ローズ・マリー

<Rose Marie>   (54年)

<スタッフ>
製作・監督
原作

脚色

撮影
美術

音楽


<キャスト>
ローズ・マリー
マイク・マローン
ジェイムス・デュヴァル
バーニイ・マクコークル

マーヴィン・ルロイ
オスカア・ハソマアスタイン二世
オットウ・A・ハーバック
ロナルド・ミラア
ジョージ・フローシェル
ポール・ヴォージェル
セドリック・ギボンズ
マリル・ペイ
ルドルフ・フリムル
ハーバート・ストサート


アン・ブライス
ハワード・キール
フェルナンド・ラマス
バアトラ・ラア
 MGMが送る音楽映画の第一回シネマスコープ作品で、本年4月1日ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージック・ホールで 封切りされて記録的な大当りを取った(5週間8,223,000弗約3億3千万円)「ローズ・マリー」と言えばジャネット・マクドナルド、 ネルスン・エディ主演の1936年度MGMトーキー作品を思い出すファンが多いであろうが、1928年にジョーン・クロフォード主演の MGMサイレント映画が既に製作されており、今度が第3回目でイーストマン・カラアによる色彩を持ったシネマスコープ作品として、 スペクタクルな効果を最大に発揮している。
 原作は「ニュー・ムーン」「ショウ・ポート」等のミューカル・ショウ作家として有名なオスカア・ハンマアスタイン二世が、 オットウ・A・ハアバックと共作したオペレッタ「ローズ・マリー」で1924年ブロドウェイで初演されて以来、 アメリカで最もポピュラアなミューカル・プレイの一つとなつている。これには「インデアン・ラブ・コール」「ローズ・マリー」という 世界的に有名な2曲を始めルドルフ・フリムルとハーバート・ストサート(「哀愁」「心の旅路」の音楽監督)の美しい歌曲が組込まれているが、 映画では "I HAVE THE LOVE" "FREE TO BE FREE" "I'M A MOUNTIE WHO NEVER GOT HIS MAN" の3つのニュー・ソソグが加えられている。
 ストーリイはローズ・マリーという野育ちの魅力的な乙女をめぐって、勇敢で親切な北西騎馬警官隊員、ハソサムで向う見ずな青年猟人、 情熱的なインディアン娘等がカナダの北西部の大自然の中に醸し出す愛情の物語で、女主人公ローズ・マリーには「歌劇王力ルーソ」 「兄弟はみな勇敢だった」のアン・プライスが扮して「インデアン・ラブ・コール」はじめ4曲を唄うが、 彼女の唄の進歩は外誌も特筆賞讃している。騎馬警官隊員は「ショウ・ポート」「荒原の疾走」のハワード・キールの役で、 主題歌「ローズ・マリー」ほか2曲に得意のバリトンを聞かせる。
 猟人の若者にはアルゼンチン映画からMGMに迎えられた新人でレックス・パーカーと離婚したハリウッドの美姫アーレン・ダール と結婚して話題を呼んだ美男フェルナンド・ラマスが好演。ミュージカルの舞台出の新人ジョーン・テイラアが悲劇のインディアン娘 に扮してトーテム・ダンス場面で素晴しい踊りを見せる。このほかヴォードヴィリアンとしてアメリカ第一流の人物バアト・ラアと 「無法街」のマージョリー・メインがコメディ・リリーフとして達者なところを示し、ラアが唄う "T'M A MOUNTIE WHO NEVER GOT HIS MAN" も 楽しい限りである。
 監督は「哀愁」「百万ドルの人魚」のマーヴィン・ルロイ
で製作をも兼ねている。
 シナリオほ「血斗」のライター・チーム、ロナルド・ミラアとジョージ・フローシェル、「姉妹と水兵」「錨を上げて」の ジョジー・ストールが音楽を監督、舞踏場面はバスビイ・バークリイの振付けである。
 野外場面はカナディアン・ロッキーを背景とするカナダ、アルバータのジャスパー・パーク及びカリフォルニア、マンモス湖畔に於ける ロケーションで、ポール・ヴォジエルのイーストマン・カラア撮影は美しい。
 その他美術、装置、衣裳等いずれもMGMの最高製作スタッフである。
 尚このシネマスコープにはMGMが誇る立体音響パースベクタ・ステレオフォニック・サウンドが採用され素晴しい効果を上げている。

 <梗概>  19世紀の末葉、カナダの北西部。騎馬警官隊の曹長マイク・マローンは、死んだ猟師のレマイタアから 一人娘ローズ・マリーの面倒を見てくれと頼まれ、娘をたずねて森の中に踏み入った。 とある湖畔で湖にカヌーを操るバックスキン・ズポンの少年を見レマイタアの小屋を尋ねたが、 その少年こそ当のローズ・マリーだった。
 ローズ・マリーはライフル銃がうまく、ナイフの使い方にも慣れた野生の子で、文明の社会に対して 本能的な恐怖感を抱いていたので、マイクが警官隊の駐屯地フォート・マクロイへ彼女を連れて来るのに殆んど力ずくだった。
 さて連れて来てはみたものの、マイクはほとほと手を焼いて、古参の伍長バーニイ・マクコークルに 彼女を預けることにしたが、人の良い老伍長の手にも負えなかった。だが時がたつにつれて、 彼女はここの男の中の生活を楽しむようになった。隊員の服装をつけ、隊員と一緒に訓練に加わりスポーツに興じた。 彼女は男たちのマスコットだった。
 ある日警視アブルバイがこの隊を訪れ、男の世界にうら若い女性のいることを発見し、ローズ・マリーを 最寄りの町メイプル・ロックにホテルを開いている従妹ジェインの手許に預け、婦人の教養を身につけさせようとした。 ローズ・マリーはこれを嫌がったがアブルバイは頑として譲らず、切羽つまった彼女は隙を見て逃げ出した。
 後を後って森に来たマイクは、男女の愛の美しさを彼女に語ってきかせた。それで大いに心動いた彼女は メイプル・ロックに行くことを承知したが、マイクもまた彼女に愛情を感じ始めていることに気がついて 自分ながらびっくりするのだった。・・・  (106分)

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