南太平洋

<South Pacific>  (58年)

<スタッフ>
製作
  監督
脚本・作詞
音楽
音楽監修・指揮

<キャスト>
エミール・デ・ベック
  ネリー・フォーブッシュ
  ケイブル中尉
  ルーサー・ビリス
  ブラッディ・メリー
  リアット
 

バディ・アドラー
ジョシュア・ローガン
オスカー・ハマースチン二世
リチャード・ロジャース
アルフレッド・ニューマン


ロッサノ・ブラッチ
ミッチー・ゲーナー
ジョン・カー
レイ・ウォルストン
ファニータ・ホール
フランス・ニューエン
 製作は最近「夜を逃れて」「六番目の幸福」を手がけたバディ・アドラーで、 原作はジェイムス・ミッチナーの小説「南太平洋物語」であるが、 これをミュージカルにしたリチャード・ロジャースとオスカー・ハマーステンのピュリッツァ受賞劇で 49年から5箇年間続演記録をもつ「南太平洋」を、更に「エデンの東」「サヨナラ」の ポール・オスボーンが映画に脚色し「ピクニック」「バス停留所」「サヨナラ」等 名作を作り出した新鋭ジョシュア・ローガンが演出した。
 ジョシュア・ローガンは1908年テキサス州テキサーカナ生れでプリンストン大学に学んだ。 在学中に演劇演出を志し、モスコウに留学し、モスコウ芸術座でスタニスラフスキーについて演劇を学び、 アメリカに帰ってから新鋭の演出家としてブロードウェイで認められるようになったが、 彼が一流の演出家として有名になったのは戦後で、映画になった「ミスター・ロバーツ」「ピクニック」 「バス停留所」「南太平洋」等のオリジナル劇の演出をした。とくに「南太平洋」では その卓抜な演出を讃えられドナルドソン賞とアントワネット・ペリー・メモリアル賞を獲得した。 映画の演出を始めたのは55年「ピクニック」が第一作で56年には「バス停留所」、57年には「サヨナラ」を 世に贈って益々名声を高め、続いて第四作「南太平洋」を出したのである。
 音楽はリチャード・ロジャースで、この映画の中でハマーステン作詞、ロジャース作曲の 歌曲十数編が紹介される。撮影は最近「嘆きの天使」を手がけすでに三度アカデミー賞を得ている レオン・シャムロイで、ハワイのカウアイ島で大規模なロケーションが行われた。
 主演者は「旅情」「失われたものの伝説」「ある微笑」のロッサノ・プラッチ、 「ショウはど素敵な商売はない」「夜は夜もすがら」「陽気のせいデス」のミッチー・ゲイナー、 「哀愁物語」「お茶と同情」「葡萄の季節」のジョン・カー、並びに「大戦争」でお目見えした フランシス生れの新星フランス・ニューエンで、これらを助けて「よろめき休暇」 「くたばれヤンキース」のレイ・ウォルストン、この映画のオリジナル劇に出演しドナルドリンとアントワネット賞を獲得した 歌手兼舞台女優のファニータ・ホール、同じくこの映画のオリジナル劇に出演した若い舞台の名優で
映画「よろめき休暇」に出演したジャック・マラニー、「やさしく愛して」「ならず者部隊」の ケン・クラーク「全艦発進せよ」のフロイド・シモンズ等が出演している。

 <物語>  太平洋戦争たけなわの頃、南太平洋のある島へ海兵隊所属のジョセフ・ケイブル中尉が飛行機で やって来る。島に15年前に移住して来たフランスの民間人で農場をもっている エミール・デ・べックがいる。ケイブル中尉はこの男に閲し特別任務を帯びてやって釆たのであった。
 このころ当のエミール・デ・べックは自邸でネリー・フォーブッシュと昼食の卓を囲んでいた。 ネリーは海軍所属の看護婦である。デ・ペックは前に将校クラブの夕食会で彼女に 初めて会ったときから明朗なアメリカ娘らしい彼女が好きになり、求婚しょうと考えはじめる。 そして自分の素性を明かし、自分が故郷である悪者を殺したのでフランスを去らねばならなかったことなどを彼女に語る。
 島に洗濯屋や、その他雑多な商売をやっているルーサー・ビリスという風変りな男や、 草で作ったスカートや色々な土産物などを製造販売するトンキン生れの女ブラッディ・メリーがいる。 島の司令官は海軍大佐ジョージ・ブラケットである。 島の近くに神秘の島バリ・ハイ島がある。この島へは将校以外の者は行くことを禁じられている。
 島に着いたケイブル中尉は早速ブラケット大佐に会い、軍が予て立てた「鰐作戦」と称する作戦を伝える。 それはこうだった。敵はガダルカナル島に多数の兵員と弾薬物資を補給するために、 ある島と島との間にある狭い水道を利用しようとしている。敵の大輸送船団がこの水道を通過するとき、 これをたたきつぶそうというのであった。 だが、そのためにはある島に渡り、そこから敵の行動を監視し無電でそれを味方に知らせる者がなければならない。 その任務はケイプル中尉が帯びていたが、助手がどうしても必要であり、その男はこの海域の島ケイブ島の地理に明かるい人物でなければならず、 結局、長年ここに住んでいたデ・べックに適任者として白羽の矢が立てられたのである。  ・・・  (150分)

 
 <物語>  「南太平洋」では、ロッサノ・ブラッチの歌声を世界的に有名な オペラ歌手、ジョルジオ・トッツイが受け持って 評判になっている。彼は2011年5月30日、88歳で亡くなっている。    

ビル・リー(Bill Lee)

 2007年4月、初めてジョン・カーに会ったとき、尋ねた。「"Younger Than Springtime" を歌っているのはジョンです か」と。

 これに対しジョンは「僕じゃないよ。ビ ル・リーだ」と答
えた。初めて聞く名前だった。

 映画では他に"My Girl Back Home"(舞台では入っていない)と"Carefully Taught"とを歌っている。

 ジョンは2013年2月2日、81歳で亡くなった。

 歌の吹き替えは、マーニー・ニクソンが有名だが、このビル・リーはこの3年後の映画「サウンド・オブ・ミュージック」 で、クリストファー・プラマーの歌を受け持っていた。

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