作としている。 「34丁目の奇跡」と「喝采」でアカデミー脚本賞。 グレイス・ケリーは、このときの主演女優賞を獲得。 |