やさしい狼犬部隊

<Three Stripes in the Sun> (55年)

<スタッフ>
製作
 監督・脚色
撮影
 音楽指揮

<キャスト>
ヒュー・オライリイ
  シェパード大佐
  市原ユウコ
  アイダホ
 

フレッド・コールマー
リチャード・マーフィ
  バーネット・ガフィ
モリス・ストロフ


アルドー・レイ
  フィル・ケリイ
  木村三津子
  チャック・コナーズ
 終戦直後、大阪に進駐Lた狼犬部隊と呼ばれるアメリカ軍部隊が、悲惨な戦災孤児のために義金を集め、 しかもその部隊が日本を去りハワイに駐屯中の現在でも愛の拠金は続けられているという実話は、 日米を結ぶ美しい国際愛物語として、いまだに日米両国の新聞紙上をにぎわしているほどであるが、 この映画はその実話に取材、義金運動が機縁となって結ばれたヒュー・オライリィ軍曹と日本女性との ラブ・ロマンスを中心に、狼大部隊の兵士たちの拠金にによって立派な孤児院が出来あがるまでの ヒューマニスティッグな物語を描いたものである。
 アメリカの雑誌「ニューヨーカー」に掲載されたE・J・カーン・ジュニアの実話小説をもとに、 「折れた槍」のリチャード・マーフィが脚本を執筆するとともに自ら初めてメガホンを握った 監督第一回作品である。撮影は「地上より永遠に」でアカデミィ賞を得たバーネット・ガフィ。
 出演者は「愛欲と戦場」「俺たちは天使じやない」のアルドー・レイ、新進ディック・ヨーク、 「長い灰色の線」のフィル・ケリイ、そして日本側より、木村三津子、斎藤達雄、 大川平八郎らといった異色顔ぶれである。
 この映画の撮影は、本年2月ハリウッドより撮影隊1行30余名が来日、 大阪方面でロケを行うとともに、セットは大映京都撮影所を使用しているので 従来の日本ロケ・アメリカ映画に見られ勝な日本風俗を無視した不自然な面が全くなく、 またここに描かれた内容も、日本を好奇心的な角度から描いたものではなく、崇高な人間愛を テーマとしたものだけに、日本ロケを行ったアメリカ映画のなかでは、初めてといってよいはど 日本人に大きな感銘を与える作品になっている。
 <物語>  真珠湾、比島、沖縄で戦ったヒュー・オライリィ軍曹は、すっかり日本人ぎらいの人間になっていた。 ネビィ・ミューレンドーフ伍長とともに、大阪の歩兵第27連隊に配属されるため東京に立寄った オライリィは、その夜、街なかでネビィの戦友アイダホと偶然出会いナイトグラブに行ったが、 オライリィにとっては、ナイトグラブでのアメリカ兵や日本の女たちの姿は苦々しい限りであった。
 ナイトグラブを逃げ出したオライリィは、ポン引に引張られ押問答しているうちに、 ソバ屋の屋台をひっくり返してしまい、忽ち大勢の人だかりとなった。 しかもこの時群衆のなかから「アメ公帰れ」と英語で叫ぶものがあったので、 オライリィはその男を追った。
 そこえ日本の警官が現れ、騒ぎはますます大きくなった。オライリィはその男をつかまえ 撲りかかった腕を警官に押さえられ、そこにかけつけたネビィも怒って、あわや大乱斗となろうとした時 M・Pが現れ、2人は連行された。
 こうしてオライリィとネビィの2人は、M・Pの監視付で、大阪の連隊司令部に行き、 シェバード大佐にさんざん油をしぼられた上で、大津キャンプ勤務を命ぜられた。
 ある日オライリィは130ドル入っていた財布をなくしてしまい、日本人労務者が 盗んだにちがいないと思いこんでいた矢先、吉出という男がその財布を持っているのを見て、 つかみかかったがM・Pに引離され、オライリィと吉田は、このキャンプに働いているユウコの通訳で 連隊長と大隊長のロシェル少佐の取調べを受けた。
 吉田は孤児院の金をつくるために労務者として働いている神父で、 ・・・   (93分)

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