ブリット

<Bullitt>   (68年)

<スタッフ>
製作
監督
原作
脚本
撮影
美術
音楽
編集

<キャスト>
フランク・ブリット
ウォルター・チャルマース
キャシー
ベネット
テルゲッティ

フィリップ・ダントニ
ピーター・イェーツ
ロバート・L・パイク
アラン・R・トラストマン
ウイリアム・フレイカー
アルバート・ブレンナー
ラロ・シフリン
フランク・ケラー


スチープ・マックィーン
ロバート・ボーン
ジャクリーン・ビセット
サイモン・オークランド
ドン・ゴードン
 出演映画がつぎつぎと大ヒットを放ち、いまや名実ともに世界的な大スターの座を誇るスチープ・マックィーン。 その彼がみずからプロダクションを設立、第一回作品として製作したのがこの「ブリット」。 それだけにマックィーンの気迫も凄まじく、スピードレース顔まけのスリルと興奮で叩きつける大スケールの快作が誕生、 アメリカ最大の劇場ラジオ・シティ・ミュージック・ホールで公開するや創始以来の大ヒットとなり、 輝かしい興行新記録を樹立して、またまた男をあげた。「物凄い映画ができたものだ。この映画の興奮だけは テレビでは味わえない。これこそ今日の映画だ」とニューヨーク・タイムスが手放しで絶讃しているのをはじめ、 マスコミも観客もこぞって讃辞を寄せている。
 この映画でマックィーンが演じるのはシカゴ・ギャングに真正面から体当りする刑事。 刑事役は彼にとってはじめてだ。新境地に挑むカツコいいスチープ・マックィーンが犯人を求めて展開する 大追跡戦は、映画史上かつて見られなかったというほど猛烈な迫力に富んでいる。 とくに坂道の多いサンフランシスコの市街地を時速250キロのスピードでムスタングをぶっ飛ばす追跡シーンは “目もくらむ20分間”といわれ、そのエキサイティングな画面展開は話題の焦点になっている。
 マックィーンはスピード狂としても有名だが、ソーラ・プロダクションの社長として、 永年の夢と自分の魅力のすべてをこの作品に賭け、みごと空前の大ヒットをかっ飛ばしたわけである。
 共演は「ナポレオン・ソロ」シリーズで人気絶頂のロバート・ボーン。マックィーンとはすでに「荒野の七人」で共演しているが、 当時はまだ2人とも駆けだし時代。その後、2人は友情に結ばれ、マックィーン企画のこの映画ではじめてファン待望の 本格的な大競演が実現したのである。野望に燃える若きステーツマンという難役を立派に果したボーンは、新しいイメージづくりに成功、 スーパースターの面目をいかんなく発揮している。
 さらに、「いつも2人で」「甘い暴走」のジャクリーン・ビセットがマックィーンの恋人という好運な役柄に抜擢され、 均整のとれた美しい肢体とのびのびした演技力で、早くも大スターへの道が約束されている。
 また「ウエスト・サイド物語」「青春の海」のサイモン・オークランド、テレビの人気者ドン・ゴードン、 ブロードウェイ劇壇からのロバート・デュボールなどのベテランが脇をかためドラマを引きしめている。
 キビキビした画面展開とスマートな語り口を手腕とするピーター・イェーツ監督を中心に、 「女狐」の撮影者ウイリアム・フレイカー、「暴力脱獄」「華麗なる賭け」の作曲家ラロ・シフリン、 「俺たちに明日はない」の衣裳デザイナー、セオドラ・バン・ランケルなど総力を結集した最新アクション巨篇である。
 <梗概>  やくざのジョニー・ロスは実の兄のピートや2人の属する犯組織の連中から追われていた。 組織を裏切って200万ドルを持ち逃げしたからだ。その彼がシカゴをジェット横で飛び立って、目ざすところはサンフランシスコ。 少壮気鋭の政治家ウォルター・チャルマースが、もしジョニーが上院の小委員会の公聴会で、ある証言台に立ってくれるなら 身柄を保護してやろうと確約してくれているからだ。
 しかし、みんなが追いかけているジョニーは実はニセ者。彼の本当の名はレニッタで、姿かたちがジョニーにそっくりなのを見こまれ、 夫婦そろってのヨーロッパ旅行という報酬と引きかえに、この役を引き受けたのだった。
 ニセのジョニーの到着直後、サンフランシスコ警察のベネット刑事部長はチャルマースの要請で、 市内のダニエルス・ホテルに身をかくしたニセのジョニーの護衛役に敏腕の刑事フランク・ブリットを任命した。 そしてブリットが協力者にえらんだのはデルゲッティとスタントンの両刑事。昼夜交替で見張りを続けるためだ。
 事件が起ったのは、最初の見張りに立ったスタントンに現場をまかせて、ブリットが恋人のキャシーに会いに行っている最中だった。 チャルマースの名を告げてジョニーの部屋に入ってきた2人の男が、ウインチェスター型の猟銃でジョニーとスタントンを射ち、 重傷を負わせたのだ。
 さっそく病院へかけつけたチャルマースはブリットの失態をきびしく罵倒した。ブリットが必死に自分の職務を果そうとするのにひきかえ、 政治的野心に燃えるチャルマースは世論の注目を浴びようと自己宣伝に懸命の様子であった。
 さらに、ホテルに忍び込んだ殺し屋の1人マイクは、執拗にも面接禁止の病室の中までジョニーを追い、彼を刺し殺そうとしたが、 鋭いブリットの機転に制されて手も足もでなかった。
 が、有能な若い医師ウイラード博士の努力もむなしくジョニーは死んだ。なおも犯人を追求しようとするブリットは医師を説得し、 まだ生きているように見せかけてジョニーの死体を救急車で病院の外へ運び出させることに成功した。
 旧友のベイカーと再び病院へやってきたチャルマースも、ジョニーの姿が見えないのには驚いた。 ブリットの自宅に電話して問いつめてはみたものの、ブリットは冷然と電話を切ってしまった。その挑戦的な態度が いっそうチャルマースをいらだたせた。ブリットをこの事件にこれ以上立ち入らせぬため、彼はベイカーに命じて、上司の力により、 事件の担当から除外させようとさえしたのである。だが、それに失敗すると、今度はベネットに身柄提出令状をつきつけ、 ジョニーを自分の手に引き渡させようとした。 ・・・   (113分)

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