アメリカアメリカ<America America> (63年) |
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<スタッフ> 製作・監督・脚本 撮影 美術 音楽 編集 <キャスト> スタブロス・トポウゾグロウ パルタン・ダマデアン バッソー・トポウゾグロウ ホハネス・ガルダシアン トムナ・シンニコグロウ |
エリア・カザン ハスケル・ワェックスラー ジーン・キャラハン マノス・ハジダキス デード・アレン ギェーン・ベガリー スタチス・ヒヤレリス フランク・ウォルフ エレナ・カラム グレゴリー・ロザキス リンダ・マーシュ |
映画史上に不朽の名を残す名作「エデンの東」や「草原の輝き」などで、
逞しくしかも傷つきやすい青春の姿を描いた名匠エリア・カザンが、3年に及ぶ沈黙を破って発表した問題作である。
1896年、トルコの圧政下に、自由を求め未知に憧れて旧大陸を捨てたギリシャ青年が、 あらゆる障害を乗り越え踏み越えて、新大陸に人生の活路を見出して行く道程を、鋭くリアルに見つめている。 原作・脚本ともにカザン自身当り、トルコのコンスタンチノープルに生れ、 ギリシャ系移民の子としてアメリカで成長した彼が、幼い頃から聞かされ続けて来た一家の物語に想を得て、 6年間、書きためて来たものという。 主人公のギリシャ青年を演じるのは、アテネ生れ23歳のスタチス・ヒヤレリス。 アメリカ・ヨーロッパ大陸を股にかけた主役さがしに、数百名の候補者の中から選び出されたヒヤレリスは、 もちろん、これが映画俳優としてのデビューだが、カザンのおメガネにかなっただけあって、素晴しい素質と個性の持主。 今までにもジェームス・ディーン(エデンの東)、マ一口ン・ブランド(波止場)、 ウォーレン・ピーティ(草原の輝き)などを発掘し、一躍大スターに仕立て上げたカザンの名手綱さばきのもと、 堂々たる演技者ぶりをお目にかける。 共演者もフランク・ウォルフ(シシリーの黒い霧)を筆頭に、リンダ・マーシュ、ハリー・デビス、 エレナ・カラム、エステル・ヘムズレイ、グレゴリー・ロザキスなど、ブロードウェイの舞台やギリシャ、 トルコ映画演劇界からの芸達者をも含めた国際的な顔ぶれ。 撮影はトルコ、ギリシャ、ニューヨーク、ハリウッドと、地球の半分を駆けまわって行なわれたが、 キャメラのハスケル・ウェックスラー、音楽のマノス・ハジダキス(「日曜はダメよ」でアカデミー賞受賞)、 美術のジーン・キャラハンなどスタッフも異色ぞろいで、それぞれが、 カザン久々の意欲作にふさわしいすぐれた仕事ぶりを見せている。 | <梗概>
1896年のトルコ。ここに住むギリシャ人やアルメニア人はトルコ政府の弾圧に苦しめられていた。
彼らが征服者に用いる唯一の方法は微笑と服従だ。
ギリシャ人の青年、スタブロス・トポウゾグロウは、親友のアルメニア人パルタンから遠い国、 自由の国アメリカに就いて話を聞いていた。人間が人間らしく生きられるチャンスのある国、アメリカへ行こう。 パルタンはスタブロスを誘った。しかし、パルタンはトルコの圧政に反抗した態度をとったため殺書された。 スタブロスはひそかに自由を求めてアメリカへ旅立つ決心をかためる。 父親のイザーグや母親のバッソーは熟慮の末、彼の力添えをすると約束し、代々家に伝わる貴重品を与え、 息子を旅立たせる。 スタブロスの責任は重い。彼はコンスタンチノープルで敷物商をいとなむいとこの家へ身を寄せ、 そこで彼の持ってきた財産をもとでに商売を始め、一応安定してから家族を呼びよせるという父親の予定だった。 旅の途中、彼は悪賢いトルコ人アブダルと知り合い貴重品を次々にまきあげられてしまった。 おかげでコンスタンチノープルに着いた時は無一文だった。 いとこのオデッセは、彼が金を持っていないことを知ると途端にスタブロスを追い出しにかかる。 がオデッセは一計をめぐらせ、金持娘を紹介し結婚するようにすすめた。 だがどうしてもアメリカへ行きたいと思っていたスタブロスは断ってしまった。 家をとび出したスタブロスは港で運搬夫の仕事をみつけてがむしゃらに働いた。 誰もが嫌がった重い荷物を運ぶなどして、評判になった。また、彼の口ぐせからアメリカアメリカと仇名をつけられた。 仲間の一人ガラベットはそんな彼に、アメリカばかりに憧れていないで現在をたのしめと忠告し、娼婦の許に 連れていった。眠っているスタブロスの枕許から彼が大事に貯めていた金が消え女の姿も見えなくなった。 スタブロスは狂気のようになったが、そんな彼をガラベットは励まし、革命運動の地下組織に連れていった。 が其処で・・・ (169分) |