真昼の欲情

<God's Little Acre>   (58年)

<スタッフ>
製作
監督
原作
脚色
音楽

<キャスト>
タイ・タイ・ウォールデン
ウイル・トムソン
グリセルダ
ダーリン・ジル
ショー・ウォールデン

シドニー・ハーマン
アンソニー・マン
アースキン・コールドウエル
フィリップ・ヨーダン
エルマー・バーンスタイン


ロバート・ライアン
アルド・レイ
ティナ・ルイス
フエイ・スペイン
ヴイク・モロー
 「真昼の欲情」は聖書に次いで、フィクションの世界における最大のベストセラーと云われる、 現代アメリカ文壇第一線作家アースキン・コールドウエルの GOD'S LITTLE ACRE 「神の小さな土地」の 映画化作品である。
 この映画化を企画したのは、過去に「最前線」その他の傑作をおくって気を吐いた、 独立プロの雄セキュリテー・プロの協力スタッフで即ち製作にシドニー・ハーマン、監督アンソニー・マン、 撮影アーネスト・ハラー、音楽エルマー・バーンスタイン及び主演者のロパート・ライアン、 アルド・レイといった顔ぶれである。
 原作「神の小さな土地」は25年前に書かれた、コールドウエルの出世作で、 以来四半世紀に亘り全世界で1千万部近く、実に「風と共に去りぬ」の2倍弱を売ったという、 文字通りのベストセラー。しかしこのベストセラーが映画化されたのは今回が初めてのことで、 商売熱心なハリウッドが今まで手をつけなかったと言うのは、この小説が余りに多くの問題を含んで、 絶えず検閲問題、訴訟問題を起して来たからである。 事実、マサチューセッツ州は現在でも同書の販売、印刷を違法として厳禁している。
 撮影は最初原作の舞台ジョージア州で行う予定であったが、同書を州の不名誉と考える土地の権力者達の反対に合い、 止むを得ずカリフォルニア州ストクトンで行われた。
 出演者ではライアン、レイの他に、2人の新人女優ティナ・ルイスとフエイ・スペインが この作品でデビューしている。共にTV、演劇の経験を持つ個性的且つセクシーな21才のニュースターで、 早くも新しいグラマーとして評判になっている。
 原作者コールドウエルの協力ぶりは予想外で、ロケハンに随行した他、撮影中しばしばロケ地を訪れ、 主題歌の作詩を自ら買って出、また完成プリントを携えて国内宣伝旅行に回ったほどである。 コールドウエルほどの有名作家が、このような協力を与えたのはたいへん珍しい事だった。
 <梗概>  ジョージア州に住む富農タイ・タイ・ウォールデンは頑丈でらい落な男で、家柄を大事にすると共に信仰心に厚く、 自分の土地のうち1エーカー(約1,200坪)を「神の小さな土地」と呼んで教会に献げていた。 然し、その「神の小さな土地」の目印である鉄の十字架は、彼の「もくろみ」の都合次第で始終あちこちと 動かされていた。神様は許して下さる――とタイ・タイは信じて疑わなかった。
 自分の土地の何処かに祖先が金を埋めてある――という考えに、タイ・タイは取憑かれていたのである。 彼はこの15年と言うもの農耕を投げ出し、家族や雇人の生活をも考えずに、折角の肥沃な土地をあとからあとからと 掘り返していた。その手伝いをさせられているのが、次男のバックと三男のショーだった。
 タイ・タイには長い間病みついているロザマンドと言う娘があった。その夫のウイル・トムソンは 百姓を嫌い紡績の町ホワイト・ホース・ヴァレーに出て工場に働いていた。ところが、不景気の余波で工場は閉鎖され、 住民達は飢えに頻し乍らただただ操業の再開を待っていた。その工場を再開し、もう一度もとの生き生きくした町に 返したい――というのがウイルの夢だった。
 タイ・タイの息子バックは頑健だが愚鈍で、父の意に従って諾々として土掘りを手伝うような若者だった。 が、そのバックも美しい赤髪の妻グリセルダが、自分に満足していないことは流石に感ずいていて、 何かにつけて激しく嫉妬した。
 グリセルダは自分の美貌が男達にどんな作用を与えるかを何時も意識しており、畑で土掘りをする男達に レモネードを運ぶ時でさえハイヒールを履いて行った。彼女の心には初恋の人であったウイル・トムソンの面影が 未だに消えなかった。妻をつれて何年ぶりかにウォールデン農場を訪ねたウイルもまた、 久しぶりに逢うグリセルダに心の燃えるのを感じた。
 農場の家事一切を切廻すグリセルダの手助けをするのは、タイ・タイの末娘でまだ20才前の屈託のない ダーリン・ジルだった。・・・  (100分)

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