挑 戦

<Ka Sfida>   (58年伊)

<スタッフ>
製作
監督
原案・脚色


撮影
美術
音楽
編集

<キャスト>
アッスンタ
ヴィート
ジェンナーロ

フランコ・クリスタルディ
フランチェスコ・ロージ
フランチェスコ・ロージ
スーゾ・チェッキ・ダミーコ
エンツォ・プロヴェンツァーレ
ジャンニ・ディ・ヴュナンツォ
フランコ・マンチーニ
ロマン・ヴラード
マリオ・セランドレイ


ロザンナ・スキアフィーノ
ホセ・スアレス
ニーノ・ヴィンジェリ
 昨年夏のヴェニス映画祭で「無法松の一生」と金獅子賞を争い、 "審査員特別賞" およぴ "サン・ジョルジョ賞"(56年度同映画祭で「ビルマの竪琴」が獲得した賞)の 二つの栄誉を受けた新イタリア映画の傑作である。
 ストーリーは、最近のナポリに起った実話にもとずくもので、今なお南部イタリアに深い根を張る 旧い掟の世界、秘密結社の実態と、その仁義によって斃れるに至った一青年の場合を描くものである。
 これを監督のロージをはじめ「自転泥棒」「真の嵐」の名脚本家スーゾ・チェッキ・ダミーコほか 一名が共同してシナリオを書いた。この原案は、イタリア映画界のアカデミー賞ともいうべき "銀リボン賞" を本年二月中旬に受けている。
 監督のフランチェスコ・ロージは1922年ナポリ生れで、ルキノ・ヴィスコンティ(「夏の嵐」「白夜」)、 ミケランジェロ・アントニオーニ(「さすらい」)、エットレ・ジャソニーニ(「ナポリの饗宴」)、 ルチアノ・エンメル(「高校三年」)等の下で10年間助監督をつとめた人で、この『挑戦』ほ彼の勉女作である。 ぎらぎらするような強烈なタッチ、特異な舞台ナポリを中心に描く斬新な手法、そこから生れる異常な迫力と感動は、 映画の世界にフレッシュな問題を投げかけるに十分だ。
 撮影は「さすらい」で58年度 "銀リボン" 撮影賞を得た新進のジャンニ・ディ・ヴェナンツォの担当、 音樂は「ロミオとジュリエット」「しのび逢い」のロマン・ヴラードが作曲した。
 主演者のロザンナ・スキアフィーノは1939年ジェノヴァ市生れの新人で、 その第三作『挑戦』によって売出した野性美ゆたかな肉体女優。主人公のホセ・スアレスは スペイン映画界の人気スター。助演のニーノ・ヴィンジェリは本年二月、この映画で "銀リボン" 助演男優賞を受けている。
 <梗概>  はてしなく青い空と、キラキラ輝く南欧の太陽の下、ゆるやかな円をえがいて静かに横たわる ナポリ湾に面して、イタリア第三の大都会、そして昔から民謡の町として名高いナポリの街が美しくひろがっている。
 だが、そこにも裏町がある。そのごみごみとした一角に、活動的で抜目なく、 向うみずで野心に燃える独身青年のヴィート・ポラーラが、大家族といっしょに雑居していた。 彼は、子分のジェンナーロやラファエーレを使って、密輸のヤミ煙草を動かしているチンピラやくざだったが、 今では小金もたまった。
 ある朝、密輸タバコを受取りに海岸まで行っていた子分のラファエーレが、ヴィートの家へあわてて報告にやってきた。 税関吏たちの眼がごまかせなかったので、彼等は仕方なしに百姓を丸め込み、トラック一杯にキウリとカボチャを積んで 帰ってきたというのだ。子分のジェシナーロの考えでは、市の青果市場とトラック運転手たちが ストライキを始めたから、その隙に野菜を売って、ひと儲けしようというのである。 ヴィートは、そんな物に大事な金をつかって、と憤慨してみたものの、その名案に感心した。
 またたくまにトラック一杯の野菜は売切れ、ヴィートたちの懐中に思いがけない18万リラがころげ込んだ。 そこでヴィートは考えた。生産者から直接に野菜を買い占め、今までより安い値でこれを中央市場に持ち込んだら、 きっと莫大な金が儲かるに違いないと。彼はさっそく80万リラの金をそろえた。
 翌日、ヴィートたちは、ナポリから自動車で二、三時間のアルチェッツァの農場を廻って、 自分たちに直接野菜を売るように百姓たちを勧誘した。そして、それが成功しかかった時、 実に意外な障害にぶつかった。野菜類の売り先きは、すべてサルヴァトーレ・アイェロという謎の男に約束がきまっていて、 ・・・    (86分)

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