5つの銅貨

<The Five Pennies>   (59年)

<スタッフ>
製作
監督
脚色

撮影
美術
音楽
編集

<キャスト>
レッド・ニコルズ
ボビー・メレディス
ルイ・アームストロング
トニー・ヴァラーニ
ウィル・パラダイス
ドロシー・ニコルズ(6〜8歳)
ドロシー・ニコルズ(13歳)
ジミー・ドーシー
デイヴ・タフ
グレン・ミラー

ジャック・ローズ
メルヴィル・シェイブルスン
ジャック・ローズ
メルヴィル・シェイブルスン
ダニエル・L・ファップ
タンビ・ラーセン
リース・スティーブンス
フランク・ケラー


ダニー・ケイ
バーバラ・ベル・ゲデス
ルイ・アームストロング
ハリー・ガーディノ
ボブ・クロスビー
スーザン・ゴードン
チューズデイ・ウェルド
レイ・アンソニー
シェリー・マン
レイ・ダレイ
 パラマウント映画「5つの銅貨」は現存のアメリカのジャズの 名手レッド・ニコルズの実伝に取材した作品であるが、 アメリカのジャズの発展の歴史を語るとき、ニコルズが果した役割はきわめて大きく、 その功績は忘れてはならぬものとされている。その功績の一つは小編成のバンドで つねに新しい試みを企てながら、ジャズ本来の魅力を重視してきたことであり、 もう一つはレコード吹込みによって多くのすぐれたジャズメンを世間に認識きせたことである。 とくに、シカゴ派の東部における台頭には彼の小編成バンドのレコードが大きな役割を果している。
 レッド・ニコルズは1905年ユタ州オグデンに生まれ、父が音楽教師で指揮者であったところから、 幼いときから父のバンドのメンバーになっていた。二三年、ニュー・ヨークに出て腕をみがき、 やがて、自分のバンドを組織、映画にえがかれているようにしだいに人気をたかめていった。
 娘のドロシーの小児マヒに関するエピソードも映画にえがかれているとおりで、 事実、第二次大戦中は造船所で働いていた。ドロシーの病気が快方にむかうと、 ふたたびジャズの世界にもどり、現在にいたっているが、映画「5の銅貨」がつくられたために 往年の人気をとりもどし、契約申込が殺到しているとのことである。
 なお、ドロシーはその後結婚Lて、子供を生んでいる。
 一作ごとに新境地を開こうとしているダニー・ケイが数年前から念願としていた 適役ととりくんだ会心の名作。1920年代から30年代にかけて一世を風靡したバンドリーダー、 レッド・ニコルズを主人公にして、愛児の小児マヒを治すために命とたのむコルネットまで捨てた 父性愛をえがいているのだが、ディキシーランドのリズムにつつまれたなつかしいふんいきといい、 いくつかの心あたたまる感激的な場面といい、ダニー・ケイ映画のなかの最高峰といっていいであろう。  製作・監督は「月夜の出来事」で大いに男をあげたジャック・ローズとメルビル・シェイプルスンの新進チーム。 このコンビの作品としては、「エディ・フォイ物語」「ポー・ジェイムズ」(未公開)「月夜の出来事」につぐ 第4回作品である。脚色もローズとシェイプルスンが担当している。カメラは「拳銃の罠」「楡の木蔭の欲望」などの ダニエル・ファップ。
 助演者には「めまい」で数年ぶりにカムバックした名女優バーバラ・ベル・ゲデス、 サッチモ″の名で知られているアメリカの誇るトランペット王、ルイ・アームストロ
ング、 ビング・クロスビーの弟のバンドリーダー、ボッブ・クロスビー、 「月夜の出来事」で売り出したイタリー系の二枚目ハリー・ガーディノなどの異色の顔ぶれがそろっているほか、 レッド・ニコルズのバンドファイブ・ペニーズ″のメンバーに扮して、レイ・アンソニー シェリー・マン、 ボピー・トループなどの一流ジャズメンが出演していることも興味がふかい。
 映画のなかで演奏される多くの曲がこの作品の大きな魅力の一つになっていることはいうまでもないが、 ダニー・ケイ夫人シルビア・ファイン、編曲者リース・スティーブンスがかいた新曲のほか、 私の青空″パラダイス〃ビル・ベイリー″ジャダ∞インディアナ∞リパブリック賛歌≠ネど、 1920年代から30年代にかけてのなつかしい名曲のかずかずがとりいれられていることも書きおとせない。

 <梗概>  1920年代の中ごろ、コルネットがとくいの田舎の青年レッド・ニコルズは大きな野心を抱いて ニュー・ヨークに出てきた。職を探して歩いたあげく、ウィル・パラダイス (ボッブ・クロスビーのバンド)のバンドに採用され、ギターをひいていたトニー・バラニと親友となった。 ウィル・パラダイスはバンドリーダーをつとめるかたわら、クルーナーとしても知られていた。
 パラダイスのバンドにボビー・メレディスという歌手がいた。レッドとこボビーはたがいに想いをよせあう仲になり、 ある夜、黒人街のハレムの秘密酒場へ遊びに行った。そのころアメリカにはまだ禁酒令が施行されていた。
 秘密酒場ではルイ・アームストロングが ビル・ベイリー≠うたっていた。 レッドはルイと一しょにビル・ベイリー″をうたい、ルイがトランペットを吹きはじめると とくいのコルネットを一しよに吹きはじめた。レッドが演奏したリパブリック讃歌≠ルイは口をきわめて激賞した。
 そんなことがあってから、レッドの人気が高まり、ボビーとの仲もますます発展して、2人は結婚した。 ギターひきのトニーはレッドのマネジャーになった。
 レッドはあくまでディキシーランド・スタイルの伝統を守っていたが、そのためにバンドリーダーのウィルと 衝突することもあった。あるとき、レッドがウィルの唄をからかってまねたことから、 2人は仲がわるくなり、レッドはバンドを脱退して "ファイブ・ペニーズ" という 自分のバンドをつくった。 ・・・  (117分)

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