追 想

<Anastasia>  (56年)

<スタッフ>
製作
 監督
原作

 脚色
撮影

美術
音楽
編集

<キャスト>
大公女テナスタシア
ボーニン
大皇妃
チェルノフ
ロシアの侍従長

パディ・アドラー
アナトール・リドヴァク
ガイ・ボルトン潤色による
マルセル・モウレットの戯曲より
アーサー・ロウレンツ
ジャック・ヒルドヤード
アンドレイ・アンドレイェフ
ビル・アンドルース
アルブレッド・ニューマン
バート・ベイツ


イングリット・パーグマン
ユール・プリンナー
ヘレン・へイス
エイキム・タミロフ
フェリクス・アイルマー
 ロシア革命(1917年)の犠牲から奇跡的にのがれ、今もなお生存していると伝えられるロマノフ王朝最後の皇女アナスタシアに まつわる恋と陰謀を描く超特作で、製作は最近「バス停留所」を放つたバティ・アドラーである。
 この物語はなかば事実によったものであると云われるが、原作はガイ・ボルトソが濶色したフランスのマルセル・モゥレットの戯曲により 「旅情」の脚本を書いたアーサー・ロウレンツが脚色し、最近「想出」や「愛情は深い海のごとく」を手がけたアナトール・リトヴァクが監督した。 リトヴァクのフォックス映画演出は「暁前の決断」以来である。
 主演者は「凱旋門」以来7年ぷりにアメリカ映画に出演し、早くも56年度に於ける最優秀演技女優として各方面をら絶賛を浴びた イングリッド・バーグマンと「王様と私」で映画に初出演し、たちまち女性の人気者となった舞台出身の異色ユール・ブリンナーと戦 前「戦場よさらば」等に出演しThe Sin of Madel on Claudetでアカデミイ賞を得たアメリカが生んだ舞台の名女優ヘレン・ヘイスで、 以上の大物顔合せの外に「モロッコ城」「塞断固戦う人々」のエイキムタミロフ、「シーザーとクレオパトラ」のフェリクス・アイルマーその他が助演している。
 音楽は「バス停留所」のアルアフレッド・ニューマン、撮影は「超音ジェット機」「旅情」のジャック・ヒルヤードである。
 なおこの映画はパリ、コペンハーゲン、ドイツにおいて撮影されたが、フォックスが欧州ロケで製作した最大の作品で、 製作費350万ドルを投じたと云われる。
 <物語>  映画の物語は1928年にはじまる。白系ロシア人で、第一次大戦後パリに住んでいた旧将軍ボーニン(エール・プリンナー)を 首謀者とするチェルノフ(エイキム・タミロフ)、ベトロヴィン、ステパンの4人が、パリ在住の白系ロシアの元貴族たちに アナスタシア大公女が生きているという宣伝をなし、彼女を敵の手から救い出すという名目で資金を貴族たちから募って 彼等を株主にし、同時にアナスタシアに関するあらゆる貴重な知識を集める、それはアナスタシアの特徴、性癖、嗜等すべてにわたる細かい点であった。
 これらの知識によって彼等は、やがて、貧困と神経衰弱のためにセーヌ河に身を投げようとしたアンナ・コレフという女(イングリット・バーグマン)を アナスタシア大公女に仕立てあげ英国銀行に眠っているアナスタシアの金を引き出そうという陰謀を企んだのである。
 このアンナという女は、さきはどある病院に入院していたとき、そこの尼僧に自分がアナスタシアであると打ちあけたことがあった。 この頭と手に傷あとのある謎の女は自分の過去に関する記憶をほとんど失っている。覚えていても断片的なことだけで、 自分の名前すら知らないくらいであった。
 アンナはやがてボーニンから、あたかも幼い子が言葉づかいや作法を教えこまれるように、アナスタシアにふさわしい物ごしや、 セリフや過去の思い出話を細かく教えこまれる。しかも、それは急を要することであったボーニンたちがアナスタシアを株主たちに紹介しなければならぬ期限が いよいよ迫っていたからである。・・・
   (105分)

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