スタア誕生

<A Star Is Born>  (54年)

<スタッフ>
製作
 監督
作詞
作曲
音楽監督
原作


<キャスト>
エスター・ブロジェット
  ノーマン・メイン
  リビイ
  オリヴァ・ニール
ダニイ・マクガイア
 

シドニイ・ラフト
ジョージ・キューカー
アイラ・ガーシュイン
ハロルド・アーレン
レイ・ハンドーフ
ウイリアム・A・ウエルマン
ロバート・カースン


ジュディ・ガーランド
ジェイムス・メイスン
ジャック・カースン
チャールス・ビックフォード
トム・ヌーナン
 製作費実に21億! その豪華絢爛たる内容は「風と共に去りぬ」に匹敵する ワーナーの超弩級大作で1937年ウイリアム・A・ウエルマンの名作(ウエルマンとロバート・カースンの 原作は同年のアカデミー賞を受けている)としてジャネット・ゲイナー、フレデリック・マーチ主演で 当てた未だ忘れ去る事の出来ぬ傑作の再映画化である。
 しかし今回は前作と違って当世風に ミュージカル・ドラマとして書き下され、そのヒロイン、エスター・ブロジェットには 一時自殺を図つて世尚を驚かせたジュデイ・ガーランドが扮し、「イースター・パレード」 「オズの魔法使」で見せた素晴らしいジュデイを再現してくれるのである。
 しかもその相手役には「邪魔者は殺せ」「ゼンダ城の虜」「ジュリアス・シーザー」等で 拡い芸域を見せたジェイムス・メイスンがアル中のスタアとして登場、初のミュージカル出演という 珍しいコンビで「毒薬と老嬢」「赤い靴下どめ」のジャック・カースン、「ミネソタの娘」 「ジョニイ・ベリンダ」の名優チャールス・ビックフォードと共にこの作品の異色あるところを物語っている。
 その他、「紳士は金髪がお好き」でマリリン・モンロウと達者な所を見せたトム・ヌウナンを始め 澄刺たる新鮮美の持主ルシイ・マーロウ、「リリー」のアマンダ・ブレーク、「地獄の娘」の アーヴィング・ベイコン、「平原の落雷」のジェイムス・ブラウン、「テキサス街道」の リチャード・ウエップ、「フェザー河の襲撃」のへンリイ・カルキー、往年舞台で人気のあった ロータス・ロッブ等が出演しており、腕達者な所を見せる。
 ストーリイはジュデイ・ガーランドの若い女優を大スタアにまで育てあげる 名優ジェイムス・メイスンの絢爛なるも悲しき哀話を中心に繰り拡げられるメロドラマで チャッブリンの「ライム・ライト」にも似たシチュエーショソの中でジュデイは 「巴里のアメリカ人」のアイラ・ガアシュイン作詞、「オズの魔法使」でアカデミー賞を獲得し
たハロルド・アーレン作曲による新曲「ご一緒させて」(GOTTA HAVE ME GO WITH YOU)、「去りし君ゆえ」 (THE MAN THAT GOT AWAY)、「新しい世界」(IT'S A NEW WORLD)、「どこかで誰かが」 (SOMEWHERE THERE'S A SOMEONE)を唄い踊り又レオナード・ガーシイ作曲の「トランクが私の揺り籠」 "BORN IN A TRUNK" では彼女の面目躍如たる大ハリキリのシーソを20に亘って披露してくれる。 この作品は何よりもガーランドのワン・ウーマン・ショウであり彼女はクヲンク・インする7ケ月前より 演技に、歌に、踊りに努力を払っており、ジュデイは既に米国の一流芸能新聞フイルム・デーリー誌より 54年度最優秀主演女優賞を贈られている。


 <物語>  今宵は、ハリウッド映画基金募集のための華やかな "スタア達の夜≠ェ催された。 その夜ハリウッドの有名人が集まった会場に、有名な映画スタア、ノーマノ・メインが酔いしれて現れた。 正体を失う程に酔ったメイソを見かねた授影所長のナイルズは宣伝部長リビイに命じて、メインの出る 場を抜いて番組を進めさせたが、彼は酒の勢いで舞台に飛び出してしまった。 ステージでは丁度ジャズ・シンガーのエスター・プロジェットがグレン・ウイリアムスの オーケストラに合せて唄つていたが、彼女はメインの酔を知って、その手を取り巧みに その場をとりなした。
 幕が下りてメインはエスターの機転によって恥をかかずにすんだ事を知り彼女に感謝した。 ――名もなき歌手エスターが当代の名優と言葉を交わしたのはこれが最初であった。
 家に送り返されたノーマン・メインは真夜中、酔からさめ冷気を浴びに再び街へ車を駆った。 メインはダウン・ピーツ・クラブで唄っているエスターを見出し彼女の天分を認め授影所に 連れて自分の相手役をつとめさせるように計った。 ・・・   (154分)

 
MUSICAL PROGRAM :

GOTTA HAVE ME GO WITH YOU
THE MAN THAT GOT AWAY
IT'S A NEW WORLD
SOMEWHERE THERE'S A SOMEONE

BORN IN A TRUNK
(この曲は、レオナード・ガーシイ作曲)

ジュディ・ガーランド

 つい先ごろ「ジュディ・ガーランド物語」が彼女の二女ローナ・ラフトの書いた本に基づいて 劇化され、テレビで放送された。それによるとジュディ・ガーランドは若い頃から薬物依存症となり、 最後は薬が命を絶った。
 彼女は1923年、両親が芸人の三女としてミネソタ州で生まれた。カリフォルニア州に移り住んで父が劇場の
支配人になって生活も安定、三人姉妹で「ガム・シスターズ」を編成して劇場 に出演した。その後「ガーランド・シスターズ」と名前を変えるが、やがて二人の姉が結婚、解散した。
 ジュディは一人で歌って認められ12歳でMGMと契約、ミッキイ・ルーニーやディアナ・ダービン と学ぶ。いかに太ら ないようにするか、本人は不美人だと悩むが歌唱には優れ、映画と音楽の世界で活躍し始めた。
 39年、16歳の時の映画「オズの魔法使」でアカデミー特別賞を獲得、日の出の勢いの 人気となる。 楽団のアーティー・ショーに初恋で破れ、41年作曲・指揮者のデヴィッド・ローズと結婚、 45年に監督のビンセント・ミネリと再婚、長女ライザを生む。
 52年にはプロデューサーのシドニイ・ラフトと結婚、自殺騒ぎから見事に立ち直って 「スタア誕生」に主演、伝記を書いた二女ローナと長男をもうける。
 その後何度も再起をかけ舞台に立つが、うつ病で薬物に頼ることになる。   

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