裸足の伯爵夫人

<The Barefoot Contessa> (54年)

<スタッフ>
製作
 脚本・監督
ィッツ 撮影
  音楽
 
<キャスト>
ハリイ・ドウズ
  マリア・ヴァルガス
  オスカー・ムルドーン
ヴィンセンツォ・トルラト=ファブリニ

フォレスト・E・ジョンストン
ジョセフ・L・マンキウィッツ
ジャック・カアディフ
マリオ・ナンシペーネ


ハンフリー・ボガード
エヴァ・ガードナー
エドモンド・オブライエン
ロッサノ・ブラッツィ
 メトロで「ジュリアス・シーザー」を撮ったジョセフ・L・マンキウィッツ監督は、 その後独立プロ「フィガロ・プロダクション」を作ったが、「裸足の伯爵夫人」はその第一回作品として、 今年2月からイタリアで撮影に着手したものである。これまで黒白映画のみ撮っていたマンキウィッツが 初めて手がける色彩映画という点でも期待されるものがある。
 脚本はマンキウィッツ自身が書きおろしているが、初めての色彩映画たというので、色彩撮影の 権威ジャック・カアディフを撮影監督にもって来ているのも用心深い。その他音楽は、 「ローマの十一時」「美しき幻想」(以上未輸入作品)などの作曲で知られ、イタリイ映画界の 音楽賞であるシルヴア・リボン賞をもらったマリオ・ナシンべーネが担当している。
 主演には、「悪魔をやっつけろ」や「麗しのサブリナ」「ケイン号の坂胤」などで最近また 大いに人気のあるハムフリイ・ポガートが、いささか皮肉屋なハリウッドの映画監督に扮し、 「モガンポ」のエヴア・ガードナーが野性的でしかも高貴な美しさをたゝえた場末の踊子出身の 伯爵夫人を演じている。
 それに「都会の牙」「白熱」などのエドモンド・オブライエンの宣傳屋、 「汽車を見送る男」「路上の夜」のイギリス・スタアのマリウス・ゴーリングの運転手、 「噴火山の女」「愛の泉」のイタリア・スタアのロッサノ・ブラッツィの伯爵、 「女の獄舎」「魔の山」のヴァレンチナ・コルテッサの伯爵の姉などが配されている。
 そのほか、「ユリシーズ」や「陽気なドン・カミロ」のフランコ・インテルレニ、 「剣の舞」のアルベルト・ラパリアーチ、「自転車泥棒」のエンツォ・スタイオーラ少年、 「しのび逢い」のダイアナ・デッカー、往年のハリウッド・スタアのべッシイ・ラヴなどが出演している。
 イタリアの美しい風光のなかに描かれる夢と現実との織りなす物語をマンキウィッツ一流の 面白さで展開させる異色ある作品である。
 <物語>  イタリア領リヴエラの古代墓地のなかで、折から一つの埋葬式がとり行われていた。 沢山の人々がこの世界的に有名な映画女優の埋葬を見ようとして集っている。 しかし、葬られる彼女は一映画スタアとしてゞはなく、トルラト=ファブリニ伯爵夫人として 埋葬されているのだった。会葬者の一人にハリイ・ドゥスという男があった。
 彼はたゞ一人、会葬者の群から離れて立ち、大理石で彫まれた伯爵夫人の像をじっと 見つめていたが、やがて彼女の数奇な物語を語りはじめた。 それは、彼女がまだ伯爵夫人ではなく、映画のスタアですらなかった頃からはじまる話で、 その頃彼女はマリア・ヴァルガスという名の一介の酒場の踊り子にすぎなかったのであった。
 今から3年前、ハリイは映画監督として腐りきっていた。それで、 テキサスの大地主だという女気狂いの放埓者カーク・エドワーズに雇われた。 カークが映画を製作するというのである。魅惑的な女王人公の出るストオリイを買って、 ハリイに脚本を書き監督することを命じた。
 ハリイとカーク、それに宣伝屋のオスカア・ムルドーンとマイアナという女が加わり、 ヨーロッパヘスタア探しに行っていたとき、一行はマドリッドのきたないキャバレへ、 ハリイがちよっと小耳にはさんだマリア・ヴァルガスという踊子を見に行ったことがあった。
 彼女をテーブルヘ呼んで来いといわれたオスカアが空手で帰って来たとき、 カークは次にハリイに行って来いと命じた。ハリイがいやだというとカークは、 それでほ映画は中止にして、ハリイの酒癖がなおらず、そのため脚本がなっていないためだと いいふらしてやると脅かした。そこでハリイはやむを得ずマリアを迎えに楽屋に行った。
 ハリイとマリアとは、お互いにすぐ好きになったが、彼女は見るからにカークが嫌いだっつた。 ・・・(130分)

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