恋の手ほどき

<Gigi>    (58年)

<スタッフ>
製作
監督
原作
  脚色・作詞
  作曲
音楽監督・指揮
撮影

<キャスト>
ジジ
  オノーレ・ラシェイュ
  ガストン
  マミタ・アルバレス
リアネ・ドキシェルマン
 

アーサー・フリード
ビンセント・ミネリ
コレット
アラン・ジェイ・ラーナー
フレデリック・ロウ
アンドレ・プレビン
ジョーゼフ・ルッテンバーグ


レスリー・キャロン
モーリス・シュバリエ
ルイ・ジュールダン
ハーマイオニー・ジンゴールド
エバ・ガボール
 これは、あの愛すべき「リリー」の姉妹篇とも見られる珠玉篇で、 かつて「巴里のアメリカ人」でデビューしたレスリー・キャロンが、 ここに再びパリに帰り、純情可憐なヒロイン振りをお目にかけるミュージカル・コメディの傑作である。 昨年5月ブロードウェイで封切りされるや非常な人気を呼び、今なおロング・ランを続けているが、 本年4月アカデミー賞発表に当り、作品賞、監督賞、脚色賞、色彩撮影賞、 映画主題歌賞、ミュージカル音楽賞、衣裳デザイン賞、美術監督賞及びモーリス・シュバリエ特別受賞を 併せて10個のオスカーを獲得し、世界的話題を投げている。
 製作アーサー・フリード、監督ピンセント・ミネリ、脚色アラン・ジェイ・ラーナーなど、 いずれも「巴里のアメリカ人」(1951年度アカデミー作品賞外)の製作スタッフで、 ストーリイは「青い麦」ほか数々の快作を残して1956年に世を去ったフランスの著名な閠秀作家 コレットの小説に拠ているが、この舞台劇はオードリイ・ヘップバーンを世に出したことでも有名である。
 ここには主題歌「ジジ」ほか計9つの歌曲が入っているが、いずれも「フリガドーン」の名歌曲チーム、 フレデリック・ロウ(曲)とアラン・ジェイ・ラーナー(詩)の手に成ったもの。 音楽監督及指揮には「いつも上天気」「舞踏への招待」のアンドレ・プレビンが当った。
 衣裳デザイン担当のセシル・ビートンは、舞台畑でその道の第一人者、 ハリウッドでの最初の仕事である。MGMスタジオの美術部長ウィリアム・A・ホーニングが、 「巴里のアメリカ人」のプレストン・エイムスと共に柔術監督を、 「緑の館」のへンリイ・グレースがケオ・グリースンと装置を担当した。 撮影監督は名手ジョーゼフ・ルッテンバーグで、パリの雰囲気を十二分に発揮すべく 10週間にわたってロケーションを行った。
 主演はレスリー・キャロンのほか、「昼下りの情事」でカムバックしたモーリス・シュバリエと 「白鳥」「影なき恐怖」のルイ・ジュールダン、この3人をめぐって、 「八十日
間世界一周」の有名な舞台女優ハーマイオニー・ジンゴールド、 「Z旗あげて」のエバ・ガボール、ロンドンの舞台の喜劇女優イザベル・ジーンズ等の 腕達者が顔を揃えている。

 <物語>  ジジは、お祖母さんのマミタに育てられている無邪気な少女だ。 まだ学校へ行っているのだが、行く行くは然るべき貴顕紳士のごちょぅ愛を得て、 パリ社交界の明星たらしめようというのがお祖母さんの野心である。 お祖母さんのマミタ自身、昔は粋な社交界で鳴らした人、マミタの妹アリシアも、 一流人士や王侯のごちょう愛を受けて、この社交界では第一級の美人だった。 今ではすっかり貯めこんでぜい沢な家に悠々自適していた。
 その自適のアリシアの許へジジは学校から帰ると社交界のお行儀お作法の「学習」に通っていた。 こういう中に育てられても、ジジは全く無邪気な清新な少女である。 マミタの前からのお友達、金持で粋人のオノレ・ラシェイユ氏も、この少女が大好きだった。 ラシェイユ氏の関係でその甥のガストンも、相当前からマミタの所へ出入りしていたが、 学校通いのジジの、その無邪気さが本当に好きだった。
 このガストンは、砂糖王の第二世で恵まれ切った生活をしているが、 あまり恵まれ過ぎることは一切に情熱を失ってしまうらしく、彼は人生に退屈し切っていた。 反対は伯父さんのラシェイユ氏は、これまた壮者を凌ぐご発展で、人生の総てのこと悉く 彼の快楽の対象となるという楽天家だ。彼は、新しく、若く、美しいお友達が出来るたびごとに 豪奢なマキシム・カフェに社交人士を招待の盛大なパーティを開く。 そのパーティは社交界のバロメーターで、噂と陰口と誇示と羨望のるつぼとなるよぅな 豪華なものだった。ガストンはつねにこのパーティヘリアネという美形を同伴してあらわれ、 人々の眼をさらってしまっていた。・・・   (分)

 
MUSICAL PROGRAM :

THANK HEAVEN FOR LITTLE GIRLS
 (モーリス・シュバリエ)

IT'S A BORE
 (モーリス・シュバリエ、ルイ・ジュールダン)

THE PARISIANS
 (レスリー・キャロン)

SHE'S NOT THINKING OF ME
 (ルイ・ジュールダン)

THE NIGHT THEY INVENTED CHAMPAGNE
 (レスリー・キャロン、ルイ・ジュールダン、ハーマイオニー・ジンゴールド)

I REMEMBER IT WELL
 (モーリス・シュバリエ、ハーマイオニー・ジンゴールド)
GIGI
 (ルイ・ジュールダン)

I'M GLAD I'M NOT YOUNG ANYMORE
 (モーリス・シュバリエ)

SAY A PRAYER FOR ME TONIGHT
 (レスリー・キャロン)


 アラン・ジェイ・ラーナーとフレデリック・ロウは、ミュージカル「キャメロット」を最後に 一旦はコンビを解消したが、58年にミュージカル・コメディ映画「恋の手ほどき」を手がけた。
 この映画は、「陽気な伯母さん」「熱いトタン屋根の猫」「手錠のままの脱獄」「旅路」を押さえて、ノミネイトされた9部門すべてで最優秀のアカデミー賞を受賞した。
 加えてモーリス・シュバリエが特別賞(功労賞)を受賞した。   

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