昨日、今日、明日

<Ieri, Oggi, Domani>   (63年伊)

Yesterday,Today & Tomorrow
<スタッフ>
製作
監督
脚色



撮影
美術
音楽
編集
衣装


カルロ・ポンティ
ヴィットリオ・デ・シーカ
エドアルド・ド・フィリッポ(第1話)
チェザーレ・ザバツティーニ(第2話)
ヴィラ・ヴィラ(第2話)
チェザーレ・ザバツティーニ(第3話)
ジュゼッペ・ロトンヌ
エチオ・フリジェリオ
アルマンド・トロバジョーリ
アドリアーナ・ノヴェッリ
クリスチャン・ディオール


        <キャスト>
第1話(ナポリのアドリーナ)
アドリーナ
カルミーネ
パスクアレ
弁護士
アメディオ
 ソフィア・ローレン
 マルチェロ・マストロヤンニ
 アルド・ジュフレ
 アゴスティーノ・サルヴィエッティ
 リノ・マッテラ

第2話(ミラノのアンナ)
アンナ
レンゾ
 ソフィア・ローレン
 マルチェロ・マストロヤンニ
 マルマンド・トロバジョーリ

第3話(ローマのマーラ)
マーラ
ルスコニ
ウンベルト
祖母
 ソフィア・ローレン
 マルチェロ・マストロヤンニ
 ジョバンニ・リドルフィ
 ティーナ・ピカ

 主演者(ソフィア・ローレン、M・マストロヤンニ)及びメイン・スタッフ共通のオムニバス3話より成る艶笑喜劇の大作。
 第1話(アドリーナ) : 失業中の夫を抱えて生活のために闇のタバコを売る女が、 「妊娠中、及び出産後半年以内の女を逮捕することは出来ない」というイタリヤの法律を知り、 逮捕を逃れるために、きれ目なく妊娠し続けることを思つく。 夫は妻に協力して涙ぐましい奮斗を見せるが、いかんせん豆スープだけでは身体がもたず、 遂に失敗して彼女は刑務所に行かなければならなくなる、という。
 第2話(アンナ) : 大金持の夫人が若い駈け出しの作家を浮気の相手に選ぶが、 彼が自分の大事なロールスロイスを事故で壊したことに腹をたて、上品な仮面
をたちまち豹変させて口ぎたなく罵しり、彼を捨て去るという。
 第3話(マーラ) : さらに、真面目な神学生から好きになられた善良な高級コール・ガールが、神学生の祖母に 泣いて頼まれて、彼の将来のために自らを悪者にする、という。
 ……場所も人物も違う独立した三つの話を無造作なまでに並べた映画だが、現代人の憂鬱と無気力を、 文字通りスカッと一掃するに足るバイタリティ溢れる笑いと、たくましい人間信頼の精神が躍動する まさにずっしりと充実した作品である。
 屈託のない好色の笑いに満ちた第1話、鋭く、しかも人間味豊かな諷刺が光る第2話、 爆笑のなかにしみじみとした庶民の善意が胸をつく第3話、なによりもここでは、 名匠ヴィットリオ・デ・シーカの名人境をゆくが如き観のある千変自在払な、鮮やかな演出ぶりと、 イタリアを代表する2大スター、ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニの、 コミカルな気分に乗り切った丁々発止の演技が、文句なく観客をうならせるだろう。
 特にソフィア・ローレンは、大胆な腹ボテの妊娠姿を披露して話題をまき、 「はらみっ放しのソフィア」というタイルで、アメリカの「ライフ」誌にも大きく報道された。
 シナリオは、第1話はエドアルド・ド・フィリッポ、第2話をチェザーレ・ザバッティーニと ヴィラ・ヴィラ、第3話をチェザーレ・ザバツティーニがそれぞれ担当。 音楽は、流行っ子アルマンド・トロバジョーリ、撮影は、「家族日誌」の名手ジュゼッペ・ロトンヌ。
 その他のキャストでは、アルド・ジュフレ、ジョバンニ・リドルフィ、ティーナ・ピカ、 アゴスティーノ・サルヴィエッティ等が主だったところ。
 なお、高名なデザイナー、クリスチャン・ディオールが、第2話のソフィア・ローレンの衣裳担当者として グレジット・タイトルこ名をつらねている。
  (119分)

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