サランボー

<Salammbo>   (60年伊仏)

<スタッフ>
監督
原作
脚本



台詞
撮影
音楽

<キャスト>
マトー
サランボー
ナーハバス
名将ハミルカス

セルジオ・グリエコ
グスターヴ・フローベル
ジョルジュ・タベ
ジュゼッペ・マンジョーネ
マリオ・カイアーノ
セルジオ・グリエコ
アンドレ・タベ
ピエロ・ポルタルーピ
アレクサンドル・デレヴィトスキー


ジャック・セルナス
ジャンヌ・ヴァレリー
エドモンド・パードム
リカルド・ガローネ
 「ボバリー夫人」で有名なフランスの文豪グスターヴ・フローベルの代表的歴史小説 「サランボー」を、「鍵穴」のアンドレ・タべが台詞を担当し、「ローマの旗の下に」 のジュゼッペ・マンジョーネ、「爪を磨く野獣」のジョルジュ・タべ、 「狂乱のボルジア家」のマリオ・カイアーノの3ヴェテラン・ライターが、 監督を担当した「海賊黒鷹」「狂乱のボルジア家」のセルジオ・グリエコと共同で脚色した イタリー=フランス合作の1960年度作品である。
 撮影は「人間と狼」「愛は惜しみなく」の名手ピエロ・ポルタルーピが イーストマンカラー、トータルスコープで行った。
 主演者は、題名役のサランボーに「二重の鍵」で日本デビューしたフランスの新人 ジャンヌ・ヴァレリー、相手役の蛮人″マトーに「甘い生活」「ローマの旗の下に」の ジャック・セルナス、陰謀政治家に「コザック」のエドマンド・バードム、 名将ハミルカスにヴェテラン、リカルド・ガローネと云ったヘヴィ・ウエイト級の顔合せである。
 撮影は北アフリカの砂漠地帯で行われたが、絢欄華麗、歴史文学中の白眉と謳われる フローベル文学の映画化だけに、撮影スケールはスペクタクル映画に馴れたイタリー側スタッフをも 瞳目せしめるほどで、特に数千の騎馬兵士による野戦シーンはスペクタクル映画史上に 画期的な1ページをつけ加えるものである。

 <梗概>  地中海に覇を唱え、壮大な城塞都市を営むカルタゴではあったが、第一次ポエニ戦役(前264 〜前241)にローマに破れた痛手から立直り切れぬ今、再び重大な危機に直面していた。戦いは 破れたとはいえ、強大なローマとの長期戦に功あったリビア、ガリア、ルジタニア、スペイン、 ギリシャなどの傭兵軍20数万が、給
ていたのだ。
 対するカルタゴの守備隊は神聖軍団8千にすぎず、名将ハミルカスは未だ市の遠きにあった。 ローマの元老院と比される「名士会議」は連日招集され、 窮地打開の策が練られたが、徒らに紛糾をくり返すばかりだった。名士会議の指導者一人である野心家の ナーハバスは弁舌をふるって会譲を牛耳り、和平交渉のために傭兵軍各民族の代表を カルタゴヘ招くことを決定させた。
 リビア傭兵隊の青年隊長マトーを始めとする代表者達を待ち受けたのは、 しかし、ナーハバス配下の武装兵だった。忽ち起る剣戟と肉斗――そこへ粛然と姿を現したのは、 ハミルカス将軍の一人娘で、市の守護神タニットに仕える聖処女サランボーだった。 彼女はタニットの名にかけて給料の支払いを約し、マトーと誓いの杯を酌み交した。
 この時以来、「蛮人」マトーの雄々しい姿はサランボーの胸に灼きつき、 マトーもまた、地中海一の美人と謳われる彼女への思慕に身を焦がすようになった。
 傭兵軍への給料支払いは、サランボーを始めとする市の支配階級や富商などから集められた 金の装飾品や宝石などで行われることになった。しかしその引渡しを委されたナーハバスは、私欲にかられ、 財宝を石塊とすり替えて傭兵軍に渡した。
 騙されて怒り立った傭兵軍は使者をなぶり殺しにした上、市中へ乱入し、 火をもかけかねまじき勢いを見せた。ナーハバスの悪企みとも知らぬカルタゴ市民は、 傭兵軍の暴虐を憎むと共に、去りやらぬ危機に怯えた。 中でもサランボーは、マトーの誓いは偽りだったと思い込み、愛していただけに裏切られたことに対する 憎しみ、悲しみはひとかたではなかった。 ・・・  (97分)

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